2017/07/15 のログ
ハン > 「うーぃ」

瓢箪から酒を呷った道士は至福の声を漏らした。
仙界で術を学んで数十年。肉体はいまだ若いままだが、やはり人間のもつ業からは逃れられない。
たとえば酒、たとえば女だ。それらすべて人の持つ業なのだ。
業への執着から逃れられた時、道士は仙人に馴れるのだと思っている。
しかしまだ遠い遠い日の話になりそうだった。

「今のところ羅盤には反応がないのう。儂の思い過ごしだったかな?」

物事には兆しというものがある。
三度鳴いた梟が四度目を途中で止めると魔が現れると言われており、蛙が腹を見せて仰向けのまま移動してると金運に恵まれるという。
道士はその兆しを深く信じていた。

ハン > 太陽が山から顔を覗かせた。
朝が来たのだ。

「ふああ……やれやれ、眠ってしまったみたいだわい」

月光剣の力は朝日と共に消える。光の剣は元の木剣に戻ってしまっていた。
道士は剣を懐に収める。道士の服は風水術ですぐに武器を出し入れできるように作られているのだ。

「どれ今日も魔に悩んどる人たちの元へ向かうかの」

まだ酒が頭に残っているのか。千鳥足のまま山を歩いていった。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からハンさんが去りました。