2020/12/29 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】 カジノ」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 漆黒の帳が下りた天に、月が煌々と輝く夜。
今宵も不夜城は冬の寒さを寄せ付けない熱を孕んで、月にも負けない輝きを地面から天へと放っている。

その不夜城ハイブラゼールのなかでも一際大きなカジノの中。
老若男女、人種様々なひとが心なしか頬を上気させて行き交い、時に嬌声や笑い声、合間縫うように何処からか音曲が響いてきて、高い天井にまでを満たす。
その陽気な空気の中、幾つもあるルーレット台の一つの端の席に座って、テーブルに頬杖を付いている女がひとり。
目の前にはグラス一つ。足をぶらぶらさせて如何にも退屈そう。

「――――…」

他の席に着いた客が次々に賭ける中、初老の男のディーラーに目配せをされても小さく首を振ってその手元をぼんやりと眺めるばかりでいっかな参加しない。
もうその問いかける視線も無くなったので、それはそれで遠慮なく、ディーラーの手元を不躾にじっと眺めている。

今日は競売のほうの用心棒の仕事で来たのに、何だか不審者だとかで急遽中止になった。
折角王都から出向いて来たのに無駄足、というのもあるが

(…難癖つけて堂々と喧嘩できそうだったのになァ…)

はぁー、と溜息をつく小娘の姿は、素寒貧になったがためのものと見えなくもない。

ホアジャオ > さっきから眺めている、ディーラーの指先の動きと玉の行方を読むのも飽きてきた。
買ったって、こういうカジノではあらゆる手段で客が大儲けできないようになっている。
逆に、儲けてしまったあとは背後に気を付けなくてはならなくなる。
実家が似たような商売をしているのでよく知っている。

カラララ、と特有の音をさせ始めたルーレット台を横目に睨むようにしてグラスの酒をちびりと舐めると、ふん、と鼻息一つ漏らして椅子から滑り降りる。
すこし辺りを見回してみるが、屈強そうなのはそれこそこのカジノの用心棒くらい。

(…誰か騒動を起こしてくれれば、それに乗じて喧嘩できないかなァ)

そんな不謹慎な思いを抱きつつ
グラスを残してそのまま踵を返すと背後でディーラーがほっとした空気を醸しだず。
またフンと鼻息を漏らして、女は軽い足取りで騒動を探しに、熱気あふれる雑踏に混ざって、人混みを泳いでいく…

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】 カジノ」からホアジャオさんが去りました。