2015/10/23 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 天然温泉」にフィリオソリスさんが現れました。
フィリオソリス > 彼女は今日も一日ダンジョン作りにいそしんでいた.
そんななので身体中煤まみれ,体の末端には冷え固まった金属片などがくっついている始末.
一言で言えばちょっとみすぼらしかった.

「この辺りにあると思うんじゃがのう?」

かさかさと草木をかき分け湯気の元を捜す.
そう,彼女は温泉を探していた.

フィリオソリス > 山脈には大小様々な温泉が湧いているが,やはり見つけやすい場所ではそのほとんどが温泉宿などになっている.

できればそのようなところではなく人の手の入っていない天然の温泉に入りたい……というのは建前で彼女はお金を持っていなかった.
財宝などはあるのだがそのようなものを持って風呂に入りたいと現れた少女など不審そのものである.

そんなわけで,求めるは天然の温泉.
可能であるならば竜の姿では入れるような大きなものが良い.
月明かりを頼りに獣道をもくもくとすすむ.

フィリオソリス > 少し進んだところで湯気が一気に濃くなる.かすかにかおる硫黄の匂い.それに湯脈の気配.かなり近い.自分の力ももうすぐだと言っている.
ここまで数時間,うろうろと歩いてきたのだ,思わず小走りになってしまう.

「ここじゃあ!」

彼女は抑えきれない期待を胸にうっそうと茂る木々の間から飛び出した

ご案内:「九頭龍山脈 天然温泉」に◻◻◻さんが現れました。
フィリオソリス > 「……小さい」

期待にキラキラと輝きはじめていた髪がシュンと曇る.
決して小さいわけではない.団体でも入れるような立派なものだ.

だが20m超の巨体が入れるかというと……それは望むべくもなかった.

「まぁ贅沢も言っておれんのじゃ」

ぱしぱしと体を激しく叩いてこびりついた金属片や礫を払っていく.
煤は…まぁいいだろう.どうせ誰も居ないのだ.

よし!っと準備を終えるとひと思いに飛び込んだ.

◻◻◻ > 「…………?」

聞こえてきたその音に、その影はピクリと反応した。
山中にばらまかれた自分を……その全てはまだ回収出来ていないが……
集めていたら、覚えのある音がやや遠くから響いてきた。

この山は温かく、飢えに悩まされにくいのだが……
響いてきた音の方に意識を向ければ、さらに温かな何かがあるらしい。

「…………る、ら」

飢えが抑えられたことによる好奇心に引き寄せられるまま、
それはゆっくりと足を進め…………そこに、大きな熱の集まりを見つけた

フィリオソリス > 「ふぃー.いきかえるわい」

温泉に浸かり満足げに鼻を鳴らす.
温泉は良い.
ちょっと人間には熱めのお湯も自分には心地よかった.

「んー.どうじゃろー?我がダンジョンまで引き込んでみるのも良いかもしれんのう.
 そうじゃ,大きいものがないなら作れば良いのじゃ.掘ってしまうのも良いかもしれん.
 良い思いつきじゃ.さすが我である.」

なにやら満足げにうなずいているようであった.

◻◻◻ > 「…………」

目の前にある熱の塊に、しかし僅かに疑念を抱く。
この塊の様な何かは見たことがある。
しかし、何か、ざらっとする何かが、あったような……

「…………」

疑念が行動を僅かに止めるが、本能が目の前にある餌を得ることを求める。
故に……躊躇いは僅かなまま、そのまま塊の中へと、音を立てて足を踏み入れた。
身に纏うボロが何故か重くなるのを感じつつ、緩慢に足を進めようとする……

フィリオソリス > 「ふにぃー」

リラックスしているのか物音にも気付かない.
心なしかいつものしゃんと伸ばした背筋もぐんにゃりしている気がする.
こんな姿を見てら誰も彼女が竜だとは思うまい.
そんなだらけきった姿であった.

くわーっと大口を開けてあくびを一つ.
温泉に浸かったまま寝落ちする勢いである.それは少女の姿もあって正直大変危なっかしく見えるだろう.

◻◻◻ > 「…………?」

ざばざばと音をたてながら、音の方へと足を進め……
……湯煙の先で、記憶にある影を見つけた。

強い熱を持っていた、黒くて小さな影だ。

…………が、今は熱の塊に入っているからか、あまり強くは感じない。
もしかしたら、違うものかもしれない。
緩やかにリラックスした影に、じぃ……と視線を向ける

フィリオソリス > 視線を感じくるりと顔を向ける.
目?があった.思わず体が硬直する.
あのときよりだいぶ小さくはなっているが湾港都市ダイラスで遭遇した魔物に相違あるまい.

「(適当に振り払ったがまさか近くに落ちているとは…)」
くっついてついてきていたなどつゆ知らず,そのようなことを考える.

ここはどうするべきか.
この魔物は熱をくらう,適当に熱を出せばただむさぼり食われるだけで終わるだろう.
かといって全力を出してしまえばこの温泉など跡形もなく消えてしまう.
せっかく見つけた温泉なのだ,もう少し浸かっていたい.
いや,そもそもつかっているのは【温】泉ではないか.これはまずいのではなかろうか?

などと高速で頭の中を思考が駆け巡る.
リラックスしていたのもあって彼女の放つ熱はなりを潜めていた.

結果,彼女のした行動と言えば,結局そのまま温泉に浸かっているだけなだった.

◻◻◻ > 「…………」

僅かに、気配が変わるのを感じる。
が、何かをしてくるようには感じられない。
自分を弾き飛ばした時の様な強い乱暴は出ていない。
じぃと見れば、やはり同じ様に感じるが、しかし、熱は感じてもあの強い強い熱とは全く違う。

おなじなのか、違うのか。

違っていたらどうなのか、同じならどうなのか。

「…………い?」

視線を向けていたが……疑念は曖昧な為に意識を強くは動かさず、
興味は辺りの熱の塊に移る。

キョロキョロと辺りを見回しながら、湯をぱしゃぱしゃと叩く。
食べきることは容易いが、しかし、ざらざらした何かが、邪魔をする。

フィリオソリス > 「襲ってこない……?」

思えば前回襲われた理由もわからない.
実害と言えば少々まさぐられた程度で実害といえるようなものでもなかった.
ただ熱を吸われたのみである.

そう,このときまで彼女の中で熱を奪う能力と彼(彼女?)の食性について関連があると思っていなかったのである.
そこがはじめてかみ合った.

「ぬし.言葉はわかるか?」

そう問いかけた.

◻◻◻ > 「?」
ぐるり、と視線を聞こえてきた声に向け直す。
掛けられた言葉を、単語や意味を理解することは、まだまだ困難であった。
だが、その中にある感情や意思を感じることは出来る様になっていた。

もっとも、まだそれは飢餓などに容易く押し流されるものであったが……
しかし、今の熱に囲まれた状況が、幸運にも意識を穏やかにしていた。

「…………」
じい、と見つめ返しながら、反応したかのようにゆっくりと向き直る

フィリオソリス > 「わからんか?まぁよい.わかっている前提で話す.
 もしぬしがこのまま大人しくしているというのであれば,より熱のある場所に連れて行ってやってもよい.」

要するにスカウトであった.そのまま言葉を続ける.

「ぬし,熱のみをくろうておるのじゃろう?スライムにしては珍しいが変わり種がおっても不思議はあるまい.
 ……何かよくわかっておらんような顔をしておる気がするが……まぁわかっておらんでもよい.
 そのときは滅するだけじゃしのう」

ちゃぷちゃぷと体を擦りながら世間話でもするように話す.
とりあえずは先の無礼も許すと言った感じである.
温泉で気分も良かったのだ.たいていのことを流してしまえる程度には.
……温泉だけに.

◻◻◻ > 「…………」
伝えられた意思に、曖昧な意識が静かに動き始める。

熱を貰える。 大人しくしている。

そして最後の音に、一瞬ながら強い意識を感じた。
弾き飛ばされたあのときに見上げた、大きな影。
あの熱を……熱が無い筈だが、しかし感じとっていた。

「……る」

意識が回る。
熱が貰える、温かい場所があるということだろう。

だが

大人しくする、の意味が分からない。
ならば、そのままあの大きな熱の意思を

「…………」

そこで、意識が止まる。何かが、意味を伝えてくる。

ただ喰らうのではない、とすること。見ていること。
餓えの中で初めて感じた温かさと充足。黒と赤。

じわり、と沸き上がったものが意識に染み渡り……
その意識が伝えるまま、湯の中にだぷん、と体を落とす。

「…………ら」

動きは緩慢になるが、ただ熱の中に身を委ねる

フィリオソリス > 「うむうむ.大人しくしている分には可愛いものじゃ
 しかし湯に浸かって大丈夫なのかのう.溶けたりはせんのか?」

そう言うとざぶっと風呂から立ち上がる.
煤も落ちたし有意義な時間だった.満足気にうなずく.

完全に湯から上がり犬のように体を震わせ水滴を振り払う.

◻◻◻ > 「…………」
伝わる音は、柔らかい意識であるように感じる。
暴力のものでも、強い熱でもない。

判別としない曖昧さは意識の中に溶け、
同時に投げられた言葉は、その中身が分からない。
熱から出る黒い体と振り払われて軌跡を描く微かな残り。

それを見つめながら、意識が緩んだことで顔を出した無意識が、
熱を自然に喰らおうとして

ミシリッ

「……?……」

動きが、何かに押さえつけられる様にして止まった。

……何事にも、それがどんな細やかな物であれ、理由がある。
ならば……意識の片隅で、何故ざらっとした危機感が警鐘をならしていたのか。
それへの無知は、時に容赦なく結果をもたらす。

湯からつき出した、不自然なまでに大きな氷の塊。

それに拘束された体が、その結果であった

フィリオソリス > 「なんじゃおぬし.まともにコントロールもできんのか.まぁよい.今日のわれは寛大じゃ.その程度は不問としてやろう.」

いうやいなや,その怪力を持って凍ったまわりごと引っこ抜く.
実際返答は聞いていないが問答無用と言ったところである.
まわりの湯が丸ごと何分の1かなくなったろうか,ザブンと波が立つ.

「歩くのも面倒じゃし飛ぶかのう」

どうせ歩いても湯冷めは免れないのだ.少々問題はあるまい.
すぐさま背がミシミシと隆起し巨大な羽が現れた.

◻◻◻ > 「!!」

もがこうとしてもぴくりとも動けず、
反射的に熱を喰らえばさらに状況は悪化する。

恐慌に陥りかけた意識は、しかし持ち上げられたことで無理矢理にかき回される。
異音と、氷ごと抱えあげられる感覚。
そして、眼前で広げられた大きな翼。

動けぬままの状況の流れに、どんどんと流されていく

フィリオソリス > 「んー.せいっ」

自分より大きな氷塊を持っているとは思えない跳躍.
それもそのはずである.小さく見えようとも彼女の質量はのその数倍はあるのだから.

翼で風をつかみ滑空する.
徒歩で数時間かかっても飛んでしまえば一瞬である.

◻◻◻ > 「! ! ?……!!」

突然の浮遊感と、そして流れていく景色。
意識も本能もなく、混乱からの全く未知の……
しかも流れが速い……光景と感覚に、無音の声を上げるしかない。

僅かながらに自由になる体で、手近な物に必死にすがりつこうとする

フィリオソリス > にゅるりと腕から腰や胸にかけてまとわりつかれる.

「ン…これ.あまり調子に乗るでないぞ」

ぶんぶんと軽く氷塊を振ってみせる.
そうしていれば巣はすぐそこである.

◻◻◻ > 「!!!」

混乱と恐怖感とで、考える余裕もない。
身を寄せてふるふると震えながら、僅かでも分かるものを
得ようとした意識が、近づく巣を目に収めていた

フィリオソリス > 「さて,氷はあとでとかしてやるからの.今襲われてもかなわんわい」

巣の奥にはマグマだまりがある.そこまで連れて行くつもりなのだろう.
そのまま巣の中へ入っていった.

◻◻◻ > もとより、この状況では抵抗も何もない。

そのまま、巣の中に運ばれていった

ご案内:「九頭龍山脈 天然温泉」からフィリオソリスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 天然温泉」から◻◻◻さんが去りました。