2017/08/11 のログ
■タマモ > まったく、油断をしていた。
鬱蒼とした山中を歩きながら、はふん、と溜息を一つ。
多分、日中は日が照っていたはずだ…木々の茂みのせいで、上がはっきりと見えないから言い切れないが。
それでも、それなりの暑さを感じていたのだから、きっとそうだろう。
まぁ、とりあえず、それは良しとしておく。
問題は、さっきまで激しく降ってくれた通り雨だ。
小雨ならば、そう茂みの下となる今の場所は何ら影響はない。
だが、大降りとなれば話は別である。
しっかりと茂みの下を歩く自分にも水滴は降り注ぎ、その結果…こうして、またずぶ濡れになった訳で。
また濡れるわ、かなり歩いているのに道も見えないわ、踏んだり蹴ったりである。
一旦足を止め、ぐるりと見渡すが…やはり、方角なんて分かりやしない。
げしっ、と手近な石を蹴り付ける。
そして、いつものように屈み込むのであった。
■タマモ > 「むぅ…やはり、あの程度で許してやるんではなかったのぅ…
もう少し、気を晴らしてやればよかったか…?」
自業自得による足の痛みが引けば、よいせ、と立ち上がる。
日中の出来事を思い出しながら、ぽつりと呟いた。
大した事ではない、この山中だ、盗賊の一つや二つ、見るもので…そんなに見るものじゃない?気にするな。
ともあれ、まだ日の悪さもあり、出会った盗賊達は普段とは逆の慰み者となって打ち捨てられた。
まだ満月の直後でなければ、軽く打ちのめす程度で済んだかもしれないだけに、哀れである。
が、次いでのこの状況に、まあ気の昂ぶりはいまだにくすぶっている。
また次に会うようならば、今度はもう少し遊ばせて貰おう。
その相手は盗賊に限らず、ではあるかもしれないが。
■タマモ > 軽く腕を組み、考え込む。
唯一の救いは、己の扱う狐火はこの程度では消えない事だ。
こんな暗い場所、灯りも無く進むのだけはご免である。
さてはて、歩いて帰るのは良いが、このままでは拙い。
せめて、道の一つでも見付かってくれれば救いはあるが…
「もしや、逆に深い場所に向かってしまったんじゃろうか?
そうなると、ちと面倒なのじゃが…うーむ…」
食べ物に困ったりはしない、着付けている着物が濡れる以外にどうこうなる事もない、雨風を凌げる場所があれば休憩も出来る。
衣食住で問題は無いのだが、やはりあれだ…何も無いのがいけない。
せめて、気晴らしの出来る何かを持ってくるべきだったか…そう思う。
さて、道でないにしても、何かないものか…そんな淡い期待を持ち、歩みを再開した。
■タマモ > 歩みを進める中、ふとした考えが過ぎる。
ここは九頭龍山脈の山中、もし奥へと入り込んでいるなら、あるものは何なのか、と。
人里なんてものは無い、あるとすれば、ミレー族の隠れ里だ。
そして、そこには大概隠す為の力が働いている。
…まぁ、自分にとっては、大した意味もない力なのだが。
魔力は感じずとも、人知を超えた直観力がそれを探り当ててしまう。
「………そうなると、少し考えねばならんのぅ」
軽く視線を後ろへと向けると、次の瞬間、ぽんっ、と視線の先にあるものが消えた。
力の象徴たるものが形となったもの、複数の尻尾だ。
これで、付近を通ろうとも怪しまれる事はないだろう。
服装以外は、何の変哲も無いミレー族として見えるはずだから。
それ以外の者と会おうとも、ここに居て違和感はないだろう。
ふむ、と一つ頷けば、少し考え…歩む方向を、少し修正した。
何でそうしたのかと問われれば、何と無く、である。
■タマモ > 生きる上では難も無いが、刺激の無い時間は正直辛い。
こうした時に限って、出てくるのは微妙な連中ばかり。
そういうものが無くとも、せめて戻るべき場所へは戻りたいもの。
果たして、そう物事が上手く進むのかは…謎である。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。