2017/04/02 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 夜空の光は雲に覆われ、辺りは薄暗い闇に包まれる森の中。
この九頭龍山脈から下りて行くように進んでいる、そんな灯りが一つ。
しかし、何かに妨げられたかのように角度を変え、横へと移動を始める。
しばらくして、再び下ろうと移動先を変えようとすれば…また何かに妨げられたようにあらぬ方向へと変わる。
灯りの元は、ミレー族の少女が灯す光。
その表情には怒りや焦り、恐怖と入り混じった複雑なものが浮かんでいた。
小さな灯りを頼りに森を突き進むも、それが妨げる相手への目印になるのは分かっている。
だが、それが無ければ危険で進めない。
試しに消して難を逃れようともしたが…まるでそんなものは関係ないとばかりに、襲われる。
攻撃をしようにも、相手は同じミレー族の姿、安易に手を出す事も出来ずにいた。
『こうやって、他の皆もその手に…』
心中、こんな考えを浮かべ、こんな言葉でも頭に浮かべているのだろう。
近からず遠からずだ、何せ…確かに今まで襲ったミレー族達も色んな手を使い喰らってきたのだから。
灯りの移動先を読み、先回りをする。
今の姿での攻撃の射程内に入ったら、威嚇射撃をする。
それでまた、あの獲物は方向を変えるのだろう。
逃げようとする先は分かっている、麓にある集落、そこに向かわせなければ良いだけの話。
それに…今回は、探していた相手だ。
手元にまだない、水の使い手。
追いながら自然と笑いが込み上げる、収集家が目的の物を探し当てる気持ちとは、こんなものなのだろうと。
■タマモ > この手の輩は、同族の姿に弱い。
今、己の姿は追っている少女の仲間であったミレー族の少女の一人。
こうするだけで、攻撃の手がかなり緩められてしまう。
もっとも…水を使う相手に対して、今こちらが使うのは地の力。
土は水に対しての相剋、そもそもこちらが有利なのだ。
さて、それはそうと…思っていたよりも頑張っているか。
それでも、それはこちらが飽きるまでの事ではある。
…いい加減に終わらせてやろうか…
そう思考が回り始めれば、闇から闇へと移動していたのを止めた。
程よく、ミレー族の少女は小さく開けた場所に辿り着く。
その目の前に、ふわりと着地をしてやった。
はっきりと相手の瞳に映るのは、思っていた通りの人物であるのだろう。
よほどそれに怒りを覚えたのだろうか、耳に歯軋りの音が僅かに聞こえる。
「まぁ、遊びはここまでにしようか…丁度良い食事場所に案内してくれたのじゃからのぅ?」
姿とは裏腹に、覚えの無い声で言葉が紡がれている、そんなところか。
言葉の意味を察したか、ミレー族の少女はその手に銃のような武器を構えた。
■タマモ > 構える武器に、膨らむ水の魔力が感じられる。
さすがに、姿だけでは緩まる程度で攻撃を止めるには至らぬか。
ならば…
「…その魔法銃を下ろして、本当は、私は攻撃を当てるつもりなんて…」
一転、次の言葉は声色を姿本人のものへと変え、表情も相手の知っているものを見せてやる。
ついでに、実は…なんて、ありがちな素振りを見せた。
急変する相手の様子に、一瞬の戸惑い。
…こうして未熟な小娘の隙を生み出してみせるのは、楽しいもの。
その一瞬の隙を付き、こちらが今度は魔法銃を向け、躊躇無く魔力を打ち放つ。
「…あるに決まっておるじゃろう?」
声色を戻した、この言葉を聞かせながら。
放ち損じた魔力は放たれる事はなく、こちらの石弾に体を強かに打ち付けられ、ぐらりと身が揺らぐ。
その手から魔法銃が落ち…膝を付いた。
■タマモ > 「そもそも、お主如きの攻撃を受ける程、妾は耄碌しておらぬが…
ふふ…こうした遊びも、たまには良いものじゃろう?」
膝を付きながら、視線だけを何とかこちらへと向けるミレー族の少女。
その目の前に居たはずの同族の姿は、気が付けば覚えのない別の少女の姿になっていた。
ミレー族…なのかは分からないが、同じ動物の耳や尾を持つ相手。
明らかに違うのは、その尾の数が複数ある事だろう。
くすくすと楽しげに笑いながら、ゆらゆらと歩み寄ってくる。
覚えのあった相手の魔力ならば、一撃でここまでの状態に追い込まれない。
今やっと、こうして相当な力の差があるのが理解出来た。
動きも取れない状態になって。
「………そのお遊びも、終わってしまえばこんなものじゃ。
そろそろ、その力も頂くとするかのぅ?」
どうやって他の皆の姿を、力を得たのかは、まだ分からない。
それも、これから自分が体験をするのだろうと、諦めの色が濃く現われていく。
目の前にまで近付いてきた少女、その手がゆっくりと伸ばされる。
■タマモ > …その後、どうなったのか。
それは、その場に居た2人のみが知る事。
少なくとも、その少女は行方不明として扱われる事だろう。
前に同じく行方不明となった少女達と共に。
そして、喰らった少女は収集をする喜びを知る。
もし他に変わった力を持つ者が現われたのならば、次はその者が狙われるかもしれない。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。