2017/02/16 のログ
ご案内:「九頭龍山脈の奥深く」にファトムさんが現れました。
■ファトム > 昼間は少し暖かいくらいの気温になり始めた。
春の足音が刻一刻と近づいている気配を感じ、木々もだんだんと芽吹き始めていた。
残っていた雪も解け始め、あとひと月もしたらこの山も再び緑が生い茂るだろう。
春の訪れを心待ちにしているのは、何も植物だけではない。
温かくなれば食べるものも増える。
無駄に命を刈り取ることが少なくなるのは、嬉しいことだ。
今日のファトムは、聊かご機嫌だった。
「………♪」
鼻歌などを歌いながら、薪の前でいつものように三角座り。
小枝で薪をつつき、火を絶やさないようにしながら魚を焼いていた。
この魚は、近くのミレー族の里から分けてもらったものだ。
同じミレー族、助け合うのは当然のことだと言ってくれた。
やっぱり、人間とは違うんだなとファトムは思った。
貴族の館にとらわれている間、奴隷仲間と言っていいのかはわからないが、同じ境遇のミレー族とは助け合った。
少ない食べ物を分け合い、時に肌を寄せ合って温め合った。
だが、人間たちはどうだっただろうか。
助けてくれた人間など、ついぞ見ることはなかった。
そればかりか、皆自分の事ばかりでミレー族であるファトムのことなど、爪弾きにしかしなかった。
もっと酷いときは、乱暴に犯され毎日泣いた。
それを思えば、ここに逃げ延びてきて独りぼっちだけど、ずっとましだった。
誰からも暴力を振るわれることはないし、乱暴されることもない。
心細くなる時はいくらもあるけれど、恐怖は一切感じない。
だから、今と昔を比べるとずっとましだった。
ご案内:「九頭龍山脈の奥深く」にガリアさんが現れました。
■ガリア > (春は、確かに近付いている――とは言え、だ、今はまだまだ
人間であれば、防寒装備を整えなければ寒気がするだろう森の中
周囲を見回しながら、ゆっくりとした足取りで歩いて行くのは
決して冒険に出かけた――と言う訳ではなく、単なる巡回だ
山賊や盗賊の類は、こう言った森を根城にする事が多い上に
存外、魔族やらが居付いて根城にしている場合も多いのだ
軽装、かつ布靴が立てる足音は限りなく無音に等しい
そして何よりも、森は歩き慣れている。)
――――――………。
(ふと、木々の合間に、ちらりと光が見えた
自然が発する物とは思えない、人工の明かり
松明か焚き火か、まさか山火事じゃ無いだろうなと双眸細めながら
明かりの方へと近付いて行けば――其処に、見つける影
はて、魔族とも山賊とも思えぬ其の姿は、少々意外だったけれど。
少しばかり其の様子を眺めながら、少しづつ距離を詰めて行こうか)
■ファトム > 「……いただきます。」
両手を合わせて、軽いお時期をするしぐさはお母さんに倣った。
こうして、命を貰うことに感謝をすることもまた、供養になるからと教えてもらった。
焼けた魚をひとくち、腹のところに噛みついて解れた身を食べる。
美味しいと思ってしまうのは、もう仕方がないと諦めた。
生きている以上、味覚もあるんだから素直に美味しいと思うことにした。
それまで否定するようになると、なんだか自分が何なのかわからなくなる。
咀嚼し、細かくなった魚の身を飲み込む。
分けてもらったと言っても、やっぱり新鮮なものだった。
焼いて食べるだけで、何よりも美味しいと感じてしまう。
機嫌がいいときは、食べるスピードも早かった。
「……ごちそうさま。」
もう一度手を合わせて、少女は魚の骨を持って立ち上がった。
すぐそばの木の根元に、穴を掘って魚の骨を埋めて手を合わせる。
願わくば、来世ではたくさんの友達に囲まれて、幸せに案外記できるようにと祈って。
火のそばに戻った時、少女はふと顔を上げた。
誰かがこっちに向かってきている気配がある。
また人間かと視線を鋭くして、太ももの短剣ミセリコルデに手を置いた。
人間がここに来ること自体、少女はいい感情を持っていない。
この辺りにはミレー族の集落が点在している。
人間が、お金になるとミレー族を襲うことは日常とも言えるから。
視線を感じた先、少女は鋭く睨みつけながら誰かが来るのを待った。
■ガリア > (微かに、鼻を鳴らす
漂って来るのは何かを焼いた様な香ばしい匂い、空腹を誘う物
森へと入る前に散々腹に詰め込んだから、まだ腹具合は大丈夫だが
これは、魚か、と矢鱈利く嗅覚で推測を付けて――少し唾液を飲み込んだ
さて、其れより何よりも、だ、明かりは近付けば大きくなり
明確に焚き火の其れで在る事を確信させる
木々の間から、ひょい、と其の先を覗き込めば
きっと其の先には少女の姿が在るのだろう――但し、如何やら
余り歓迎はされていなかった様だが。)
―――――………おっと、気付いてたかァ、勘が良いじゃネェか。
(既に、其の視線は己へと向けられていた。
鼻か、耳か、何れにしても森歩きの己に気付けるらしい
覗き込む形だった木々の後ろから、ゆっくりと姿を現しては
両手を掲げながら、取り敢えずは敵意が無い事を主張しつつ
其の儘、少なくとも己の姿が焚き火の明かりへ照らされる位までは進み出て。)
――……飯食ってる途中だったら悪ィな、ただ、明かりが見えたから寄っただけなんだぜ?
(脚を、止める。 少女の警戒範囲へと入り込まない程度に距離は保って。
頭の後ろで両掌を組み、其の儘暫し、少女の身なりを眺めれば
――ふぅん、と、僅かに首を傾げた
この森の中、例えエルフだったとしても、出歩く様な服装ではない
裸足の儘森を歩けば、如何に森歩きに慣れていようと、幾つもの傷を負うだろう
勿論、普通の人間であれば、だが)。
■ファトム > 分けてもらった魚は、少しまだ取り置きがあった。
明日の朝ごはんに、また焼いて食べるつもりで草の皿の上に乗せられている。
小ぶりな川魚で、その体にはすでに生気は宿ってはいなかった。
木々の隙間から、その影が顔を覗かせる。
人間と思わしきその影は、今まで出会った人間と同じように。
敵意がないことを示すかのように、頭の上で手を組んでいた。
だけれど、少女は太腿に隠しているミセリコルデを抜いた。
じりじりと近寄ってくる人間と思わしき影を凝視しながら、一定の距離を保つ。
明かりが見えたから寄っただけというが、この森にいる目的がわからない。
それに、この男はなんだか人間に見えるんだけど、すこし違う感じもする。
首をかしげながら、少しずつ警戒を解いていく。
「……勘がいいわけじゃない、耳と…鼻がちょっとがいいだけ。
お前は……何しにここに来たんだ?」
いつもならわかる、人間なら特有の腐ったような匂いがする。
着飾った、気の障るものすごい悪臭がする。
けど、目の前の男からはそれを感じなかった。
人間みたいな恰好をしているけれど、中身が何か別のもののような気がする。
明かりの中にいる男を凝視しながら、ミセリコルデの刃を下ろしていった。
「……お前が人間だったら、殺す。
けど…お前は人間じゃなさそう……、腐った匂いがしない。」
だから、たぶん大丈夫だと思った。
人間じゃないなら、ミレー族かほかの種族。
魔族だったらちょっと困るけれど、そんな感じもしない。
だから、少女は警戒を解いてほぅと一つ、安心したようにため息をついた。
■ガリア > (微かに、焚き火の明かりに照らされて、少女の太腿から刃が煌く
警戒感を剥き出しにする辺り、彼女がどんな経緯でこんな場所に居るのか
――何と無くでは在るが、想像出来てしまう様な気がした
くん、と軽く鼻を鳴らせば、木の焼ける臭いと、焼き魚の残り香の中
漂う彼女の匂いを嗅ぎ分けて、暫し考え込む
人間、では、恐らく無い。 見た目では判らないが、ミレー族だろうか
大方、狩人に追われたか、或いは逃げ出した奴隷か
そんな推測は、次に、彼女から投げ掛けられた言葉で、確信に近付いて。)
成る程なァ、これでも邪魔しないように、こっそりしてたんだぜ?
クク、俺はアレだ、森の中を散歩して、平和か如何か確かめてただけだ。
(手は、頭の後ろで組んだ儘だけれども、告げる声は何処か暢気に
抜き放たれた短剣にも、特段恐れる様子も見せずに、暫しその場に佇めば
きっと、少女の警戒が多少なりと解けた所で、漸く一歩を踏み出そう
また警戒が深まるなら、歩みをその場で止めて、赦されるなら
せめてお互いに、焚き火に照らされ、顔が良く見える辺りまで。)
狩人でも、奴隷商人でもねーよ、一緒にすんな。
そう言うオメーは、アレか、大方逃げて隠れてるミレー族ってトコか?
(まぁ、そうでもなければ此処まで警戒を抱かれる事も無いだろう
――まぁ、自分の姿が山賊に見えた、とか言われたなら、言い返せないが)。