2018/07/19 のログ
■ノール > 木立に遮られ風もない。
上の方で梢がざわざわと音を立てても森の中はねっとりとした夜のままだった。
何も起きない。
じっと眺めていた木の上の化物は飽きたのか、やや間抜けに欠伸を漏らした。
くわあ、と牙をむき出しに大きく顎を開いて。
長い腕がぬぅ、と伸び、大きな掌が三角に立った耳の後ろを器用に掻いた。
犬がするように首を振り、全身を軽く震わせる。
どざ、と雑な落下音がして枝の上の姿が消えた。
がさがさがさがさ、と森の下生えが不自然に波打って遠ざかっていく。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からノールさんが去りました。