2018/04/08 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にフォーコさんが現れました。
■フォーコ > 九頭龍山脈の山中。
ある友人から聞いた話で、北の皇帝が求めていると言う不老不死の材料とやらを探しに来た。
数日前から冒険者などに依頼を出してはいるが、当然ながら芳しい情報も何もやってこない。
そもそも皇帝が何人もこちらに草の類を送っても見つかっていない物。
私が一人で探した所で見つかるとも思えないし、本当にあるのかもわからない。
「確か、辰金だの朱金とか言う名前だったな。」
無名遺跡を何度か調べたがそれらしい物は見つからず。
特徴があっているかも分からないのでひょっとしたら見過ごしているかもしれない。
いや、それならば何かしら力を感じるはず。
「頭が痛くなってきた。」
私は昔から考えることが苦手であった。
とにかく探し回ろう。
私は山の中をあてもなく歩き回る。
■フォーコ > 珍しい金属であろうか。
となると、鉱脈にあるかまたは露天…露天なら既に誰かが見つけているか。
確か、鉱脈は川やら温泉やらを辿ると聞いたことがある。
つまりは水を探すわけだ。
私は出来るだけ手つかずと思われる水源を探し回ることに。
耳を澄まし、水音がする方向へ。
こういうことなら誰か探索が得意な人物を雇うか連れてくるべきであったか。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「う~ん。これどうするか」
一人の男が、大量の荷物を前にうなり声を上げていた。
事の発端は男が探索中、盗賊に絡まれたこと。
撃退してみれば、盗賊たちはキャンプに大量の物資を隠していたわけで。
「持って帰っていいものかどうか、だよな」
本来なら戦利品として即強奪しているのだが。
今回はあまりにも量が多すぎた。よく見れば、おそらく商人などから奪ったものなのだろう。
結構なレアポーションや、調合素材。アーティファクトまであった。
「……どうするかなぁ」
男は頭を掻きつつ、キャンプ近くの川へと向かう。
何はともあれ、返り血やらをぬぐいたかったし。ちょっと喉も渇いた。
■フォーコ > 水の音を辿っていくと川に着いた。
長い耳はたまにうっとおしいときもあるが、こういう時は便利だ。
水の中に毒気がないか確かめよう。
私は川の手前でしゃがみこむと、指輪の一つを川の上に翳す。
確実と言う精度まではいかないが、概ね毒気はないようだ。
ただ、金属類も混じってはいないよう。
ありていに言うと、外れだ。
まだ喉は渇かない。 この水は場所だけ覚えておくと次に向かうとしよう。
そう考え、足を上げようとした所で男性の声が聞こえる。
足音も近くなっている。
ここは賊どもが多数出現するエリアでもある。
さて、場合によってはバーベキューにでもしてやるか。
私は刀の柄に手を当ててから、ゆっくりと立ち上がる。
■セイン=ディバン > 「……う~ん」
男はまだ悩んでいる。実際、転送呪文も使えるから、運ぶのは訳はないのだ。
だが、さすがに大量すぎる物資。盗むのはちょっと罪悪感が咎める。
そう考えていれば。
「……」
男は、何か気配を感じた。進行方向、川の近く、距離10メルトルほどか。
何か、いや。誰かがいる。人の気配だ。男は腰を落とし、懐からリボルバーを取り出すと、弾丸を装填し直す。
もしかしたら、盗賊の生き残りかもしれない。気を引き締め、息を殺す男。
「……ふぅ」
リラックスしきった、息。男にとっては盗賊など相手にならない。
そうして男は茂みに身を潜ませ、タイミングを伺う。一つ、二つ。
三つを数えると同時に飛び出し、相手に向かいリボルバーをポイントするが。
「……おや?」
そこに居たのは、どうみても盗賊ではなかった。
■フォーコ > こちらに来る途中、男の声は唸っていた。
人生に悩みがあるのなら教会に行くべきだと私は思った。
足音が急に止まる。 こちらの存在に気付いたようだ。
得物はなんであろうか。 まあ、なんでもいいか。
「なんだ? 盗賊なら一気呵成に撃ち込まないと切り伏せるぞ?」
茂みから飛び出した男はこちらに銃口を向けたまま固まっている。
こちらをなんと思っているのかは知らないが、私からしたらまだ警戒を解ける状況ではない。
私は右手を柄に添えたままで問いかけた。
まだ刃は抜いていない。 ここは燃える物も多数ある。
不意の一撃を貰った所で死ぬことはないだろう。
それより、彼は何者だろうか。
「今すぐ撃つ必要がないのなら、その銃を収めてもらえるか。
こっちはまだ抜いてないだろう?」
実際の所は抜かずとも攻撃する手段はあるからだが。
■セイン=ディバン > レンジャー・シーフ・スカウト職が本職の男にとって、自然の中の気配を探ることはそう難しいことではない。
だが、さすがに相手が驚きもしない、というのは予想していなかったようで。
「……。えっと。いや、盗賊じゃない。
そして、アンタも盗賊じゃないみたいだな」
相手へ銃を向けてこそいるものの、固まっていた姿はさぞ間抜けであっただろうが。
男は相手が攻撃の意思を見せないことを確認し、銃を下ろす。
相手が剣に手をかけているのは見えているが、抜かないということは敵対の意思は薄いな、と判断してのことだった。
「いや、驚かせてすまん。盗賊かと思ったんだ。
つい先ほど、小規模な盗賊団を潰したんでな」
銃を懐にしまうと、男は両手を挙げ、攻撃の意思がないことを示しながら近づいていく。
だが、ある程度の距離まで近づいたとき、男の顔が緊張感を帯びる。
「……アンタ……。もしかして。
……第五師団のフォーコ・アッサルトか?」
相手は、この国で荒事に関わっている人間なら誰でも知っているような人物であった。
当然。その実力の高さも有名である。男は警戒を微かに強めるが。
■フォーコ > 「その通りだ。
私のようなか弱い女性を前に盗賊とは随分だとは思わないか?
血まみれの紳士よ。」
彼が銃を下ろした所で、私も刀から手を離す。
早打ちも出来そうな相手だけにまだ危険がなくなったとも言い切れないが。
「ほう、やるではないか。
一人で潰したのか。
凄い腕前だな。」
全身を赤く染めた様子から嘘ではないように思える。
しかし、今度は彼の方が私の正体に気付いたようで。
「よく分かったな。
しかし、初対面なのにその顔はどうだ。
私が君に何かしたか?
銃を向けられて震えていただけではないか。」
一歩でも近づけば本当に銃を撃ってきてもおかしくない表情なので、こちらから近づくことはしない。
自分なりに人の好い表情をしているつもりだがどうだろうか。
■セイン=ディバン > 「か弱い女性はそんな格好してこんな場所には居ないだろうよ」
相手の言葉に苦笑しつつ、男はそう言う。
確かに、ぱっと見た見た目こそ、女性らしく可憐だ、と言えるかもしれないが。
性格を表してるかのような、糊の利いた軍服に剣。それらをみてか弱いと評するのは無理があるのではないか、と男は内心だけで思う。
「なに。小規模盗賊団といっても、せいぜい10人くらいだ。
出会い頭に舐めた口を利いたから爆薬で吹き飛ばしてやっただけでな」
相手に感心されたようなので、訂正しておく。男は、何も正面切って盗賊団と戦ったわけではない。
相手の油断と隙に付け込み、奇手と火力で押し切ったのに過ぎないのだ。
「そりゃ、アンタは有名人だからな。
……あぁ、こりゃ失礼。騎士様に見せるには不敬な顔だったかな。
震えてねぇだろ。しれっと誇張表現すな」
相手の言葉と表情に、男は謝罪をするものの。その顔は険しいままだ。
そうして、相手との距離約3メルトルまで近づくと。男は肩をすくめた。
「セイン=ディバンだ。よろしくな。
オレがこんな顔をしてる理由は二つ。
一つ。アンタは凄腕の騎士だから、警戒してる。
二つ。オレは貴族や軍人が嫌いだ。昔ほどではないがな。だからこんな景気の悪い顔をしてる」
そこで男は正直に表情について語るが。そう口にした後、握手をするように手を差し出す。
「それで。こんな所でアンタは何をしてるんだ?」
■フォーコ > 「か弱いからこうして武装しているのではないか。」
血まみれの男性に苦笑され、私は笑みが浮かぶ。
どうやら、問答無用で襲ってくるタイプではないようだ。
「それにしても見事な手並みではないか。
何者かは知らんが、腕がいいのだな。」
彼の服は返り血こそ付いているが負傷したわけではなさそうだ。
奇策を用いたにしても10:1を覆す手腕は相当のモノだ。
「別に不敬とかは気にする性格ではないから気にするな。
…ならば今さらながら震えておこう。 それで問題ないだろう。」
私は両手で肩を抱くと、2,3回ほど震えておいた。
次にどうだとばかりに胸を張る。
「ああ、よろしく。
正直なのはいいが、貴族や軍人が嫌いなら握手しても大丈夫なのか?
私は捕虜をいたぶるタイプの軍人だし、有名な放蕩貴族の一人だぞ。」
彼が渋い顔をする理由を100%満たしているが、手を差し出されれば
こちらも固く握手をする。
「私はな、不老不死を目指して山歩きの最中だ。」
具体的に何を探しているかまでは今の段階では口にしない。
ただ、私が不老不死を求めていることは知っている者は既に知っているレベルなのでそこは隠さなかった。
■セイン=ディバン > 「……うん? そういうことなのか?」
相手の言葉に、なるほどそういう理屈もあるか、と納得しかけるが。
男は慌てて手を振りその発想を否定する。
正体不明の相手と相対しているというのに、まったく物怖じせずに立っている相手の気配は相当な実力者のそれなのだから。
「別に。相手が油断してただけだ。
ま、腕に自信はあるけどな」
相手に褒められれば、男はつまらなさそうに言う。謙遜ではない。
男にとって、盗賊などたとえ100人居ても物の数ではない。
男は多人数相手に、奇策や罠などを使って戦うのは大得意なのである。
「そうかい。そりゃあよかった。
……なぁ、アンタ。もしかしてアホか? それともオレをバカにしてるのか?」
相手の言葉に胸をなでおろすようなジェスチャーする男だったが。
相手がわざとらしく震える演技をし、胸を張れば呆れたように言う。
なんとも、騎士らしからぬ相手だ。噂とはまったく違う人物なのか、と疑問に思う。
「ん。……あぁ、そこは別に。気にしないでくれて構わんさ。
色々あってな。オレも学んだんだよ。貴族とかも悪いやつばかりではない、ってな。
捕虜をいたぶる? 普通だろ。必要なら尋問拷問することもあるだろうし。
放蕩貴族、ってか。オレが嫌いな貴族は、他人を見下しておもちゃにするような貴族だよ」
握手をしながら、説明する男。昔は貴族とみれば嫌っていたが。
知り合いの貴族さんとの付き合いで、その辺は学習したというか、考え直したのであった。
「山の中に不老不死の方法があるのか?
……あぁ、そうだ。せっかく出会ったんだし。
潰した盗賊団が、結構な物資を溜め込んでてな。
結構なレアアイテムとかもあったんだが……。
アンタ騎士だろ。そういう盗難品は、アンタに預けたほうがいいかな?」
不老不死の方法、などと聞けば男は胡散臭げに眉をひそめるが。
そこで思い出したように相手にそう告げる。
少なくとも、悪徳貴族としての噂の無いこの相手なら。物資を預けるのは間違いではないだろう、と思ってのことだ。
■フォーコ > 私の言うか弱いはどうにも信用されないようだ。
彼も目の前で手を振る有様。
「ほう、素晴らしいではないか。
やはり私の方がか弱いと言えるな。」
男は相当腕に自信があるようだ。
山賊程度なら束で来ても簡単にけちらせるとのこと。
よし、私の方が弱い。
「うむ。 私は生まれてこのかた暴れまわることしか出来ない女でな。
学も無ければ頭の出来も悪いと来ている。
君を馬鹿になどはしておらんぞ。
馬鹿は君の目の前に居るではないか。」
どうやら、彼の思っている対応とは違ったようだ。
しかし、そういった機微を私に期待する方が間違っていると言いたい。
「いや、貴族は基本的に悪い奴ばかりだ。
そこは揺るがない方が賢明だと思うぞ。
まあ、私の場合見下す先が居ないだけのことだ。
君は貴族や軍人をこれからも警戒するべきだ。
警戒した上で必要があれば付き合えばいい。」
貴族であるが故にその邪悪さもよく分かっているので、平民らしい彼には
私なりに貴族の悪さを力説しておいた。
無論、付き合う必要があることも理解しているが。
「詳細は言えんが、私はそう思っている。」
眉をひそめる彼に私は自身たっぷりの表情で答えた。
そして、彼が次に言い出した内容には露骨に微妙な顔を浮かべる。
眉がハノ字に垂れ下がる。
「それは君が戦利品として持ち帰ったらどうだ?
遺跡探検も賊の拠点も宝を持ちかえる物だろう?」
山分けではなく、預けるとは。
私は彼に持ち帰る様に促す。
もう少し親しい相手ならこちらから山分けを持ちかけていた所だ。
私は見た目や物腰に反し、まじめな彼にどうしたものかと困惑する。
■セイン=ディバン > そもそもにおいて、単純な戦闘能力という物で比較した場合。
相手は名立たる騎士にしてその腕前たるや轟きまくり。
一方の男。いいとこ中堅冒険者。
「あのなぁ。賊に身を落とすような阿呆どもなんて、そこらの芋と変わらんだろ。
策も腕も無い小物なんぞ、どんだけ殺しても自慢にはならん」
そして、そんな奴等を殺せたとして、アンタがオレより弱いっていう評価にはならん、と。
男はくつくつと笑いながらそう言った。
「……ふぅん。そうなのか?
……ハッ。ははははははっ! アンタ、面白いな!
謙遜でもなきゃ、ウソでもなさそうだ。本当に自分をそう思ってるんだな。
カハハ、アンタはバカなんかじゃないだろうさ。少なくとも、本当のバカはそんな言葉回しはできねぇって」
まさかの相手の自己評価に、男は目を丸くし、驚きを隠せない。
噂だけを聞いていれば、相当な傑物という話だったから。
もっと、とっつきにくいと思っていたのだ。
「貴族で騎士のアンタがそれを言うかい?
まぁ、いいや。ふむ。貴重なご意見として受け取っておこう?
実に大人で冷静な意見だ。やっぱり、アンタはバカなんかじゃなさそうだな」
その意見に、男はほう、と息を漏らす。
確かに。貴族である相手が言うのならそういう側面もあるのだろうな、と。
男は緩んでいた気を引き締めなおす。
「そうなのか。まぁ、アンタがそう言うならそうなんだろうな。
……いや、お言葉はありがたいんだが。相当な量があってな。
しかも貴重な薬品にアーティファクト。マジックアイテムにレア素材……。
おまけに珍しい金属や、装飾品に装備まであってな。
独り占めするにはちょっとモノが良すぎるんだよなぁ」
おそらく、盗賊団の内部で派閥争いでもして。お宝を盗んで脱退でもしたのだろう、と。男は推測する。
貴重品の多い報酬。さすがに実入りが良すぎると、怖い部分もあるのだ。
■フォーコ > 「そういうものなのか?
私にはいよいよ分からなくなってきたぞ。」
頭の良い彼が言うのならそういうものだろうか。
私はいよいよ頭が熱を帯びてきた。
故にこの話はこれ以上何も言えず。
「そういうがな、やはり君らみたいな
頭が回る組と比べればそうでない方だと思うぞ。
今日も一人で野山を放浪しているわけだ。」
彼は大声で笑うが、やはりこうして初対面の彼と比べても頭の回転が
負けている。
とりあえず、彼の警戒が解けたことはよしとしよう。
「落ちぶれた瞬間奴隷にされている者もいるからな。
貴族はやはり危険だぞ。
私も明日はどうなるかわからん。」
私は色々思いだし、肩を竦めた。
薄氷の上を歩いている様な気を覚えることもままあるのだ。
「またタイミングの悪いときに君と出会ってしまったわけだな。
しかし、そうなるともう一つ困ったことがあってな。
私は君と違って鑑定眼があるわけではないのだ。
出来れば君と一緒に実物を見に行くとしたいな。
まあ、まずは川の水で血を洗い流すことをお勧めしよう。」
■セイン=ディバン > 「あ、これあれだ。直感と直勘と感覚で動いて結果を出せるタイプの人間だ」
男は、そんな相手の言葉と仕草に、そう相手を評する。
いわゆる、男とは違う。持っている才気でもって結果の出せるタイプなのか、と。
「何も、頭の良さってのは一種類じゃねぇだろ。
戦闘時の機転や閃きだって頭の良さだし。
対した相手との対話、戦闘の判断だって、頭の良さだ」
笑いながらそう言い、手をひらひらと動かしてジェスチャーする男。
どうやらようするに。相手に、そう自分を卑下することはないだろう、と言いたいらしい。
むしろ、自分のように生まれも育ちも悪いやつ相手なのだから、と嘯く始末だ。
「うへ、おっかねぇ。あ、でも。
そういう意味じゃ貴族以外も今はそうじゃねぇ?
特に、この国の中じゃ、さ」
相手の言葉に首を竦ませる男だったが、そこではたと気づく。
考えれば、この国の人間は、誰でもその危険性の上に立っているのではないか、と。
「いやぁ、ある意味タイミングがいいかもだぜ。
あぁ、まずは現物を見てもらったほうがいいな。
すぐそこだから案内する。もしかしたら、不老不死とまではいかないが。
ヒントになる薬品とかもあったかもしれないしな。
……あぁ、そうだな。じゃあ、ちょっと失礼して」
とりあえずは、現物を見てから決めよう、と。男は提案しつつ。
そんなことを口にする。相手の探し物は分からないが、もしかしたらそのヒントくらいはあるかもしれないぜ、と。
言いつつ、相手の提案に従い。川へと近づくと、水を手につけ、服の血を落とそうとするが。なかなか上手くいかない。
そこでちらと相手を見て。
「失礼だけど、服を脱いでも?」
そんな、間の抜けたことを口にした。
■フォーコ > 「結果が出ていないからこうして山歩きをしているのだぞ?
この間も魔王の一人から砦を取り返すだけで終わりだ。
捕えることも出来ずにな。」
私は多少顔に苛立ちを見せると、溜息をつく。
「卑下ではなく事実だ。
君が倒した山賊とやらも私なら正面切っての戦闘になっていただろうな。」
彼の気配りはよく分かるが、やはり彼のようなスマートさは私にはない。
「そうだな。 そういう意味では…いや、他の国も似たようなものか。
小さい国ならこの国や私に滅ぼされかねないしな。」
この近隣で同じ状況でない場所などはたしてあるのだろうか。
それならまだ、この国で豊かさを享受する方がましかもしれない。
「とにかく君が鑑定してくれ。
単独でやる位だから目利きに自信はあるのだろう?
分け前も君が決めてくれて構わんよ。」
わざわざ分けてくれる相手だ。
貰って困らない物なら贅沢は言えない。
「私は構わんぞ?
そのご自慢の肉体を見せびらかしておくれ。」
冒険者である彼の事だ。
身体も鍛え上げられていることだろう。
見るなと言ってこないことからもそれが伺える。
私はセクハラおやじのような顔を浮かべ、川の縁に腰掛けて彼を眺めていた。
■セイン=ディバン > 「そりゃ、捜索は地道が大事だろ。
……うん。今の一言だよ? 魔王から砦取り返すって。
普通ならそんなことできないんだからよ」
相手の苛立つ様子に、男の苦笑が引きつる。
魔王相手に砦奪還? そんなことを成し遂げるヤツがいるとは。
「……? それの何が悪いんだ?
真正面から戦って潰せるなら、それでいいだろ」
相手の言葉に、男が首を傾げる。男が奇策を使うのは……。
正面切っての戦闘能力が低いからだ。
それが出来るなら、相手のように真っ向から潰すのに何の問題があるのか、と思っている。
「ははははは、なるほど確かに。結局は、今のこの時代。
どんな人間も危険はすぐそばに、ということだな」
さすがに近隣諸国までは考えていなかったのだろう。
相手の言葉に笑う男。やはり、この相手は思考能力に関して劣っているわけではないな、と評する。
「わかった。こう見えてもソロ活動がメインの冒険者だ。
しっかり鑑定させてもらうさ」
指摘の通り。ソロ活動が多い男は鑑定などのスキルも高い。
相手にウソをつく気もないし。しっかりと鑑定し、相手と取り分を決めよう、と思うのだが。
「じゃあ、失礼して。
言っておくけど、見ても楽しいものじゃないぞ」
そう言って、川縁に腰掛ける相手をよそ目に、男はバトラーコートと執事服を脱ぐ。
現れた肉体は、多少疵こそあるものの、筋肉もしっかりついた男の身体、だ。
ただし、前衛職ほどのマッシブさはないのだが。
男は、服をじゃぶじゃぶと洗いつつ、ズボンをゆっくりと脱ぐ。
下着だけになれば、その股間。息子が、勃起こそしていないものの巨大であることは知れてしまうか。
■フォーコ > 「相手が好戦的でなかったのと、こちらの戦力を
取るに足りないと判断したのだろうな。
遊ばれたんだよあれは。」
強敵相手ではこれで2回目だ。
あまり勝率が悪くないことを自覚しており、苛立ちのあまり髪が赤く燃えだしていた。
「猪野武者って言うらしいぞ。 そういう戦い方しか出来ない者を。」
今は治っているが、おかげでかつては全身傷だらけであった。
傷一つ勝てるならその方が良いだろう。
「そう、だから今は不老不死を求めていてな。
それ位しないと魔王の類には勝てんだろう。」
私は髪の温度が高くなっていることに気づき、火を消す。
ついでに髪を解いておこう。
「やるではないか。 では追加で依頼を出してもいいか?
辰金だの朱金だのと言われる金属について実物か有力な情報があれば報告してくれ。
報酬は弾むぞ。」
それが不老不死のキーであるとは言わずに。
とはいえ、勘のいい彼なら気付くかもしれないが。
「いやあ、びっくりしたな。
平時でそんなに大きいのか。
服選びにも苦労しそうだが。
私も大き目のがぶらさがっているが君ほどではないな。」
シックな服を脱いだ先は鍛えられた身体つき。
師団でも遜色なく働けそうだと思っていると、馬並みと言うに相応しい巨大な男性器が。
私は口をあんぐりと開けて呆けてしまう。
■セイン=ディバン > 「またまた、ご謙遜。それでも結果としては砦は取り返せたんだろ?
だったらいいじゃねぇか。結果結果。結果が全てよ。
……ん。それ……」
たとえ相手に舐められていたのだとしても。砦の奪還成功したというのならば万々歳だろう。
しかし、相手はそれに納得できていなかったのか。髪が赤くなるのをみて、男は僅かに驚いた様子を見せる。
「さて、どうだろうな。正々堂々正面から叩き潰すは王と覇者の道、とも言うが」
とことん自己評価が低いタイプなのかな、と男は相手への印象を更新する。
「……なるほど、ね。……魔王に勝つ、ねぇ。
例えばなんだけど。オレの妻が魔王です、という話をしたとして。
信じるかい?」
怒りによって変じるのか。冷静になった相手に合わせ、戻る髪。
解かれるそれを見ながら、男はそんなことを、冗談のように口にした。
「あぁ、幾らでも。アンタからの依頼なら請け負うさ。
……? 辰金はともかく、朱金だったら、戦利品の中にあった様な。
ただ、かなりの小物、かつ砕けちまってたかもしれないが……」
追加の依頼に胸を叩くが、男はその依頼に間の抜けた顔を見せる。
見間違いでなければ。その依頼の物があったような、と。
「あ~……ははは。そうさな。結構な困り者だ。
なにせ下着の中でコレだろ。その気になると、まぁ、な。
おかげで『オンナノコ』には痛がられちまうしな。
ま、その分虜になる相手も多いが」
股間を見ての意見を言われれば、少しバツ悪そうに笑う男。
まじまじと見れば、相手のボディライン。
確かに、軍服ということで見逃していたが。女性的、かつ色気のあるボディラインであることは間違いがなく。
男の股間が、徐々に膨らんでいってしまう。
■フォーコ > 「まあ、砦を取り返すと言えば聞こえがいいが、
要らないのでお返しします、みたいな感じだったからなあ。
しかも部下には私が取り戻したみたい体で話してしまってるからなあ~~~。
…あ、これはあれだ。 熱くなると火が出る体質でな。」
肩をがっくりと落とし、愚痴とため息を吐きだしていると彼の視線。
驚かれた私はとりあえずの説明を口にする。
うちは火攻めで有名なのでそれほど違和感はないかもしれないが。
「残念ながら王でも覇者でもないのだよ。
只のダークエルフだからな。」
今日は溜息がとことん出てくる。
「いやあ、別に疑いはしないが。
ただまあ、魔王のことはもっと色々知りたい所だからな。
一度アポを取ってくれるとありがたいな。
別に襲い掛かったりはしないから安心してくれ。」
世間では狂犬と言われたりもしているので、彼がどう思っているかは分からないが
思うがままを口に出した。
「すまないな。 報酬は弾もう。
空振りが多くなりそうなので、頭の隅に入れる程度にしてくれ。
それなら今日の分け前は朱金だけ貰えればいい。
サンプルすら手に入らない状態だからな。」
彼が言う朱金が私の求める品かは不明だが、今日は少なくとも空振りにならずに済んだ。
私は漸く瞳に光が灯る。
「おい、今日はそういうことはなしだぞ。
また別の日にしてくれ。
そろそろ任地にいかねばならんからな。」
彼の視線が私の身体を舐めまわす。
私も同じことをよくしているのですぐに分かった。
ただ、今日はそういうことをする時間がない。
なので、顔の前で両手でバッテンを作る。
■セイン=ディバン > 「なるほど。そういうことか。ま、超越者の考えることはよぉ分からんからなぁ。
いいじゃないか。実際その通りなんだから。……へぇ。面白い体質だな。キレイだし。
……ちなみに、その魔王様。名前とか教えてもらえる?」
奪っておきながら気楽に返す。魔王とかならやりかねないことだ。
ずいぶん疲れていそうな相手の様子を、肩を叩いて労う男。
燃える髪をキレイだ、と言いながら。念のため、魔王の名を聞こうとする。
もしかしたら、知り合いの可能性はあるのだ。
「ははは。それを言ったら俺は卑怯な技が得意な冒険者風情だ」
ただの、ではないだろうと思いつつ。男は声上げて笑う。
相手の実力。気にはなるが、面と向かっては味わいたくないな、とも。
「信じるんかい。懐広いなぁ。
あ~、すまん。実は今別居中。浮気が過ぎて、怒られて。
他の魔王様とかの情報でよければ提供できるぜ」
信じてもらえた上に、踏み込まれれば。男は自身の恥を隠さずにさらす。
そのまま、相手に情報提供をしようか、と提案してみる。
紹介できる魔王。三人。あるいはそれに匹敵する超越者。三人。
「ははははは。気にしないでくれ。
報酬もギルド規定の物で構わないよ。
分かった。とりあえずは、覚えておく。朱金に関しても提供しよう。
キミが求めるサイズに足りるかは分からないけど、サンプルくらいにはなるかもな」
相手からの言葉には、笑顔で答える。正式に依頼を持ってきてくれるなら、相手は依頼主。
敬意を払うのは当然であるし、男もその必要を感じている。
とりあえず、朱金に関しては提供しよう、と言いつつ。
相手が求めるそれが不老不死のためのものだとは、露ほどに考えない。
「いやいやいや!? オレ、そんなことは考えてはいないぞ!?
こ、これは生理反応だ! それに、もしもそんな雰囲気なら、もっとムードを大切にする!
……って、もしかして、別の日なら付き合ってくれるのかよ?」
慌てて否定する男。色事は好きだし、節操無しではあるけど。
今のシチュエーションはさすがにムリだろ、と。
ただ、相手が別の日に、なんて言えば。それをついつい期待してしまって。息子は限界まで勃起してしまっていた。
ついでに、鼻の下も伸びていたりする。だらしのない男だ。
■フォーコ > 「よく分からんではすまんだろう。
この国はその超越者の集まりと国境を争っているわけだからな。
理想を言うなら彼らより優位に立っておかないとな。
確か、魔王ヴェパールって名乗っていたぞ。
水を使う魔王だったな。
私は火だから愛称は悪いと言えるな。」
肩を叩かれ、髪を褒められると少し照れてしまう。
やはり褒められると気持ちが良い。
なので聴かれた事にも素直に答えてしまう。
「良いのではないか?
それで傷も受けずに勝てるなら。」
私もたまにはスマートに勝ちたい。
「そんな嘘をついても仕方がないだろう。
ちゃんと結婚する前に浮気しまくりますって許可を求めておかないとな。
なら教えて貰えるか? 勿論、君から聴いたことは黙っておくとしよう。」
これは報酬を上乗せすべきかと頭の中で計算する。
しかし、現在別居中とは。
魔王もなかなか人間味があって面白い。
「ギルド規定とは言うが、なかなかのレアアイテムすぎてな。
恐らくギルドでも達成したことはないのではないか?
まずは実物を見ないとな。 人に依頼を出すことも出来ん。」
彼が思わぬ物を手にしていたので、私はこのまま依頼を継続させる。
ひょっとしたら、彼なら私が求める物を持ちこんでくれるかもしれない。
「そんなに大きくしておいてムードも何もないだろう。
ちなみに私はムードはあまり気にしない方だ。
まあ、君次第だな。
私に興味があるのなら手紙や言伝でもしてくればいい。
第五師団でも、アッサルト家でも私には繫がるからな。」
今日は流石にこれ以上彼の男性器を刺激するのは可哀そうなので、
背を向けて彼が洗い終えるのを待つ。
その後は彼の案内で山賊の宝に向かい、朱金を持ち帰ることだろう。
■セイン=ディバン > 「いや、結構関わった結果判明した。
あいつらは、人間や亜人の範疇で考えちゃいかん。
俺たちの尺度なんぞじゃ測れんよ、あいつらは。
……ふむ。知らない魔王だな。こっちでもちょっと調べてみようかな」
相手の気概は分からなくはないけど。相手が悪い。
魔王の考えなど、人間の理解の外だろうから。
「ま、互いの得意分野は違う、ってことだな。
オレだって圧倒的な実力で勝ちたいもんだし」
そういう実力者になれたのならば。知人、というか。
怨敵どもにも一泡ふかせられるだろうにな、と思うけど。
現状ではムリだろう。
「そりゃ確かに。いや、許可は頂いてたんだが。ちとやりすぎたんだよな。
オッケ。まず魔王なら、妻のベルフェゴール。その姉貴分のベルゼブル。そして魔王ラシュフェル。この三人は話が通じる。居場所は分からないけど、結構街にもいるな」
相手の言葉に、男は魔王の名を教えつつ、メモにその特徴などを記し手渡す。
この三人なら、いきなり戦闘になったりはしないだろう、と。
たぶん、だけど。
「あぁ、そうなのか。ま、オレも実はどんな物かは知らないんだよな。
オレの持つ『宝物鑑定』のスキルは、自動的に物品の名前が分かるけど。おれ自身にその二つの金属の知識はないわけだから」
男が身に着けた宝物鑑定は、常駐自動スキルのようなもの。
効果や名前、価値こそ分かるが。男にその知識がない以上は、そういう名前の金属、としか分からないのだ。
「ぐ、反論できない。……気にしようよ、そこは。
ははははは。そんなにまっすぐ誘われたのは久しぶりだ。
分かった。もしも縁があったなら、な」
忌避する様子すら見せぬ相手に、男は笑いつつも。
これ以上は風邪を引く、とばかりに服を着込み、服自体に炎属性をエンチャントさせて乾かす。
そうして渡した朱金。ブツとしては間違いはないのだろうが。
さて、相手にはご満足いただけただろうか……?
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