2017/07/19 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にジンさんが現れました。
ジン > 九頭龍山脈、麓に近い森林の中にある、それなりに広がった空間。
その中央で、男は座禅を組んでいた。
今がどんな時期であろうと、やる事は変わらない。
周囲の監視をし、それを終えれば、己の腕を落とさぬ為に修練を積む…それだけである。

脇に置いた鞘に収められた刀、それを手にする。
すらりと鞘から刀を抜き、鞘は腰に差し、ゆっくりと構えを取る。
そして、その瞳を閉じて…

かんっ、と澄んだ音と共に、地面から小石が一つ浮き上がった。
更にもう一つ、二つ、三つ、次々と地面から小石が宙に舞う。
幾つもの小石が舞うも、それは重力に従い、落下を始める。
だが、そこからまた地面に落ちる前に、その小石は同じ音を立て、再び宙へと舞い上がってゆく。
大した事ではない、刀を手繰り、小石を上へと弾いているのだ。
ただし、その瞳は閉じられたままだが。

ジン > 静かだった森林の中に、何度も音が響き続ける。
男の周囲に舞う小石の数は、すでに二桁を越えていた。
しかし、一つたりとも、その小石は地面に落ちてはいない。
しかも、傷付いたり欠けさせたりもしていない。
素早く、正確に、そして丁寧に、落ちる小石に刀の平地の部分を当てている。

刀を己が身と同様に扱う、極めの域に達した業。
それなりに時間が経とうとも、動きに狂いは無く、息切れ一つしていない。
それでも、男は延々とそれを繰り返し続けて。

ジン > どれくらいの時間が経過したか、小石はいまだ地面へと落ちる事はない。
と、不意に男の姿がその場から消えた。
とん、と背後から地面を蹴る音、しかし、次の瞬間には男の姿は前方にあった。
そのまま、流れるような動きで、刀を鞘へと差し…ぱちん、と収める。
弾かれる事もなくなり、落下をしていた小石だが、その音と共に、すぅっと線が入り…真っ二つにすべて割れていった。

「………こんなものか」

ふぅ、と息を一つ吐き、男は呟く。
その視線は、地面に落ちる、すべて二つに割れた小石へ向けられていた。

ジン > 普通にやる分であれば、この程度でも十分だろう。
だが、ここではそれでは足りない事は経験していた。
軽く腕を組み、夜空を見上げる。

「やはり、問題は魔法か…」

主ではないが、魔法の知識に関してはまだ疎い。
陰陽術に近いものならば、何とかなるのだが…前のような、刃も通らない状態にされると手も足も出ないのだ。
ある程度の知識を得られれば、それなりの対応手段とて練れるかもしれない。
さすがに、それに関しては、まだ蜘蛛も情報を集めている段階か。
後の一人ならば、多分、理解しているのだろうが…間違いなくはぐらかされるだろう。

さて、ただ考えているだけでは、何の解決にもならないか。
かと言って、すぐにどうこう出来るようなものでもない。
ならば、今それで深く悩んでも仕方が無いだろう。
そう思えば、思考をすぐに切り替える。
やれる事を今はやるのみ、つまりは、修練の再開である。

ジン > 「剣術ばかりもあれか…後は体術の修練でもするか」

己の身を鍛える事も、今では趣味の一つとでもなろうか。
この付近は森林地帯だ、やれる事も多いだろう。
踵を返せば、男はそのまま木々の中へと姿を消していった。

ご案内:「九頭龍山脈 山中」からジンさんが去りました。