2016/05/23 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > ………ここはどこ、私はだ…いや、自分は分かる。
気が付けば、こんな山中で寝ていたらしい。
あ、いや、確か最近はこの辺りが面白…もとい、物騒な事になっていると聞いて、暇潰しにやってきていたんだった。
散々探していて、山賊どころかこの場所を通る者達さえ見付からず、途方にくれていたような…気がする。
とにもかくにも、今の状況を整理しようとぐるりと周りを見渡してみる。
生い茂った木々、上を見れば…日も暮れて夜空が広がっている。
もちろん、今はまだ狐火も灯してないので真っ暗だ。
…いや、本当にどこ?
さすがに暗いとどうしようもない、ぽんっ、と狐火を出して辺りを照らしてみた。
■タマモ > 考えてみたら、灯りが点いたところではっきりとした場所が分かる訳がない。
分かるといえば…街道からは少なくとも離れている山中?
さて、どちらへと向かえば街道があるのだろう?
腕を組み、考える。
せめて誰か通ってくれれば音で分かる、さすがに、街道を外れて進む者なんてそう居ないだろう。
…あぁ、山賊だったら外れて歩くかも?
なら、普通に街道を通って行く者か、山賊を討伐にきた冒険者やら何やらとか、荷物を運ぶ商隊とか…
今のところは聞こえない。
何はともあれ、誰かが居ない事には話が進まない。
道を聞いて戻るなり、山賊に遭遇してぶちのめすなり、面白そうな相手を見付けて…以下略。
道なき道を進んでいけば…も良いのだが、それは前にやって懲りている。
さすがに立て続けにはやらない…間が空いたらやるが。
今は…そう、目を閉じて耳を澄ませる。
研ぎ澄まされた聴覚は、相当な隠密行動の使い手でない限りは聞き逃さない。
■タマモ > しばらく耳を澄ませていれば、遠く離れた位置から結構な数の馬の蹄、数台らしい馬車の車輪の音が聞こえてきた。
…ついでに、そこへと近付くように茂みを掻き分けていくようないくつかの音も。
やっと聞こえたが、それなりに距離があって面倒そうだ…
ふっとそんな事を考えてしまうが、そこまでいけば少なくとも街道があるだろう事は分かる。
何かが起こりそうな気がしないでもないが、仕方ないのでその方向へと歩き出した。
…音は聞いていないと方角を失い可能性もあるから、耳は澄ませたままだ。
茂みを掻き分け近付いているっぽい者達が、馬車やらのすぐ側まで近付いた。
途端に…どぉんっ!と起こる大きな音と、ここまでは少しだけ響く振動。
うん、あっちが何をやっているのか想像は付く、付くのだが…
「………っ、ぎにゃああああぁっ!?」
いや、そこまで小さな音もはっきり聞こえる状態にしたままの耳に、その大きな音は非常によく効いた。
少女は声を上げ耳を両手で抑え、ごろごろと地面を転がり回る。
うん、痛い、非常に痛い、少し涙目になった。
幸か不幸か、あちらが起こした音のせいで、あちらにはこちらの声は聞こえなかったようか、こちらへの反応はない。
■タマモ > 音はすぐ消えた、響いていた耳鳴りも収まり、はふ…落ち着いたのか、転がっていた地面からむくりと起き上がる。
今、あんな事をやったのは誰だ…
その表情は、まだ涙目だが怒りの色が強かった。
転がっている間に事は進んでいるらしい、移動していた馬や馬車は止まっており、その場所で慌しく動く足音や金属音が響いていた。
それはもう、耳を澄ませておらずとも聞こえる程なので、集中はすぐ切った、もう痛いのはご免だ。
再びその場所へと歩き出す、その歩みは速くなっていた。
もう少し歩いていけば、山賊を相手に形勢不利な商隊と護衛達の姿が見えるだろう。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアマンダさんが現れました。
■タマモ > 近付いている間にも、数発の爆発音は聞こえた。
どうやら、魔法とやらのようか?
がさり、最後の茂みを掻き分ければ、やっと街道へと少女は辿り着いた。
…少しずれた場所でまだ続いている、戦闘の場所はすぐ側だった。
山賊はかなりの数だ、結構色々と相手をしていたのだが、倒しても倒しても沸くものだ…そんな感心をしていたのは内緒である。
ともあれ、護衛は格好から見て何組かの冒険者だろう事は分かった。
商隊を動かしていたとかしてた者達は…多分、馬車の中?
そこらで斬られて倒れたりしてないから、そうだろう、きっと。
さて、と、自分がまず気になった相手をまずは探す。
その視線は、なぜか山賊達でなく、冒険者達へと向けられていた。
…見付けた。
その視線が、ある男性へと止まった。
軽装、そして手にした杖、いかにも魔法使いです!と言わんばかりの姿。
そして、今まさに数発目の魔法で山賊数人を吹っ飛ばした。
その途端、少女の姿は宙に舞っていた。
「お主がっ!お主が、この爆発の元かああああぁっ!」
戦闘中だろうが関係ない。
そんな状況を無視した叫び声と共に、めごっ、とその魔法使いの男性へと飛び蹴りが叩き込まれた。
勢いよく吹っ飛ぶ男性、ごすっ、と樹にぶち当たり…ずるずる、どさりと落ちる。
気を失ったようだ。
■アマンダ > 護衛の先頭で戦っている少女。
向かってくる山賊を切り倒し、遠くから殺意を感じると魔法の矢で首元を打ち抜く。
とはいえ、圧倒的な数の不利には抗えず旗色は次第に悪くなっていた。
「このままでは…。」
少女だけでなく、護衛をしている者皆顔に焦りが見え始めた時、突然後方に居るはずの魔道士が吹っ飛んでいく。
貴重な魔法戦力を突然失った護衛側は混乱。 逆に山賊側は勢いづく。
「ちょっと、何やってるんですか。」
向かってくる山賊を魔法と剣で追い払いながら魔道士を気絶させた犯人へと問いかける。
■タマモ > 飛び蹴りの勢いから、ふわりと宙へと再び浮き、すたっ、と華麗に着地を決めた。
改めて、吹っ飛んだ男性を見遣る。
気絶をしたようだ、ふふんっ、となぜか自慢気に胸を張った。
…そこで、少女はやっと状況を判断しようと見渡した。
今蹴り飛ばしたのは護衛の1人だったらしい?
なんか護衛が混乱してる、山賊が調子に乗っている。
そんな中、どうやら護衛の1人らしい少女が、何か聞いてきたみたいだ。
「うん?妾はこの男子のせいで危ない目にあったのじゃぞ?
これは、その報いなのじゃ」
勝手に耳に意識を集中し、勝手に爆発音に耳を痛めただけだが、それは細かく言わない。
すべてはこの男性が悪いといわんばかりに、びしりと指を指した。
…と、空気を読まない山賊の1人が、間に割って入ろうとしてきた。
狙いは、護衛である少女だ。こちらは無視している。
「邪魔じゃ、今はこの女子と妾が話しているであろうに!?」
そんな山賊が、今度は見えない何かに弾かれたように吹っ飛んだ。
結末は先ほどの男性と同じ、勢いよく樹に当たって…意識を失った。
■アマンダ > 山賊の攻撃から味方を守るため、障壁を張ったりしながらの戦い。
ふと横目で女性の方を見ると上手に着地し、ドヤ顔で胸を張っている。
少女は理解しづらい光景に頭が重くなっていくのを感じる。
「僕らが何をしたって言うんだ? 君もこの人たちの仲間なのかい?」
女性が何に対して怒っているかまるで見当がつかない。
となると、山賊の仲間なのだろうかと険しい表情となる。
が、その考えは次の瞬間消え去ってしまう。
「凄い…。」
己の元へと駆け寄る山賊が一瞬で吹っ飛んでしまう。
未知の力による攻撃に今度は山賊側がざわめきだす。
「そこの方、見ての通りです。 手伝ってくれませんか?」
仲間の一人が攻撃を受けたことを問い詰めたいが、今は目前の危機をクリアするのが先決。
強力な力を感じされる女性に対し、少女は張りつめた様子で助力を願う。
■タマモ > まったく、困った男子じゃ。
伸びた山賊の1人をちらりと横目で見遣り、ふん、と鼻を鳴らす。
と、問われた事に答えた目の前の少女からの言葉が聞こえた。
「ふふんっ、凄いじゃろう?もっと褒めるが良いのじゃ」
褒め言葉に益々調子に乗り出すように、態度は段々と偉そうになる。
袖から扇子を取り出し、ばっと広げると、ぱたぱたと扇いでみせた。
「………見ての通りと言うと…馬車が山賊共に襲われておる、じゃろうか?
ふむ…まぁ、ただでとは言わ………いや、今回は特別に手を貸してやろう」
爆発音の借りは返した、だから、これは借りとして…
そんな事を考えたが、この騒動のお陰で帰り道が見付かったのを思い出し、その言葉を押し留めた。
ひらりひらりと扇子を振り、承諾の意を示した。
緊張した少女と違い、こちらはのんびりとした様子であるが。
■アマンダ > 「凄いけど、僕らにはしないで欲しかったかな。 彼が何かしたのかい?」
彼とは横で倒れている魔道士の事。
女性の真意が全く掴めず、未だ混乱中。
女性が扇子で扇っている間も戦闘は続く。
少女は後方に居る弓使いに指示を出し、自信も攻撃魔法で援護。
盾役をこなしながら攻撃に参加し、山賊を一人二人と減らしていく。
「それだけ強ければどうにかなるよね? 報酬は僕が払うからさ。」
女性の悠長な動きに焦る少女。
それほどまでに数の差は未だ開いている。
急いで助力してもらわないと味方に死人が出る恐れがある。
焦った少女は顔に汗を出しながら再度助力を乞う。
■タマモ > 「………まぁ、あの程度で済む事、気にしたら負けなのじゃ」
うん、耳が痛かったからのめした、なんて素直に言えない。
誤魔化すように、ぱたぱたと空いている方の手を振った。
さて、改めて周りを見てみれば、まだ戦闘中だった。
視線をゆっくりと巡らせ、誰が味方で、誰が敵となっているかを判別し…
その唇を小さく開く。
『馬車を襲おうとする者達の獲物は、すべて砕け散るじゃろう』
同じように勢いよく吹き飛ばしていくのも気持ちいいが、少々疲れる。
まぁ、人数差を埋める程度は働こうか。
そう考えれば、この力ある言葉が発せられた。
同時に、山賊達全員の手にしていた武器、仕込んでいたりする武器も含めすべてが、ばぎんっ、という澄んだ音を立て砕けていった。
さて、山賊達はどんな反応を見せてくれるだろう?
それを面白がって見ているような、そんな様子が見えるか。
■アマンダ > 「そうは言っても、僕らはそれで納得できないよ。 ちゃんと事情があるなら説明してくれないと。」
手を振る相手にしつこく食い下がる。
納得できないことにはどこまで諦めないしつこい性格であった。
「…異能だ。」
手にしている聖剣が発せられた言葉に反応していることから、魔術的な何かと認識する。
だが、少女は初めて遭遇するタイプの物でありそれがどういう効果を持っているかはわからない。
「急げ! 今のうちに街に向かうへ。」
馬車の中から依頼主の声が飛ぶ。
護衛が山賊たちを蹴散らし、その中を馬車が駆けぬける。
山賊達が混乱した隙をついての判断。
武器を失ったとはいえこの数を全て縛れるだけの道具はなく、当然の判断であった。
気を失っていた魔術師も護衛の者が抱きかかえ場所へと放り込んでいった。
山賊たちもパニックを起こし、チリヂリになって逃走していく。
少女の仕事はここまで。
後は無事に街にたどり着くだろう。
少女は剣を鞘に戻し、周囲に展開させていた魔法を消してから楽しそうに傍観している女性の元へと向かう。
「助けてくれてありがとう。 あなたが居なかったら今頃僕たちはどうなっていたか。 お礼は、これ位でいいかな?」
少女は腰に差している便利袋からスカスカのサイフを取り出し、手を突っ込む。
出てきたのは金貨一枚。 唯一の支えをなくしたサイフは力なく崩れていく。
■タマモ > 「うぐっ…よ、世の中には、己では理解出来ぬ事情もあるのじゃ。
あれじゃ、自分は良くても他人にとっては悪い事もあるじゃろう?
まぁ、そんなところじゃろう…多分」
こう、視線を逸らして誤魔化しにかかった。
結局納得が出来そうな説明が出来てないし、多分、とか付けていた。
…うん、細かい説明は苦手な上、ぼろが出易い。
なんだかんだ護衛と山賊がやっている間に、馬車は街道を駆け抜けていってしまった。
…あぁ、あれの上に乗ってれば街まで楽だったかもしれない。
そんな事を考えるも、今更だ。
こうして遠くなって…消えていく馬車を眺めている間に、戦闘も終わったらしい。
こちらへと先ほどの少女がやってきた。
「何を言うておる、今回は特別に手を貸した、というたじゃろう?
どうしてもというならば、そんなものでなくて食事の一つでも奢ってくれれば良い」
さて、面白いものも見れたし、といった様子で少女を見る。
というか、こう…何というか、どう見てもなけなしのお金だ。
自分の手持ちはあるし、まぁ、金よりも物にしてくれと、そんな感じに。
…そもそも、お礼やら何やら、こういった場で受け取るのは…苦手なのだ。