2018/06/21 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > ギルドの依頼で、タナール砦へと急ぎの書簡を送る役目を終えたその帰り道。ダイラスまで健康な脚で歩いて1日ほどの距離の山中で遊牧民はふらふらと歩いていた。時々辛そうに眉根を寄らせ、はぁはぁと吐く息も乱れがち。肩口に斬りつけられた痕があった。

「あの時返り討ちにした盗賊が持ってた短剣……。
毒が塗ってあったみたい……。はぁ……っ。
身体が……しびれてる……っ」

帰路で盗賊グループから襲撃があったのだった。なんとか撃退したものの、どうやら毒を盛られたらしく。
獣道か小道か。その判断もつかないほど草の生い茂る道の脇に雨風しのげそうな、屋根状の張り出しがある大きな岩を見つけて、その下で腰を下ろした。

「ダイラスまで、まだ距離があるし……。
今晩はここで大人しくしよう……」

片手を握ったり閉じたりと、調子を確かめる。
幸いに、精製の甘い毒薬だったらしく少しずつ毒気が抜けてきている。万全じゃない状態で動き回るよりも体力を温存して毒気が抜けてから動こうと背中の荷物を下ろした。

今、魔物や賊徒に襲われたらひとたまりもない。
じっとしながらも苦しげに息をつく。カンテラの明かりがうっすら照らす喉元を汗が伝い。

タピオカ > うまく動かない手先をどうにか操って、肩の傷を水筒の水ですすぎ清潔な布で保護する。
手当が終われば明かりを消して、人の気配を悟られないようにした。
暗闇。

ここは山賊街道。いつまた別の盗賊か、または運の悪い事に同じ盗賊に襲われないとも限らない。
夜の野宿も、山の野宿も小さな頃から何度も経験した。
一人旅には慣れているし、怪我や体調がすぐれない事にも慣れている。
けれど、毒が回った身体での暗闇は心細かった。
座り込んだまま、鞘に収めた曲刀を抱きしめて息を潜めている。
野犬か魔物のものか、遠吠えが聞こえれば近づいてこないことを祈って。
宵闇の中だと妙に耳元を不安にくすぐる風に鳴る雑草のカサカサとした音に身を硬くしたまま。

「ダイラスまで無事に戻れたら……そうだね。
とびきり美味しいものをおなかいっぱい食べて、次の日のお昼まで宿でのんびりお寝坊してー、午後は……」

心細い時はこういう事を考えるのが一番いい。
――ひたすら、毒気が抜けていくのを待って。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からタピオカさんが去りました。