2017/11/21 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (ダイラスから王都へ向かう街道の道端に、ぽつりと転がる片方だけの華奢な靴。
直ぐ傍には一台の荷馬車が止められており、金を掴まされた小太りの御者が一人、
そろそろもらった金に待ち時間が見合わなくなってきた、などと考えている様子。

がさがさ、がさがさ。
街道を挟んで左右に広がる、丈高い草に覆われた荒れ野原のそこここに、
転がり落ちた―――否、みずから転げ出た積み荷を探す男たちの気配。

もうひとつの靴までも脱ぎ転がし、更に数歩、這うように進んで縺れこんだ叢の中に、
探しもの、かつ、積み荷であった「少女」の姿はあった。
両腕でお腹を庇い、胎児のように身を丸めて横臥する「少女」の顔は、
苦痛をこらえるように顰められて、不自然な赤みを帯びてみえる。

―――とうとう追っ手に捕まって、王都へ送り届けられる途中。
なんとか逃げ出したは良いけれど、ここまで、かもしれない。
捕獲される際に嗅がされた薬のせいか、荷馬車から転げ出る時、
どこか打ちどころでも悪かったのか。
身体が熱くて、痛いというよりも痺れて、もう、力が入らない。
見つかるのも時間の問題かもしれない、けれど、もっと恐ろしいのは。
このまま、誰にも見つからずに放置されてしまうこと、かもしれなかった。)

リュシー > (声が、人の足音が、怒号が遠ざかる。
幾許かの時が流れれば、自力で起き上がることも出来るだろうか。
あるいは―――

その顛末が語られるのは、もう、しばらく先のこととなるようだった。)

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」からリュシーさんが去りました。