2017/12/26 のログ
■リュシー > (大丈夫、だとか、思えるはずがなかった。
背後から聞こえる声は少女のものであるようだけれど、
それなりに痛い目にもあってきている身としては、相手が少女だって、
身の安全が保障されないこともある、と学んでいるのだ。
しかし、彼女の手をこちらから引き剥がすことはできず―――
かすかに、けれど不穏な響きの声が、あるいは音が、無力な人間に過ぎない己の耳を震わせる。
一瞬、心臓を鷲掴みにされたような気がしたのは、本能的な恐怖によるものだろうか。
ともあれ、―――彼女が手を離すなら、己は両手を目の前の地面につき、
這いずるようにわずか、距離をとってから振り返ろうと。)
――――― ぁ… あ、
………あなた、誰………?
(だれ―――と、そう問うた瞬間にも。
ぞくん、と背筋を駆けのぼった悪寒と、下腹を襲う疼くような熱感。
腰が抜けたような、無様な格好で彼女へと振り返り、
その姿を見つめる瞳には当惑と、警戒と、恐怖と―――何もかもが綯い交ぜになった、
混乱のいろが躍っていた。)
■マヌエラ > 「私?」
にこっ。笑う顔は、年齢相応よりもやや下に思えるほど無邪気なものだった。
「私はねぇ――通りすがりの魔法使い、なんてどう?」
マジックワンドをタクトのように振る。
「可憐な少女のピンチに、駆けつけたの!」
後ずさったかすかな距離をゼロにするようにリュシーの前に飛び込んで、膝頭がぶつかるほどの距離に座る。瞳がリュシーを覗き込む。
「楽しいでしょ?」
■リュシー > (彼女の笑顔はたしかに、とても可愛い。
でもどうしてだろう、なんだかとっても―――ものすごく、いやな予感がするのだ。
無邪気にワンドを振るう彼女の言葉に、ぽつり、思ったままが口をついてしまう。)
――――胡散くさ、……ぅわ、っ!
(通りすがりの何とかさん、というだけでなかなかに怪しいが、
魔法使い―――まほうつかい、とか。
せっかく稼いだ距離を再びゼロに戻されて、どころか、
ほとんどマイナスにまで持ちこまれて、仰け反り気味に顎を引き。
ゆらゆらと揺れ動く碧い瞳で、じっと彼女を見つめるまま)
……楽しんでるのは、そっち、でしょ。
(言外に、こちらは決して楽しくない、と伝えたつもりだった。)
■マヌエラ > 「そっか! そうかも! 楽しいのは私だけで、キミは楽しくないかも知れない。ありがとう、教えてくれて!」
険のあるリュシーの言葉にも全く動じるそぶりはなく、きゃらきゃらと幼い笑い声を響かせた。
「教えてもらったからには、私、がんばるね! がんばって、楽しく、するね?」
その言葉だけ取り上げれば健気といってもいい。
だが実際に起こったことは――少女の足元の影の中から、ぞる、と無数の触手が現れた、ということだった。
「大丈夫…あの時みたいに、楽しくしてあげる! リュシー!」
笑う顔。響く声。気付くだろうか。それはかつて、リュシーを襲った触手の持ち主が成長すればこうなる、という顔と声であることに。
■リュシー > あり、……いや、その、あの、―――――
(くじけない子だ。
というよりも、やはりどこか―――何かが、おかしかった。
不自然なほどに無邪気な笑いかたも、ことさらに明るい言いまわしも。
楽しくする、って、いったい、どういう意味なのか。
―――そう尋ねる隙は、残念ながら与えてもらえなかった。)
え、―――― やっ、なに、これ、ッきゃああ、あ……!
(西日が深い影を落とす、宵闇色の、そのなかから。
ぞろりと這い出してきた異形のものたちが、瞬く間に己の四肢を絡め取りにくる。
悲鳴をあげて身を捩り、振りほどこうと暴れるほどに深く、強く―――
彼女の意図するままに、もしかしたらそれ以上に。
戒められ、着衣越しの四肢を舐られながら―――彼女の口から飛び出した、己の名前に。
一瞬にして、先刻までの悪寒の正体を悟ることになる。)
ぁ、……あ、―――――― いや、いや、っ………、
やめ、て、来ないで、解いて、これ、ほどいてえ、ぇ……!
だ、……だれ、か、誰かあ、ッ……!
(悲鳴も、哀願も、彼女にしか聞こえないとしても。
無駄だと知っていても、振り絞らずにいられなかった。
だって、――――彼女は。
彼女はまた、己を壊しにきたのだと、気づいてしまったのだから。)
■マヌエラ > 響き渡る悲鳴。気付いたときには、遅すぎる――
「大丈夫、大丈夫。リュシー、私言ったよね。もう、誰からも見えない、って」
にこにこと友好的な笑顔を向けながら、絶望的な事実を確かめる。そうする間にも触手は這いずり、四肢を締め付けながら粘液を塗りたくり、螺旋状に上り行く。
「ふふっ! また、そうやって照れちゃってる!
あのときも、あんなに悦んでくれたんだから……知ってるんだよ? このマヌエラは」
得意げな表情は愛嬌があったが、触手はおぞましい媚毒粘液を塗りたくりながら、衣服の中へと入り込んでいく。その触手が、服の上からもはっきり分かるほどに布地を盛り上げて。
■リュシー > (大丈夫、と繰り返す彼女の言葉は、いともたやすく己を突き落とす。
もう見えない、聞こえない、誰にも気づいてもらえない。
青ざめた己の顔が恐怖に強張り切っているのさえ、彼女には『楽しい』のだろうか。)
や、ッやだ、いや、やめて、もぉ、や、あんなの、いやあ、っ……、
おね、が、やめて、許して、おねが、ッ―――― ひ、ぁん、ゃあっ、あああ……!
(ぞろり、ずるり、おぞましい濡れ音を響かせながら、無数の触手が四肢を絡め取り、
ドレスの裾へ、袖口へ、うぞうぞと潜りこんでくる。
白い肌は瞬く間に淡く色づき、ざわめいて熱を孕み――――
ふたつの乳房へ、そして、秘められているべき女の部分へも。
辿り着けば的確に、敏感な突起を探り当てて嬲りはじめるそれらに、
己の肢体ははしたなく躍らされることになる。
くちゅり、くちゅり―――洩れ聞こえる湿った音は、触手の纏う粘液のものか、それとも。)
や、ら、ひゃめて、おね、が………ひ、もぉ、んんん、っ……!
ん、んふ、ぅ――――――ぅ、ぁむ、ぅんん……!
(触手の一部が、とうとう、首筋から顎を伝って口許まで辿り着いた。
泣き叫ぶ唇を、舌先の抵抗も押しのけて、喉奥まで。
入りこまれてしまえば、もう、哀訴すら甘くくぐもるばかりに。)
■リュシー > (夕焼けの色はいつしか消え失せ、辺りには青い闇が垂れこめる。
粘つく異形に絡みつかれ、淫らにおどる己の身体は、誰の目にも触れず―――――
誰にも気づかれぬままに、弄られ、穢され、壊されてゆく。
朝までには解き放たれるのか、それとも朝が昼になり、再び夜が来ても囚われたままなのか。
それはひとえに、彼女の意志によって決められること。
己に出来るのはただ、彼女を楽しませるために、喘ぎ、泣き、善がり狂う姿を曝すことだけ、であり―――――。)
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からリュシーさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からマヌエラさんが去りました。