2018/06/23 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に影時さんが現れました。
影時 > ――蝶の羽撃きが、やがて遠国で竜巻を生む。

そんな一説を見たことがあるのははてさて、どこの本だっただろうか。
小さな動きがやがて巡り巡って、大きな動きとなるということを説いたものらしいが大意が此れで良いのか否か怪しい。
だが、この近隣を雇い主の依頼で偵察し、実際に手を下す中で幾つか遭ったものがここにある。

「……ったく。砦の方で大騒ぎしたかは知らねェが、有象無象の魔物どもが殺気立っていやがるな」

様々な魔物の動向だ。潜伏した魔物使いの魔族が此れ好機にとばかりにけしかけたのかどうか、その足取りは掴めていない。
此の山中を巡り歩く中で回避しきれない、隠れて無視できない数の魔物と群れと遇えば、此れを討つ。
今、この辺りに散らばるものもそうだ。
血臭よりも火薬と香らしいものが大気に混じるのは、延焼しない程度に使った火術と手管を隠すための消臭の香の仕事だ。
切り株が猪型の魔物によって掘り起こされて、無造作に転がった中に腰掛けて、やれやれと息を吐く。

時は夜。空には月。
開けた森より振り仰げば、膨らみ始めた月の形が見える。被った編笠を外し、赤みを帯びた色の瞳で眩しげに見遣ろう。

影時 > 「いっそ、この辺りを焼いた方がスッキリする……わきゃ、ねェか。」

如何に忍びの者の癖に戦うのが好きといっても、四六時中というのは論外だ。
無用な戦いは任を帯びている時であれば、尚の事避けるべきである。
それでもやってのけるのは、戦闘を幾つか挟んでも最終的に事を為せ得る力量故だ。
腰に付けた雑嚢から取り出す水筒で水を一口含み、息を整える。二口目で別に取り出す丸薬を含み、活力を補充する。

夜の森は何か、善くないものが潜むという。
来るならば、来いと思う。下手に火を放てば、この時期の山中でも延焼すること必至だ。
であるならば、相応に、よく考えた上で振舞う必要があろう。
懐に呑んだ刃や自作の火薬、符の残数を確かめつつ、手にした笠を椅子代わりの切り株の傍に落とす。

影時 > 「……む?」

そして、ふと。微かな地脈の流れの変化を察する。
何か、善くないものが出たか?椅子代わりの切り株から飛び降り、その場に跪く。
左手で触れる地面に氣を通し、周囲の索敵と共に違和感の有無の特定のために一瞬瞑目する。

(――こっちの方角か。)

大まかな方角を確かめ、傍らに丁度転がった編笠を取り上げよう。
裏に仕込んだ火薬や手裏剣類を今一度改め、被り直したうえで立ち上がる。
歩み出す。気配を潜め、外界に満ちる自然の気配に溶け込みながら歩みを進めてゆく

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から影時さんが去りました。