2016/10/09 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」にタマモさんが現れました。
タマモ > どうしてこうなった。

街道に立つ少女は、そんな事をのんびりと考えながら、周りを囲むように居る山賊達を見詰めていた。
いつもは趣向もあって山中を、なのだが珍しく素直に街道を歩いていたのだ。
その背には大きく膨らんだ風呂敷包みが背負われている。
まぁ、荷物があったにせよ、そうでないにせよ、少女一人がこんな街道を歩いていれば狙われもするだろう。

「大層な物だろうと、そうでなかろうと、置いていく訳がないじゃろう?
ほれ、さっさと散った散った」

十分過ぎる程の人数差だ、相手が少女というのもあり、山賊の男達はかなりの油断が見て取れる。
が、余裕の素振りを見せるのは少女も同じだった。
定番の荷物を置いてけだの、置いていかねばなんちゃらとか、どうせ大人しくしてれば襲うつもりだろう。
そんなものに付き合うつもりもないと、ひらりひらりと追い払うように手を振ってきっぱり言い放つ。まるで虫か何かを払うように。

こういえば、怒りを露にするのも定番か。
じりじりと距離を詰める山賊達、少女は溜息をつき…ちょいちょいと招くように指を動かす。
火に油を注ぐのを楽しむような挑発、山賊は一斉に襲い掛かってきた。
…少女一人と、獲物を持たずに捕らえるつもりなのだろう。

「………いくらなんでも舐め過ぎじゃろう」

ぽつりと一言、ゆらりといつの間にか扇子を持つ手が揺れ…山賊達は次の瞬間、何かに押し潰されたかのように地面に突っ伏した。

タマモ > 山賊達は、地面に突っ伏したまま動けない。
一体何が起こっているのか、それを理解しようと何に押し付けられているのか見ても…その姿は見えず終いだ。
まぁ、力で抑え付けているのだから、それは当然なのだが…
ふと何か思い付いたように、体格の一番良さそうな男の前に屈み込む。

「お主等、どうせこの辺りを縄張りだの何だのほざく者達じゃろう?
ならば問うが、お主等はこう…こんな感じの男子を見なかったか?」

手で何やらジェスチャーを交えて何者かを説明するが…理解するには難易度が高過ぎる、説明が下手だというレベルで。
とはいえ、そんな説明だろうと武装しているのと傷を負っているのだろうという事は分かるだろう。
そんな者を見付けたならば、とっくに襲っているか、返り討ちにされているかのどちらかである。
もちろん、そんな男は知らない、というものだった。
そんなものだろう、そうか、と一言だけ返すと少女は立ち上がる。

「今日はちと気分が悪い、運が無かったと思うて…受け入れると良いじゃろう」

すたすたと歩み、今は倒れ伏せる男達の包囲から外に出る。
ゆっくりと振り返ると、にまーっと意地悪そうな笑み。

『まずはこの街道からあちらへと離れよ。
そして、お主等は互いに互い、求め合い湧きあがる性欲を発散するが良い。
性欲を吐き出しつくし、どちらも意識を失うまでじゃ』

山賊達に向けられる唇から紡がれた言葉は、力ある言葉。
同時に力を解けば、山賊達はのろのろと街道から山中へと歩き去って行った。
その先は…まぁ、言うまでもない。
趣味に合った男子の絡み合いならば見ようとも思えるが、残念ながらそういった者は居なかった。
という訳で、街道から去って行った者達へと手を振って送るのだった。

タマモ > 少女は再び街道を歩き始めた。
転移でも良かったのだが、背中に背負った物が割れ物なので遠慮をしているのだ…割れたら勿体無い。
もっとも、歩いている途中で何本かは飲み尽くして空き瓶としてどこかに転がっていたりする。

そんな調子で少女は街道を抜ける。
途中でふっと思うのは、式神となっている者達の存在。
普通に考えれば下に付けた者達なのだ、呼び出し探させる事も出来るはずなのだが…
自分にはそれをさせる事は出来ない。というよりも、やらせる気も無い。
命令に従わせる、という行為、それ自体を嫌っているからだ。
…ただし、あちらの行為上で、とかなら別だが。
まぁ、今更それが出来てどうというものでもない。
そのまま、後は目的地へと到着するのだろう。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」からタマモさんが去りました。