2018/08/09 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に芙慈子さんが現れました。
■芙慈子 > 木々茂る山の中、野原と呼べる開けた場所がある。
夜更け、明かりももたずにそこを歩く少女がいた。
しかし今夜は月明りが乏しく、さすがに足元が暗すぎるのか、
ふわっと少女を包む魔力が増長すると辺りの花が一斉に咲く。
が、本来の可憐な野花ではなく、薔薇のような多弁の花が開き、それは発光して足元を照らした。
美しいと見るか、異様と見るかは人それぞれだろう光景。
「あぁ…退屈。誰も遊んでくれない。あのお客さまたちを導いたのは私なのに」
ふてくされた様子の少女が、咲き乱れる花に埋まるように膝を抱えて座る。
今宵村では複数の客人をもてなす宴が開かれていた。
彼らを迷わせ、村に案内したのは自分なのに母は
『子種の欲しい大人を優先する』と全ての客に女をあてがってしまった。
少女はまだ母親になるには早いし、夜伽も遊びの延長でしかない。
優先順位が低いのは仕方ないが、完全に納得した訳ではないようで、こうして外でぷりぷりとしている。
■芙慈子 > 外で気を紛らわせていると、遠くで人の声が響いた。
男の低い声が複数。わめいているような声がそれに重なる。
少女は声の聞こえた方角へと顔を向け。
「暇潰しになるかしら」
期待出来ないけど。と続きそうな口調で呟いた。
しかしここにいつまでいても楽しいことは起こりそうにない。
自ら動かなければ、なにも始まらない。
立ち上がり、ゆらゆら揺れるように歩き始めると風が起こり、花弁が舞う。
――――と、次の瞬間には小さな背中は消え失せて。
灯りとなっていた花も野花へと姿を戻し、何事もなかったかのように。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から芙慈子さんが去りました。