2016/08/22 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」にラケルさんが現れました。
ラケル > 城暮らしは息が詰まる、何処か遠くへ行きたい。
―――定期的に繰り返される母の『発作』に巻き込まれて、貴婦人がたの間では
今、密かに人気であるという湯治宿を訪れて、二日目。
早くも退屈の虫が騒ぎ出した結果、己の姿は宿から徒歩で十数分、
鬱蒼と生い茂る木々の枝が打ちかかる、細い山道の途上に在った。
来訪時には母と共に、もっと幅の広い道を馬車で辿ったが、宿の従業員曰く、
この道も正しく辿れば、街道まで続いている、らしい。
そこまで出てみるつもり、まではなかったが―――とにかく、退屈で。
ひらひらとワンピースの裾を揺らし、呑気な漫ろ歩きを続ける己は、
従業員の注釈は綺麗に忘れ去っていた。

曰く、―――あの辺りの道は、お一人で歩かれるのは危のうございます。
山賊に襲われることも、ままあるかも知れませんよ、と。

ラケル > ―――――ふと、誰かの声が背後から迫りつつあることに気づいた。

どうやら、母から頼まれて己を探しに来た宿の従業員であるらしい。

『お母さまがご心配なさっておいでですよ』

――――そう言われては、これ以上のんびりしている訳にもいかない。
大人しく頷いて、見上げる長身の彼について歩き始めた。
がさがさと茂みを掻き分け、木立を抜けて――――。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」からラケルさんが去りました。