2017/06/15 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にオルナさんが現れました。
オルナ > 街道をやや外れた山中。野生の動植物の気配ばかりが感じられる場所。
そこに黒の羽織が保護色とは程遠く。生い茂る草を掻き分ける手は白かった。

「やっぱり、……仕入れた方が。安上がり」

独り言ちた言葉は遠く聞こえる野鳥の声に消える。時刻は夕刻に差し掛かり、
そろそろ下山しなければ危ういのだが、まだ目当ての薬草の量には程遠かった。
というのも九頭竜山脈でしか取れない代物は、それ目当ての冒険者の依頼としては
よく出されるもの。駆け出しに近いか、危険を避けるのなら手頃な依頼の一つだった。
運悪く友人との都合がつかず、即席の連れ合いも得られなかった為。一人きりでの作業となったが……

「無理せずに、……帰ろうかな」

多少報酬が減っていても、山賊や魔族に目を付けられるよりは。と思い直して下山を始めようと――

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にエズラさんが現れました。
エズラ > そこへふんわりと淡く漂う夕餉の香り――
女の居る場所からほど近いが、それまでさほど気配を感じさせなかったのは、夕餉の支度をしている者が、山中で暮らすことに慣れていたからか。

「ようし――もうそろそろ、か」

男がひとり、簡易テントの側で火を熾し、ゆらゆらと小さな鍋を掻き回している――
昼間に捕らえた獣の肉をふんだんに使ったスープの芳香は、長時間薬草探しをしていた者の鼻と腹に、程よい刺激を与えるであろうか――

オルナ > 「ん、……」
何処からか伝ってくる人の手の加わった香り。不得手な長時間の肉体労働で
下山方向と丁度合っていたせいかぽう、と魔術の方位を示す淡い光宿して。
もうすぐ日もとっぷりと暮れてしまう宵闇の中。がさりがさりと獣と異なった派手な足音。

「……ぁ」

少しばかり開けた場所に出るなり、簡易テントが目に入り。伝うのはより濃い夕餉の香り。
薬草を半ばほど積み込んだ籠を背負った出で立ちで、目をぱちくりとさせるものの。
ぐぅ、と音を立てて気恥ずかしさからか見なかったことにしようと立ち去る間際。鍋を回す相手に
既視感を覚えて、

「あれ……依頼。もしかして一緒の……?」

幾度か冒険者ギルドの受付ですれ違い。挨拶程度の会釈を交わしている相手だと知れて。つい言葉を投げてしまった。

エズラ > 物音に気付いた男が、傍らの剣に手を伸ばす――程なくして、その表情は緩く崩れることになった。
現れたのは、知り合い――というほどでもなかったが、何度か見かけた顔であった。

「おお、あんた確か――オ、オルナ、だったか」

少し自信がなかったが、頭に浮かんだ名を口にする。
火の様子を横目で確認しつつ、くっく、と喉を鳴らす――

「その籠――採集の依頼か?オレの方は、今日は仕事じゃねぇ――たまに狩りをな」

椅子がわりに腰かけていた丸太――自分の隣を指差して。

「疲れたろう、突っ立ってねぇで座りなよ――今日はなかなかの大物が獲れたんだ、二人の腹を満たすにゃ十分だぜ」

どうやら、腹の音はしっかり聞いていた様子である。