2017/02/02 のログ
ご案内:「九頭龍山脈の奥深く」にファトムさんが現れました。
ファトム > 今日の夜は、一段と寒かった。
最近暖かい日が続いていたということもあって、冷たい風は一段と凍える。
火にあたっている少女もまた、寒さに身を縮こませていた。

もともと、温かい服装をしていないというのもある。
奴隷として逃げてきたときの服装そのままで、ずっとすごしていた。
少女には、教えられるべき魔術の心得というものが欠如しているため。
そのために、ほかのミレー族の里の場所がわからないのだ。

助けを乞うこともできず、こうして結局は人間のところで得た知識。
火をともして、ものを炊き暖かい場所を作る。
結局、その知識が今の少女を助ける結果となっていた。

「………うぅ…。」

みじめな自分に、涙すら浮かんでくる。
人間が大嫌いで、信じることができないのに。

その、人間に教えられた知識でしか、自分を助けることができない。
魚を捕る技術だってそう、短剣を使う技術だってそう。

全部、人間に教えてもらった知識だ。
その知識でしか自分を助けられないことが、とても惨めだった。
憎くて憎くて、大嫌いな人間に教えてもらった知識。

こんなもの、早く捨ててしまいたかった。
服だってそう、もっとちゃんとした服をミレー族の里で分けてほしい。
食べるものもそうだが、その里を見ることができない。

少女は、今日も火の傍でたった一人、嗚咽を漏らしていた。

ご案内:「九頭龍山脈の奥深く」からファトムさんが去りました。