2016/03/23 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山のふもと」にイニフィさんが現れました。
■イニフィ > マグメールから馬車に揺られること1時間弱。
ようやく、九頭竜山脈ふもとの停留所にたどり着くことが出来た。
このあたりは比較的安全、らしいのだがやはり旅人が余り長井をしていい場所ではない。
御者からそのような忠告を受け取るものの、軽く嗤って「大丈夫」と答えた。
「でも、忠告はありがとね。そっちもどうか気をつけてね?」
そう、ウィンクと一緒に馬車代を支払い飛び降りた。
さすがに九頭竜山脈のふもとと在っては、人はかなり少ない。
まあ、好き好んで山賊が出るかもしれない場所に近寄りたくはないだろうが。
ご案内:「九頭龍山脈 山のふもと」にルーザリアさんが現れました。
■ルーザリア > 「見つけた。」
と、しばらくイニフィが歩を進めていると、ふいに数m先の岩陰から
目深にローブをかぶった人物が、ゆっくりと歩み出てあなたの行く手をふさいだ。
声と体格、そしてローブから零れる真赤な赤毛から察するに、どうやら女のよう。
そしてその女の胸元には、赤く輝くペンダントが下げられており。
あなたが魔術に精通しているなら、それが妖魔に反応して発光する仕掛けの術式が
発動しているからだと分かるだろうか。
「……この感じ、淫魔か。それなりに力はありそうだけど、楽な仕事になりそうだね。」
■イニフィ > 「……あら?」
さて、どこから登山を開始しようか。
どこかに安全そうな道でもないだろうか、と見渡していた矢先だった。
岩陰から、いきなり―――身長は自分よりも低く、ローブをかぶっている人物が見える。
その姿は明らかに盗賊というわけではなさそうだ。
だけど―――そのペンダントの光。それが明らかに自分にとって不都合なものだという事ははっきりと分かった。
運が悪いにもホドがある、まさかこんなところで「魔族狩り」に出くわすなんて。
「…あの、何か用なの?……アタシ、ただの旅行者なんだけど?」
等と、ちょっと引きつった笑いで一応言ってみる。
出来ればこんなところで戦うのは避けたいのだけど―――まあ、明らかに無理な雰囲気はある。
いまさらだけど、ここに来たのはちょっと失敗だったかも、と後悔し始めた。
■ルーザリア > 「旅行者? ハン、いままでそう言って何人の哀れな人間を餌食にしてきたんだろうねぇ。」
目の前の女が、留め金をぱちりとはずすと、
山間特有の突風に吹かれ、ローブがするりと滑らかに体から離れると、
褐色の、女らしい肉付きの良い体がさらけ出され。
ボンデージ風の皮鎧に包まれたその体は肉感的ながらも適度に筋肉質で、
この女が熟練の戦士であることをうかがわせる。
「……同じ女の誼だ。諦めて大人しくしていれば、痛みも感じさせずに終わらせてやるよ。」
背に背負った、大斧を軽々と片手で構え、
女はゆっくりとあなたへと歩を進めて……。
■イニフィ > 「……うっ、いやいやまってまって!?ほんと、ほんとにただの旅行者なのよ!?」
完全にばれているんだけども、とりあえずいいわけめいてそう慌てて後ずさりしておこう。
―――武器と体型を見るに、確実に相手は歴戦の戦士。
正直言って相性はあんまりよろしくない。出来ればほんとに戦いたくない。
けれども相手は既に臨戦態勢。たぶん自分の足じゃ逃げ切れない。
自慢じゃないけれども、服装もあいまって非常に走りは遅いのだ。
「あ、あの~……と、とりあえずその武器をしまったほうがいいとおもうの。
ほ、ほら、ここって一応街道だし、騎士様がきちゃったりしたら、貴女山賊に間違えられちゃうわよ?」
だから、とりあえず穏便にね?と引きつった笑いのまま。
両手を突き出し、とりあえず落ち着いてほしいと訴える。
だが、ペンダントは決して嘘をつかない。そしてルーザリアの確信も間違ってない。
そして何人餌食にしてきたかっていえば―――数えたこともない。
「ね、武器を収めて、ねっ!?じゃないと、貴女絶対後悔するわよ!?」
■ルーザリア > 「それがあんたの遺言かい?後悔するだとか、なんだとか……。
妖魔どもは、いつもそうだ。自分が滅ぶことなどないと、ニンゲンに負ける事なんかないと、思い込んでる。
私はね――。」
にやり、と女が笑みを浮かべる。
これ以上なく嗜虐的な……獲物を狩る、動物が牙をむく様にも似た獰猛な笑みを。
と、その刹那、女は地を蹴り、まるで騎馬突撃の如き勢いでイニフィへと吶喊。
得物の大斧を大上段に構え……。
「そんな妖魔どもを、ブッ殺すのが大好きなのさ!!!」
それを、イニフィの頭上から真一文字に振り下ろす。
大斧の自重と、それを片手で軽々と振り回す人間離れした腕力が合わさった個の一撃。
まともに受ければ、文字通り真っ二つにされかねない。そも、これを防ぐことができるのだろうか。
■イニフィ > 「…………。うん、知ってた。」
笑みを浮かべるのは、その刹那だった。
確かに歴戦の戦士に比べたら、自分なんてたいした腕力もない。
鎧も着ているわけではないし、鋼鉄の身体を持つものでもない。
だけど―――その分あるものに自信がある。
それは―――脚力だ。
大振りすぎるほどの斧の一撃、ふわっと後ろにステップを踏み、スカートを翻して着地。
頭に巻いたナプキンが堕ちないように手で支えながら―――その笑みに、妖艶な色が光っていた。
くす、と笑みを浮かべつつ。
「…ああ、もう。容赦ないわね?傷のあとが残ったらどうしてくれるのよ。」
まあ、後が云々よりもまず当たれば命がないだろうけど。
くす、くすと笑みを浮かべながら―――頭上に、暗雲が立ち込めていく。
■ルーザリア > 空を切った斧の刃が地面に触れると、
まるで小型の爆弾がさく裂したかのように地面が抉れ飛んだ。
人間という種は弱いが……時折このように、驚異的な腕力を持つ者や、
あるいは魔王クラスの魔力をその身に宿す者が生まれたりと、『イレギュラー』が現れることが非常に多い。
この女も、そういった類であろうか。
「本性、ようやく表したね。」
ゆっくりと、斧を肩に担ぎ、ふふんと鼻を鳴らす女戦士。
「傷跡で済むかはあんた次第さ。こうなった以上、結果は一つに二つ。
相手をブッ殺して、勝つか……負けて無様に死体を晒すか……さ!」
再びの吶喊。そして、録画したテープを再生するかのように
再び大上段に構えられる大斧。見かけ通りのパワーファイター、
いや猪武者と言ってもいいワンパターンの戦法だが……。
この女の一撃の威力はそれを補って余りある。
■イニフィ > 本当は戦うのは好きじゃない。何しろ相手を傷つけるんだから。
痛いことは好きじゃない。なぜならば痛みに悶え苦しむ姿は見ていて醜い。
快楽で沈む人間を見ることこそが、至福なのだから―――。
再び、小野を構えて襲い掛かる人間。
いや、人間というにはあまりにも力が強すぎる。やはりそういう人間は中にはいる。
出なければ、魔王種が人間に負けることは本来ありえないからだ。
もう一度、襲い掛かってくるその女戦士。
見た目は少し小さいのに、斧の効果もあいまってか非常に巨体に見える。
だけど―――だからこそ。
面 白 い 。
「んふふふ……ええ、そうね。殺すのはあんまり好きじゃないわ。
でも、こういうのはどう?負けちゃう前に私に忠誠を誓うか……それとも。」
雷に打たれて無様に転がるか。
暗雲は、一瞬光を発する。そして――――落雷を落とす。
斧という武器は金属。そして―――冗談に構えることで避雷針となり、その持ち主にほぼ直撃に近い稲妻を落とす。
ぎゅっと握った掌、そこから伸ばされる人差し指は、稲妻を操りその女戦士を襲わせる。
■ルーザリア > ――ズドンッ!!
「かッ……は……!?」
大砲のような音が響いた次の瞬間、女戦士はその場に崩れ落ち、
まるで相手に許しを請うような、屈辱の四つん這いの体勢となる。
「かみ……なり……?」
女戦士も魔族と戦うために、武術ではなくそれなりの魔術の訓練をつんできた。
しかし、これはまずい。『発生』から『着弾』までが早すぎて対抗魔術が追いつかない。
当然だ。雷は音のおよそ440倍の速度を誇る。見てから対処など、到底できない。
「ぐ、く……チクショウ……まだ……! く、くおぉ……お……!!!」
斧を杖のようにして、どうにか立ち上がる女戦士だが……。
それでも全身に力が入らず、再びその場に膝をつく。電気を操る術の厄介なところは、
回避が難しい事だけではない。
人間の脳から体の各部への信号伝達に電気信号が使われている以上、
喰らえば、体がマヒしてしまう事もその一つだ。むしろ、
この女戦士は体を少しでも動かせるだけ驚異的と言っていい。