2016/06/11 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にジンさんが現れました。
■ジン > 山脈連なる、その一つの頂上に男は居る。
特に何かをしている、という訳でもない。
ただその場で正座をしながら、傍らに鞘に収まった刀を置き、目を閉じている。
もし見ていた者が居るならば…いや、居るとは思えないが、その男は何時間もそのままだった。
身動ぎ一つしない、静かに周りの音に耳を傾けたまま、それに意識を集中している。
今日は静かな一日であった。
聞こえるのは、自然の音と、山中に生きる動物達の鳴き声だけか。
ここでは色々と物騒な事があると聞いてはいたのだが…
■ジン > こうして何もせずに過ごす事も、鍛錬の一つだ。
何も身体に無理を強いてばかりいる事が修行とは限らない。
時には心を静かに、それを保ち続ける事も必要である。
遥か遠方、街道らしき場所から馬車の音が聞こえた。
方角からいって、湾港都市から王都へと向かっているのだろう。
山賊街道を走る馬車の音は、周りに比べて一際大きい。
距離はあろうと集中さえしていれば、聞こえるもの。
もっとも、人間からすれば針を床に落とす程の小さな物音ではあるのだが。
■ジン > 日が沈み、夜となっても男は動かない。
もはや座っている時間は二桁の時間も経っている事だろう。
さすがに、これだけの時間を居れば、他の音も聞こえてくる。
いくつもの、人間であろう足音。
ただし、それがすべて纏まったものでもなく、集団もあれば単独のものもある。
日中よりも、日の沈んだ後の方が活発になるとは。そう考える程。
まぁ、そういった者達がよく来る場所なのだろう。
何事も問題が無ければそれで良し、もうしばらくしたら場所を変えてみようかと、考える。
■ジン > 馬車の音は、素直に街道に沿って動いていた。
だが、人間の足音はそうではなかった。
その足音はどれも、街道から山中へと向いていく。
なるほど、目的はここのどこかにある遺跡か洞窟か、そんな感じだろうか。
それとも、山中に生息する動植物の類を求めてか。
…大体はそれくらいの理由だろう。
そうしていれば、複数の足音だったものが、途中でぷっつりと消えた。
多分、その消えた位置に遺跡か洞窟か、そういった何かがあると思われる。
財宝を求めてだろうか、大体こういった場所に赴く者達の目的はそんなものだ。
つまり、今消えた辺りにある場所への探索は意味を為さない。
無駄を一つ省く事が出来るだろう。
■ジン > …足音の一つが、深い場所にまで進んでいく。
下手に入り込めば、そこを領域としている動物とかち合うものだ。
まさに、その足音はそういった領域へと踏み込もうとしている。
もしかしたら、それが目的なのかもしれないが。
その人間の足音と、そこに住む動物の足音が、ゆっくりと近付いていく。
正確には、人間側が進み、動物側が待ち受けているかのような感じになっている。
更にその距離が縮まれば…動物が道を阻むように動く、人間はそれに対して足を止める。
どうやら遭遇したらしい、さて、そこからどう流れるか、だ。