2017/10/10 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にチルユキさんが現れました。
チルユキ > 木の洞でまどろんでいると、近くから騒音に似た声が沸き起こり、幾人か分の重たい足音が連なり遠ざかっていく。

寝惚けた眼をごしごしと擦り、木の葉を払って起き上がる。空腹を自覚するが、未だ理性を失う程では無い。無いが、飢餓に近づく感覚は己の良く知る物で。

何者かが出て来た一角に身を寄せる。

チルユキ > 草木で入念に隠されていたが、今しがた出ていったばかりの特有の気配は、鼻の利く己には何の役にも経たず。

掻き分けようと手指を伸ばすと、葉に隠された鉄線の鋭さが皮膚を浅く裂く。
鋭い痛みと然程間を置かずに赤い血の雫が滴り落ちて黒く乾いた地面に落ちる。

指先を咥えても、己の循環では然程腹も満たされない。
不機嫌そうに眉を寄せ、睨み付けた先で草葉が、鉄の棘が。潜められた薄刃まで。
薄紙を千切るようにばらばらと細切れになって崩れ落ちていく。

意趣返しを果たしたとばかり満足そうに咽喉を鳴らし、地面に落ちたそれらを踏みつけて砦の中へと身を潜らせる。

―――隠された入口は態を為さずに、番人めいた牙も砕かれ。丸見えとなり果て。其れを背後に足を内部へと運び、

チルユキ > ふと足を止める。ワンピースの裾を翻して、何処かへと、
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からチルユキさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にラフェルさんが現れました。
ラフェル > 九頭龍山脈の麓に続く街道、湾港都市ダイラスとゾス村やタナール砦を繋ぐ、通称山賊街道と呼ばれる街道である。
その中間地点付近に当たる位置か、街道から外れた場所に横倒しとなった馬車があった。
馬車を引く馬も居ない、荷台の荷物もない。
ただ、側に御者や乗車していたであろう数人の男女が倒れている。
その状況を見ただけで、ここで何が起こったのか容易に想像が出来るだろう。

そこへと姿を現わしたのは空から舞い降りる小さな天使。
柔らかな動きでその場に降り立つと、一度辺りを確かめるように見回した。

改めて地面に倒れた者達を見遣り、悲しげな表情を浮かべながら目を閉じ、胸元で祈るように手を組んで。
そのまま静かに祈りを捧げ始めた。

ラフェル > 「人間同士でも、こうして命を奪い合う。
魔族、ミレー族、精霊や妖精達、動物に魔物…この世界には多くの存在が生きている。
生命に軽きも重きも無いはずなのに、何かが違うだけで、力を持たないだけで、どうして…」

祈りを終えたか、天使は閉じていた目を開いた。
両手はまだ組んだまま、視線を地面に落として小さな声で呟いて。
それは、たまに浮かんでは消えてゆく自分を悩ませる考えだった。

天使の一部は、すべての魔物や魔族、そして魔王は打ち滅ぼすべき存在だと主張する。
他の存在を脅かし、時には命を奪い、混乱を生じさせる存在だと。
しかし、自分はどうしても納得し切れなかった。
こうして、その種族以外でもこのような出来事が起こっている。
考え方次第では、天使のその考え方が、逆にそういった存在を脅かすものではないかと。
そんな考え方をするのは、自分がまだ見習いの天使だからだろうか?

こうして、いつも浮かぶ考えは、いつも同じ答えで止まり…消えてゆくのだ。