2016/04/13 のログ
■イニフィ > 『はい、ライスボールおまちどうさん。…嬉しいねぇ、こんな大変なときにお客さんなんて。』
注文していた料理が届く。ただ米を炊き上げ、塩を塗して握っただけらしい。
その分値段も手ごろだし、これが少し美味しそうに見える。
まあ、こんな料理早々出てこないから珍しいだけだろうけど。
「ありがと。…おばあちゃん、大変なときってどういう事?」
老婆の顔は、心底嬉しそうだった。
確かに観光客で食べているのだから、それが来ないことには話しにならないだろう。
だけど―――この顔からして、なにか特別な理由がありそうだった。
■イニフィ > 『……んにゃ、若い女子には関係のないことさねぇ。』
少しだけ寂しそうに、残念そうに老婆は答えた。
それだけ答えると、そのまま奥へと引っ込んでいってしまう。
ふむ、と軽く相槌を打ちながらライスボールを一つ手に取った。
「…………ふーん、なんだかいろいろ訳ありそうじゃない。……あ、美味しい」
塩加減もそうだけど、この炊き上げた米の甘味がすごく後を引く。
それが塩加減とあいまって余計に甘く感じる。
老婆の背中を見ながら、舌鼓を打った。
■イニフィ > 「……へっくしっ!」
くしゃみが出た。何故だろうと首をかしげる。
まあ、別に気にすることもないだろう。指についた米粒を口の中に含んだ。
少しだけ思案する顔。別に人間のためにだとか、そういうことは考えない。
ただ、そう。『興味があることは知りたい病』を煩っているから、仕方がない。
「…ねえ、おばあちゃーん?私でよかったら相談に乗るわよー?」
別に大したことは出来ないだろうけど、と軽く告げた。
そこにある気になる匂いを敏感に感じ取る旅行者は興味本位に首を突っ込みたがるものだ。
■イニフィ > 『……何の、いつものことじゃよ。山賊の集団がこの近くに陣取ってのう。
騎士団のほうに連絡を取って、この辺り一体に観光客が来なくなってしまったんじゃよ。
……山の上の温泉に行くなら、今はやめておいたほうがええ。山賊が根城にしておるでな。』
老婆が重く、口を開いてくれた。
そういえばこのあたりには山賊がたむろしているらしい。それが温泉街を占領してしまったそうだ。
騎士団に連絡を取ったものの、何かしらの対策といえばこのあたりを封鎖した程度。
山賊に捕らわれて奴隷にされたものも数多いらしいし、おまけに。
『山の奥に、亡霊が出るらしいんじゃ。そのせいで観光客がめっきり来なくなってしまっての。』
山賊とのダブルパンチ。
何でも、夜な夜な誰もいないのに女の悲鳴や炎が上がる音が聞こえるらしい。
ふぅん、と相槌を打ちながら、その話を聴いていた。
「山賊は…確かにどうしようもないわね。けど―――」
亡霊の話は面白そうだ。
そこの話をもっと詳しく聞かせてもらおうと、しばしこの茶店に居座るイニフィであった。
その最中、ポケットの中に忍ばせているガラス玉が赤く光った。
―――軽く笑みを浮かべながら、これはお仕置き確定ねと、笑みを浮かべていた。
ご案内:「九頭龍山脈 四合目」からイニフィさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 五合目」にイニフィさんが現れました。
■イニフィ > 「……っしょっ…っと。」
空を飛ぶのも、ずいぶんと慣れてきた。
森の中、少し分け入った場所に風を纏わせながら下りてくる。
最初は墜落ばかりしていたけれども、ようやくまともに下りられるようになって来た。
とはいえ、それでも成功率はまだ半分にも満たないのだが。
四合目の茶店で聞いた亡霊騒動。
どうやら、この森の奥の奥から聞こえてくるらしい。
さて果て、一体どんな怪奇現象なのやら。
■イニフィ > 森の中はずいぶんと鬱蒼としている。
なるほど、これなら確かに亡霊の一つや二つは出てきても問題はなさそうだ。
「どうせだったら、ほんとに半透明の人間とか出てきてくれないかしらね?」
なんて、冗談めかして嗤った。
山賊や、最近話題になっていたミレー族虐殺事件。
いろいろと血生臭いことがあるのだから、亡霊が出たってなんら不思議ではない。
そもそも、魔法もあるような世界だ。そういうのがいたって不思議じゃない。
■イニフィ > まあ、さすがにそんなことがあるはずもない。
事実、そういう半透明の人間が出てきたならばとっくに話題になっていてもいい話だ。
マグメールで情報を集めている間も、そんな話は一向に聴かない。
ミレー族虐殺事件も、知り合いの伝で知った話、だとしたらこの先の怪奇スポットの小隊は察しが着く。
「ま。さしずめ切り株に風が通って、それが悲鳴に聞こえたってだけでしょうね。」
炎の上がるお供、おそらく古くなった木に自然とひびが入った音、と考えれば示しがつきそうなもの。
まあ、怪奇現象なんて概ねそんなものだ、と軽く笑った。
■イニフィ > 「………でも、気になるのよね。珍しい形だったらしっかり見ておきたいし」
結局好奇心には勝てない。
このまま、鬱蒼とした森を進んでいくのであった。
ご案内:「九頭龍山脈 五合目」からイニフィさんが去りました。