2021/08/10 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】 カジノの地下」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 「!ぃった……!」

どすん、と重い音の後に地下道に押し殺した声が響く。
大げさな悲鳴にならずに済んだのは、落ちると先から知っていたからだ。

「は―――ぁ―――もぉ、何処、ココ……」

尻もちをついたまま周りを見渡す。地下道には辛うじて壁に魔法の灯りが点々と灯っていて、それでも人気は全く感じられない。ただ空調の音だろうか、ゴォォと響くような音が満ちていて、真っ直ぐに前後に続いている。その様子が此処の上階であるはずのカジノの様相あまりにかけ離れていて、女エルフは暫く瞬きを繰り返しては周囲を見回した。

「ゃ―――腰じゃなくて良かったけど……」

お尻から落ちたものだから――――体勢はえらべなかった!―――ジンジンと痛む。そこをさすりさすり、壁に手を付いて立ち上がる。
大人が5人ほども並べそうだから決して狭い路ではないが、雰囲気からして閉塞感は否めない。

そんな不気味に寂しい場所へ独り落ちてきたのはほかでもない。マジックである。
正確に言うと、マジックショー。
カジノのホールで偶に催されるマジックショーの一幕。そのひとつ、『消える娘』という演目のショーに消える助手役で出演して、箱の中から落とされたのがこの場所だった。今頃ステージ上では、自分とそっくりさん(耳以外は本当に似ていたし、わざと付けぼくろも付けた)が『再登場』している筈だ。

「いやーでも……確かにリハーサルなしでも大丈夫だったけど……」

前後の路を見て少し途方に暮れる。落ちた拍子に上階に居た時の方向感覚も失ってしまっていた。
一体どちらへ進めば良いのだろう?

ジギィ > 此処はまあ取り敢えず古典だ。
人さし指の先をひとなめすると、目を閉じて風を感じる方を探る。

「ん――――…」

こっちかしらん、という方向へ目を瞑ったままくるりと身を向ける。
目を開けたら排気口…という事もなく、とある方向へずーっと真っ直ぐ、ず―――――っと続いているようだ。

(……――――――報酬貰わなきゃ)
追加たんまりと。
それには先ず脱出である。上へぶち抜くという方法が無いでもないが、その際の想像に難くない賠償金請求が怖すぎる。

そうと決まれば足取りは軽く、速い。
スパンコール付きのドレス姿が、歓楽街の地下道を行く―――

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】 カジノの地下」からジギィさんが去りました。