2016/09/21 のログ
■サクヤ > 「ん、美味しく食べてくれると嬉しいなー♪」
呑気に笑うと、予め用意しておいた比較的まっすぐな木の枝に、魚を差し込む。
口から入れて尾っぽに抜けるように刺すと、塩をパパッと振りかけて、焼く。
それを二本用意すると、あとは焼けるのを待つだけといった具合だ。
なんだかんだでしっかり火を通すには時間がかかる故、隣にやってきた彼女に向いて。
「ありがと。一人で過ごすのも嫌いじゃないけど、やっぱり賑やかな方が好きだからね。
あ、ボクはサクヤっていうんだ。一応、忍者、みたいなことやってるんだよー。よろしくっ!」
にへへ、と笑顔でご挨拶。彼女の耳や尻尾を認めると、少女も隠すのをやめることにして。
程よく乾いたふかふか尻尾と、茶色い毛並みの狼耳を露わにしながら。
「そうだ、晩御飯まだなら焼き魚食べてく?
お塩で味付けただけだけど、新鮮だからおいしいよー!
それに、携帯食で簡単な汁物くらいなら作れるけども」
いかが?なんて首を傾げて見せる。
その姿は正しく、無邪気な子供そのものだった。
■タマモ > 「それは当然じゃ、美味しく食べてやらねば魚にも悪い。もちろん、お主にもな?」
なかなかの手並みである、横から準備をする様子を見詰め、ふむ、と頷く。
まぁ、準備を終えて火に当てるも、焼けるのはもう少し先なのは自分も良く分かっている。
隣に座ったところでこちらを向く少女、言葉を聞けば、あぁ…やはり忍者かと納得した。
「そうじゃな、静かに一人居るのも悪くはないが、誰かと居るのも良いもの…それが可愛らしい相手となれば、尚更じゃ。
おっと、妾はタマモじゃ。あー…何じゃろうか…これといった事はやっておらんな、自由人といったところか…?
よろしくのぅ、サクヤ」
気分は悪くない、それは揺れ続ける耳や尻尾で見ていても分かるだろう。
と、少女からもまた、耳と尻尾が現われれば、お?といった感じに視線がそちらへと向く。
うん、他の者の耳や尻尾は触り心地が良いのだが…さすがに、いきなり触ったりはしない、いきなりは。
「せっかくの機会じゃ、それも頂いてみるとしよう。
塩やら揃えておらんでの、妾は釣ってもただ焼くだけなのじゃ」
次は準備しよう、次は…が続き、いまだに調味料は準備せずだったりするが、それは秘密だ。
どこぞの誰かさんのように、他人から貰ったものはより美味しく感じるものである。
という訳で、もちろん頂く事にした。言い方は、さも少女が勧めたからと言わんばかりだ。
■サクヤ > 「そういってくれると嬉しいねぇ――えへへ、しっかり火を通して、あふあふ食べるのがおいしいんだ♪」
野外料理はもはや慣れて久しいもの。
ましてや忍びともなれば、長い間の山に潜伏することもある。
狩りと採集だけで食事を整え、水浴びで体を清めるなんてことも茶飯事だ。
ともあれ少女は嬉しさのあまり尻尾をパタパタしながら。
「ん、タマモかー……えへへ、よろしくぅ♪
か、かわいくないよー?普通だよー?」
可愛いという単語はどうしても慣れないのか、むずむずもじもじと縮こまる。
そもそも褒められ慣れていないのだから、仕方がない。
なお、しっぽモフモフはされれば驚くが、彼女相手なら受け入れるはず。
何せこのへっぽこ忍者は、すっかりお友達になる気満々なのだから。
「ん、それじゃ、ちょっと待ってねー?」
懐から包みを取り出すと、小さな球の様なものを小鍋に入れる。
そして泉の水を別の小鍋でちりちりと沸かして、球の上から注ぎ込む。
それだけで、練り固め調味料がお湯に溶け、ふつふつと味噌仕立ての汁が出来上がるのだ。
後は適当な具材をポイポイ。主に山菜と干した豆腐だ。
最後に蓋を閉めて、煮込めば完成。多分魚と一緒にできるはず。
そうしてついに手持無沙汰になった少女は、ちょこんとお隣で大人しくしながら。
「んー、随分涼しくなってきたねぇ。夏の暑さがちょっぴり恋しいよ。
そういえば、タマモはミレー族……じゃなさそうだねぇ。そんな立派な尻尾の噂、聞いたことないし」
じぃ、とふかふかしてそうなしっぽを見ながら、問うてみる。
■タマモ > 「うむ…って、いや、まぁ…確かにそうなのじゃが…」
うんうんと頷くも…後の言葉に、うっ、と唸り、言葉の歯切れが悪くなる。
大した理由ではない、そうした食べ方が美味しいのは分かっているのだが、猫舌なのだ。
いつも、この手の話を聞くと損をした気がしてならない。
「…?はて…可愛いものを可愛いと言うただけじゃぞ?
そんな反応をされてしまうと、どうにも…のぅ?」
これに関しては、素直に思った事をそのまま言っただけである。
なのに、この反応。うん、なんだか悪戯心が芽生えてしまう。
嬉しそうにぱたぱた揺れてる尻尾に、するりと手が伸びる。
もちろん、目的はこれだ…ふんわり尻尾を撫でるように触れ、さわさわともふもふ感を楽しむ。
受け入れてくれるなら、そのまま楽しみ続けてしまう事だろう。
「うむ、美味しいものの為ならば、待つのも苦とはならんのじゃ」
大人しく、待ち。でも動きは緩まるが手は尻尾のまま。
少女が何やら色々と作っていく様子を、ただじっと待ち続ける。
…なんかよく分からないものを色々と使っているが、なかなかに美味しそうだ。
そして、どうやら準備は終わったらしく、大人しくなった。
あ、もう大丈夫そうか?と思えば、また尻尾を弄る手の動きは戻る。
いや、うん、だって気持ちいいし?
「妾としては、暑過ぎず、寒過ぎず…そろそろ程よい季節なんじゃがのぅ?
ふふ…分かる者には分かるんじゃな?よくミレー族とやらに間違われるが、その通り、別物じゃ。
さて、分かるかどうか…九尾狐、妖怪と言えば分かるか?ん?」
別に隠す必要も無いのだ、少女の問いにさらりと答えた。
妖怪、この世界にも居る、別の国の人間の敵といった存在。
笑みを浮かべたまま少女の顔を覗き込めば、尻尾を弄る手が軽く根元へと指先を這わせた。
■サクヤ > 「あ、熱いの苦手?それなら冷めても美味しい様にちょっとだけ早めに出すよー?」
冷えた時は身に水分が残っている方がしっとりとして美味しいから、早めに上げるのが望ましい。
アツアツのほくほくも美味しいが、あれは冷めるとぱさぱさして食べられたものじゃなくなるのだ。
とりあえず魚については上げておいて、彼女の好みに合わせることに。
その間もさらに褒められると、顔を真っ赤にしてもじもじ。
しっぽに触れられると、ぴくっ、と鋭敏な感覚が繊細な刺激に跳ねた。
「ひゃっ、ぅ――た、タマモぉ……しっぽは、その、弱いからっ」
とはいうものの、剥がそうとはせず受け入れる。
味噌玉はすっかりお味噌汁になった様子で、ふわりとおいしそうな匂いが漂って。
とはいえそんな中、もふふかと尻尾をいじられ続けると、くすぐったさに身を捩って。
刹那、尻尾の根元を捉えられると、びくん、と体が震えて。
「ひゃっ!?――あ、ぅ……妖怪さん、だったんだ。
その、もしかしてボク、食べられちゃう、とか……?」
少女が聞かされた妖怪の逸話は、人を食うというもの。
だが、よくよく調べるとこの"食う"は物理的と性的の二種類があるらしい。
そんな事を思い出しながら、耳まで真っ赤にすると。
「……その、がぶって、食べられるのはいや、かなぁ。
代わりに、その、精気を吸われるのなら……あげる、けど」
暗に、性行為を受け入れるような言葉を残すと、恥ずかしさに身を縮こまらせる。
僅かに涙目で頬が上気したその様は、嗜虐欲を誘うには十分すぎるかもしれなかった。
ともあれ、夜はより深くとっぷりと暮れて。二人の密事は、又の機会に語られる――。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からサクヤさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からタマモさんが去りました。