2016/08/10 のログ
■エドヴェルト > 暗い雰囲気の幌馬車の中、不意に馬の嘶く声が聞こえる
外から放たれた矢が幌馬車を突き破り、目の前の男が口から血を吐き前のめりに倒れこんだ
山賊だ、と外から兵士の声がしたと思えばぐるん、と幌馬車が倒れこみ自分も、強面の面々も幌馬車の中、
倒れこんだ。不幸な事に目の前で絶命した男の下敷きになっていると他の面々は我先に、と幌馬車から飛び出していく
「…あぐっ、踏んでいくなよ!」
男の下敷きであったから次から次へと踏まれていく
ようやく男の下から這い出て、幌馬車の外へと飛び出せばそこは―――
兵士も山賊も掴まっていた強面も、乱れに乱れた乱戦状態であった
「うわ、これはひどい…と、危ない」
ひゅん、と顔の傍を通り抜ける矢を反射的にかわし、幌馬車の影へ隠れる
拘束していた手首の縄を力づくで引きちぎれば、はあ、と手を何度か握るようにしながら
周囲の状況を確認する…兵士は兎も角、襲ってきた山賊と掴まっていた強面連中との違いはもうわからない
ふと気がつけば、自分と同じようにして幌馬車の影にしゃがむ男と視線が合う
ず、と背中を向ければ手首の縄を此方に見せた
どうやら外してくれ、という事らしい
「…まあ、これも奇縁というやつだな」
男は自分よりも一回りほど大きく立派な体躯であった
どうもこの辺りの出自ではないらしく言葉が通じず、陽に焼けた浅黒い肌の持ち主であった
「それじゃあ、俺は混乱に乗じて逃げるけど…あんたにも運があると良いな?」
都合よく死んだ兵士の身体が此方に倒れてきて、それは幸運にも自分の剣を取り上げた兵士であったらしい
男に別れを告げ、自分の剣を取り返せば、開いたままの兵士の瞼を下ろしてやる
「兵隊さんは死ぬのも仕事のうちってやつか…運が無かったね、どうも…」
ぬらり、と鈍色に光る刀剣をしゃがんだままで引き抜けば、低い姿勢のまま一気に森の奥へと跳ぶ
向けられる矢を事も無げに斬り、はたき落とせば振り返ること無くそのまま森の奥へと消えていった―――
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からエドヴェルトさんが去りました。