2016/12/15 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にラフェルさんが現れました。
ラフェル > 声が聞こえる。
小さく、か細く、そして…強い思い。

山中深くの切り立った崖の下、今、小さな命が消えかかっていた。
何らかの弾みで落ちたのだろう、一匹の小鹿が倒れている。
崖の上には親鹿の姿も見える。
その小鹿の元に、ふわりと舞い降りるのは、小さな天使。
ゆっくりとした動きで屈み込み、その姿を見詰めて。

「聞こえました…貴方達の声が、強い思いが。
貴方はここで死すべき運命ではないと、そう願います。
私に出来る事は…小さな…そう、ほんの小さな奇跡。
それをどれほどの奇跡にするのかは、貴方達次第」

そっと小さな小鹿の体に触れ、目を閉じる。
触れていた手を離せば、両手を祈るように組んで。

ゆっくりと流れる静かな時間、少しずつ、小鹿の体が輝き始めた。
薄っすらとした輝きに包まれる小鹿、そのまま、しばしの時間が流れていく。

ラフェル > 強い思いは、その奇跡を大きなものにする。
親鹿の子への思い、小鹿の生を望む思い。
ほとんど身動きも出来なかった小鹿だが、時間が経ち、その輝きが消えていけば、むくりと立ち上がった。
その姿に、閉じていた目を開き、小さく微笑む。

再び伸ばされる両手、小鹿は逃げる事もなく抱かれる。
舞い降りた時のように、ふわりと身を舞い上がらせた。
親鹿は崖の上、その元へと小鹿を連れて行く。

親と子、二匹の鹿は何事も無かったかのように山中へと消えていった。
その姿が見えなくなるまで、静かに眺めて。

ラフェル > 安心したように、小さく吐息を一つ。
自分の力は本当に小さい。
相手を思う、その強さがあってこその奇跡の力。
もっと力を付ければ、その小さな力も少しは大きく出来るのだろう。
経験を積み、そうした力を付ける為にこの地に来た。
まず第一歩は上手くいった、といった感じか。

耳を澄ませれば、小さな声、大きな声が、まだまだたくさん聞こえてくる。
自分にどこまでの事が出来るのかは分からないけど、それでも、救いの手を差し伸べるのが自分のすべき事。

小さな事から、ゆっくりとやっていけば良い。
それが身の丈に合った事なのだと、そう思う。
自分はまだ小さな力しか使えないのだから。

「次は…」

星も月もよく見える澄んだ夜空。
ぽつりと呟けば、その夜空へと向かい身を舞わせた。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からラフェルさんが去りました。