2020/05/05 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にロックアインさんが現れました。
■ロックアイン > (カァァーン、と乾いた木槌の音が広い会場に木霊する。
商品の落札の合図と共に、あるものは拍手を。あるものは失笑や苦笑交じりの祝辞を口にするオークション会場。
大規模なホールを少しばかり改装し、常よりステージは広く、そして高く。
照明の角度も調整され、離れた席しか与えられなかった客にも商品がどのような【物】かがよく見える様にステージの後方、白い壁には魔法にて拡大された映像が投影されている。
シェンヤンの曰くつきの武具。骨董品。これら表向きの品にまぎれ、符丁を用いた非合法な品々も陳列されていた。
騎士のみならず、正義感に溢れた貴族。或いは内偵が居ては面倒なために。
例えば表向きは、壺――だが。壺の説明にまぎれる文字に、壺の購入者にはシェンヤン経由で送られる、魔力に満ちたミレー族。
或いはご禁制である薬物等が目玉でもある事が記されている。
一見しただけではそれと判らない様にするのは、金のある人間ほど保身に走りたがる傾向がある為だろう。
今落札されたのも表向きは掛け軸ではあるが、その実まだ10にも満たぬ貴族の娘が出品されていた。)
「――【良い傷薬】でもあれば購入したいのだがな。シェンヤンの傷薬は実によく聞くと評判だ。」
(隣の貴族、周囲の貴族は敵なのか同族かは判らない。ただ、オークション会場で何も喋らず、品物だけを血眼に見ていては、まぁ浮くだろう。
テーブルの上にはパーティーでもあるかのようにクラッカー、簡素な焼き菓子。干した肉に干した魚。
アルコール等のドリンクは黒服にでも告げれば持ってくる。
オークション会場は参加の費用が掛かり、その参加費用から捻出されているのだろう。何れも、上等でもないが安酒、安物と言う物ではなかった。)
■ロックアイン > (指にはめられた指輪には解毒の効果のある物もある。
指にはめられている装飾としては悪趣味な黒真珠やルビーと言った宝石の数々がはめられた指輪。
その装飾品に守られた指がつまむのは僅かな塩味が付いているだけのクラッカー。
さく、と軽い音を立てながら口に運び。口が乾いたのでシャンパンで口の中の残滓と共に流し込んでいく。
次に会場に示されたのは表向きの品物。
骨董品であり、古木と香木の組木細工のように作られた年代物の寝台。自分には興味のない品物だが、程よく安眠を齎す森の香りと彫り込まれた龍の紋様は古の名工の手によるものらしい。
先程のミレーの奴隷に比べれば高い値段での取引になっている。
安眠する効果が目的なのか、ただの先々の資産として購入しているだけなのか。)
「――6と2」
(参加をしないのも悪目立ちだ。値段の上がり方から、恐らく被せられる程度の値段を告げて自らの番号符を頭上に掲げて見せる。)
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にシシィさんが現れました。
■シシィ > (───暗く落とされた照明は、場の雰囲気を盛り上げるためでもあるし、オークション参加者への配慮と、そして、舞台にあげられる『商品』をよりよく見せるためのものでもあるのだろう。安くはない参加費用は、それが合、非合法を問わない競売であることはわかっていたが、だからこその──『目』を育てる機会でもある。掘り出し物があればいいのだけれど、なんてことを考えながら、グラスを受け取り、する、と足を運ぶ。ほの暗い広間をする、と泳ぐように進むドレス姿の女は何も己ひとりではない。貴族の───権謀術数の舞台として、そこを訪れているものも多いのだろう。甘い蜜色の肌を艶のある生地で覆った女はそんな、オークション参加者の動きを眺める向きもある。)
「────」
(折しも壇上で掲げられ、そして壁面に映し出されているのは、暗喩ではなく、きちんとした商品そのものの様。異国情緒の風情漂う彫刻と、複数の木を組み合わせた細工物としては、骨董価値も無論付随する品物に視線を取られる。手にしたグラスを緩く巡らせ、その成り行きを見守る様に。己がいるのは末席だ。故に、そんな己の挙措に視線を向けるものもまた、無いだろうと、思惑を含ませる。あがる札、あげているのは──、なんてつらつらと。思考を遊ばせていた)
■ロックアイン > (オークション会場内は、客として皆平等である。だからこそ、一個人の考えで飲食物に毒や薬が混ざる事は起こり得なかった。
たとえそれが騎士団の正規の要請であろうと。
故に彼女――褐色の肌は白い肌の多い貴族の女性の中では幾分珍しく、目を引く事にもなる。その彼女が手にしたグラスの中身もごく安全な物。
末席であっても、提供される食糧や飲料に変わりはない。何れも参加費を支払い、商品を購入する事があれば大切な銭の種なのだ。)
「7と1」
(番号符を上げた後で、他にどのような競り合いをする者がいるか。視線を巡らせるために首を末席の方へと向ける。
上座、最前列。そのような場所にはステージに目を向けるついでに見ることが出来るのだから、あまり興味は湧かない。
今興味があるのは、自分よりも幾分後方で聞こえた競り掛けてくる声――男の声ではあったが。その声の主を見る為だ。
が。幾分珍しかった褐色の肌の女性。光沢もあり、蜜の様に甘い風味を連想させる肌の色をした女の方に視線が向く。
裏社会では見ない顔だが、表社会でも見ない顔。付き合いのある豪商でもない。
肌の色、そして銀の髪に映える夜会のドレスに包まれた彼女を見つけた時には商品よりは興味を惹かれた。)
『8と2にて落札頂きました――――!次なる商品は――――』
(寝台を購入できなかった、のは予想通り。さて次の商品に切り替わるまでの間には若干の時間はある。
舞台の上から商品が落札者に手渡され足り、次なる商品の為の準備もあるのだから。
その時間を縫うようにして、自分の席を一度立ち上がると。迷わず面識のないその女性の元へと足を運ぶ。
大股に。幾分か年齢に負けた脂肪の浮き上がる腹部を揺らし。けれど、座席と座席の隙間を器用に抜けてくる歩みを見せながら。
目的の女性の前で立ち止まり、軽い会釈を向けた。)
「失礼、ご面識が無かったものでご挨拶がてら。宜しければ、隣に座らせていただいても?」
■シシィ > (己が視線を向ける先は自然上座の、いわば選ばれた者たちの場所だ。彼等は彼等で、オークションにかけられた商品について思うところはあるのだろう。
───残念ながら己はこの、暗喩めいた方法で陳列される『人』の商品には興味はなかったのだが)
「………」
(上げられる札。骨董品に興味のある貴族たち、或いは、シェンヤンのものを集めている好事家だろうか。
どちらにせよ、そういった彼ら自身の情報が己には大事なものだ。その顔と、名前を記憶に刻みこみながら、細長いフルートグラスの縁に唇を押し付ける。
肌を引き立てるように引いた紅は、パステルグリーンの色味を、光沢に乗せ。傍らの男もまた、そういった品に興味のある貴族位を持つものだったらしい。
それが名工の手になるかどうかの真贋はともかくも、香木部分だけでもそれなりの価値はある。
ハンマープライスの音が響く。オークショニアの宣言と共に木製の寝台は競り落とされ、そしてしばしの歓談の時間が訪れる。思い思いに彼らはこの場を利用し、羽根を伸ばし、或いはその触手を伸ばすように)
「……私、ですか?」
(掛けられた声音に視線を上げる。たしかに面識はないだろう。己は商人とはいえ、商会を形成するほどの人脈はないし、貴族へと面通しできる程の鼻薬をばらまいているわけでもないのだから。だから男の言葉はごく自然に響いたし、断る理由もない。それに先ほどの骨董品に札を掲げていた好事家の一人だ。顔を繋いでおいて損ではない、と算段を巡らせながら、緩く顎を引いて頷いた)
「ええ、私のような者でも構わないのでしたらかまいませんわ、どうぞ」
(あいている席に手を差し伸べる。席順の問題はあるかもしれないが、上座から移動してくる分にはさして問題にはならない───否、この男がさせないだろうことは予想がついていた)
「私はシシィと申します、貴方も、……シェンヤンの品に興味が?」
(舞台にちら、と視線を向け、名乗りと共に言葉を重ねた)
■ロックアイン > 「これはご丁寧に。シシィ嬢。俺はロックアインと申します。
カビの生えた様な爵位しか無い田舎貴族ですが、お見知りおきを。」
(透明度の高いグラスに残された花弁の残滓。その元となる唇に、そして穏やかな表情を浮かべる相手の顔立ちに視線が向くのは、会釈をした後。
褐色の肌が想起させるのは砂漠、或いは熱のこもるような地域での生活だが、その双眸は氷を思わせる色合い。髪の色も暖かさというよりも鉱物の様に冷ややかさを感じさせる銀色と、色彩のコントラストが目を引いていく。
余程、リストに並ぶような奴隷よりも彼女自身の方が高値が付く事だろう。
彼女の隣の席に腰を下ろす。元々彼女の隣に座っていた男には気の毒だが、立ち見なりで我慢をしてもらおう。
近づいてきた黒服にはチップと、自分のシャンパンの代わりを注文。運ばれてくるまで暫しの時間はかかる。)
「……シェンヤンとの物流は機が少ない。こちらでは目に出来ぬような品が並ぶ事もあれば、逆に此方や地方部族からシェンヤンに流れた美術品等が逆に流れてくることもあるので。
まぁ紛い物をつかまされた時には高い勉強代を払ったと諦めますがね。」
(舞台の上では、次は大鏡が展示されている。
ただの大鏡ではなく、その周囲の縁に希少金属が使われ、縁は上下左右で4つの部品として分解も出来る物。
シェンヤン。伝統的なミレーの古来紋様、砂漠の部族の小さな神を祀る文字、そしてヤルダバオートの姿が彫り込まれた物。
何れも精霊銀、そしてミスリル――と。加工すら難しいとされる金属で作り込まれている物だった。)
「……例えば今、ステージにある品物。俺の目だと、精霊銀だとかミスリルだとか言われたところで、真贋が掴みにくい。
そもそも、加工する事自体が難しいという先入観があるのでね。
シシィ嬢も、シェンヤンの品に興味がありそうですが。こういった品々の知識は豊富なので?」
■シシィ > (明らかに己は平民だとはいえ、それでも礼を失さぬ気遣いに、瞼を伏せる。蜜色にけぶる睫毛が触れて、緩く瞬き、会釈を返す形で応じ)
「此方こそ。本来であれば膝をつくべきはこちら、ですのに。寛大な態度に感謝をいたします」
(オークションということもあり、参加しているものはみな一様にオークション参加者として扱われはする。無論明らかに大人物であれば、周囲が気遣うのだ。今、彼に対する給仕たちや、本来の席の持ち主の様に。
鷹揚な仕草で腰掛け、給仕にチップと飲料のおかわりを指示した男の挙措を見守ったのち、彼の言葉には緩く目を伏せ笑みを唇に浮かべた)
「そうですね──私もその勉強のために、末席に連ならせていただいているところではありますが───」
(彼の目に己がどう映るのか、分かっているような、分からないような風情。向けられる眼差しに値踏みの色が混じるのには、なれているから、それを受け流すような表情を浮かべるのもまたなれたもの、だ。
舞台上に用意される大鏡。祭祀用ではないかとも思われるそれには複数の文化を刻んでいる。言葉に導かれるように視線を流し、少しだけ眉宇を潜めた)
「確かに、見ただけでは分かりませんね。ただ、精霊銀も、ミスリルも、魔力に反応を示す素材でしょう?魔力の扱いに長けた方が触れて試すことがあればその真贋は見分けるには容易いですが───」
(言いよどむ。じ、と向ける視線は鏡の縁に掘り込まれた意匠に目を細めて。真贋については、なんとも言い難いが。その古さを問うなら、ヤルダバオート神が刻まれている、という事実が、近世のものであることを伝えよう、と言葉を重ね。
また、注視するのは砂漠の部族の文字まで刻まれている部分。どうして、と嘯く言葉は声音にはならないまま呑み込まれた)
「───四つに分かたれて、それぞれ違う文化を示す、というのは興味深くありますね」
(笑みを浮かべ、そう締めくくることにした)
■ロックアイン > 「ははは、こういう場で膝をつく様な話はやめましょうか。
俺も上座の面々に膝をつかねばならなくなる。何よりそう言う階級から解放される数少ない場。
オークションを愉しむとしましょうか。」
(届けられたシャンパンのグラス。グラス同士をぶつけるような乾杯ではなく、透明なグラスに淡い色合いが満たされた中身を揺らし。目の高さに掲げて乾杯の代わりとした。
砂漠の部族の文字は古い物。ミレーの古来の紋様とは確かに、年代が違うヤルダバオート神。
まるでその部分だけ差し替えられたかのような品とも見る事が出来る。
大乗では品物の説明がつらつらと並べられている。曰く、この大鏡に1日姿を映していれば寿命が10分延びるのだと。
何よりデザインが気に入らなければ、周囲の金属だけを溶かし、インゴットにしてしまえばいいという冗談交じりの様な言葉が飛び出ている。
その説明よりは、隣に座る彼女の説明の方が耳に入るのは自然な話。
何より骨董品への知識が浅い自分自身へ判り易い様に説明がされるのだ。聞き入るなと言うほうが無理がある。
派手な相槌等は示さないが、言葉の合間合間に頷き、そして符を掲げて値段を告げている。)
「なるほど。しかしながら魔力、と言う物には如何せん疎い物で。
この通り、自分の身を守る為に恥ずかしながら指輪や装飾品の数々の力を借りねばならぬのですよ。」
(上座に位置する貴族が高々と札を掲げた。どうやら金属自体は本物だと見抜いたのか、その告げた値段は直前に示された値段の倍近い。
ざわ、と周囲の気配が、熱量が上がる。)
「シェンヤンに流れ着いた民が多いのか、はたまた古来よりの品を組み合わせたのか。
まぁ、近世の物であればそこまで値段が付かないかと思ったが――随分熱を上げている好事家もいるものだ。
――17と2。」
(先程の自分の言葉に、僅かだが嘘が混ざる。魔力に疎い、と言う部分。嘘に敏感であればその部分には気が付くかもしれないが。
彼女の説明を受けて、上座の貴族の値段に更に競り掛けていく。
近世の物ではあれど、4文化を一纏めにしたという点で多少の興味を惹かれる物はある。素材自体も劣化しにくい品なのだから。)
「しかし、私には文化は……ミレー、ヤルダバオート、そしてシェンヤンの物しかわからないのですが。
もう1つの文化とはどこの文化で?」
■シシィ > 「ふふ、ありがとうございます」
(ほどなくして届けられたグラスを掲げられたなら同じように己も掲げ返して、乾杯の意を返す。気泡を孕む淡い色付の酒精で少し唇を湿らせる。
まことしやかに語られる所以自体は眉唾物ではあるが、素材の質はうそをつかない。この場合はそちらに重きを置いた値段としての札が掲げられてゆく。一番席の近い上座の者たちがこぞって札を上げているからか、瞬く間に吊り上がってゆくのを眺めながら。
己の言葉に、素直に耳を傾けてくれる目上の男性、の姿に少し面映ゆそうに目を細めることにもなろう。)
「浅い知識ですが、何かの一助になれば幸いですが……やはり素材としては無視できないんですね」
(前置きしつつ、告げられたことばに、彼が身に帯びている装飾へとちらりと視線を向ける。五指にはめられたとりどりの宝石のそれらは、一つ一つが何らかの護符でもあるのだろう。指輪に刻まれた魔術文様がそれを知らせている。魔術関連の知識は少し心ともないためにそれがどのようなものかはわからないが、貴族であれば当然の警戒とは言える。
本人に魔力の素養がなくとも、宝石の中には魔力を蓄える質のものもあるというし、彼の言葉が嘘か真かは今の女にとって判断材料がなさ過ぎた。
白熱していくオークションの内容に、とうに己ではすでに手の出ない域まで値段が攣りあがっているのを、純粋に眺めて楽しむこととしよう。そうやって見守る姿勢であったところに問われた言葉に、どうしようか惑う姿勢を見せて、一つ頷いた。)
「そうですね、ほかの3つとは違って……あれは私の出身地に近いところの文化のように思います。多少意匠が違うので何とも言えませんが」
(シェンヤン地方に近い、砂漠の民の意匠でしょう、とゆるりと結論付ける。極地であれば、同じ文化を共有しつつも、交流は遠く、地域で微妙に差異が出るものですから、と相手にとっては理解しやすい言葉に変換できた廊下、と思いもする。……己の部族はとうに滅んでしまったのだし、今更感傷に浸る必要もない話ではあるが)
■ロックアイン > 「精霊銀にしろ、ミスリルにしろ。極論、幽霊でさえ殴りつけることが出来るともいわれるだけに、希少価値はあるのでしょうね。
1日中鏡に姿を映して、10分の寿命等言われてもピンとはきませんが。」
(生い先の短い老人であればまた違うのかもしれないでしょうが、と。
押し殺し、囁くような声で伝える。上座の連中に聞かれるには好ましくない内容でもあるからだ。
やがて、その値段が豪邸の1つも買えるだろうか、と言うまでに釣りあがる頃、漸く競り掛ける存在が居なくなり、上座の貴族が落札をしていた。木槌の音と、本日最高値を付けた事を告げればまばらな拍手が送られる。
その光景を見ながら、思考はまた違う方向に向かう。
自分にはない商品を見る目と、美術品への造詣。先程までの会話から、地方文化にも造詣が深い様だ。
砂漠の民、と言う言葉はなじみが薄いが、それは付き合いの無さと繋がりの無さも示している。
其方への理解や知識を持つ相手は、遠方への顔繫ぎにも利用が出来そうだとも結論付けられる。
勿論、彼女が騎士等の内偵等の疑いもあるにはあるが。それでも、彼女自身の価値に疑いはない。)
「いやはや、あそこまで値が付いては俺では手も足も出ない。
――この後の商品については其処まで興味はないので、宜しければ場を変えて美術品や骨董品。
或いは文化についてご教授頂けますかな?明日以降の品で気になる物がありましてね。」
(水を向けた。繋がりを作る為の機会を場を変えて行わないかと言う旨。この場で、ではないのは幾分人目を気にしている事と。
何より、彼女の素性が安全であるかの確認をする為の目論見もある。
空になったグラスをテーブルの上に置くと、程無く黒服が持ち去っていく。
この後に続く商品は、裏側の品も表側の商品も幾つか並ぶ。自分が興味を引かれる商品は少ないための場所を変えての話の誘い。
彼女がまだオークションに興味があるのならば断わる口実には出来るだろう。)
■シシィ > 「不可視、不干渉のものを、物理的に干渉可能にする……というのは確かに、そうですわね。……鋳直してほかのものにしてしまおうと考えるのも当然と言えるの、かも」
(聖職者や、魔術師、そうでなくとも、そういったものへの干渉を行う立場であれば、手に入れたいと願うものだろう。己は幸いにもそういったものや、立場からは遠い。ただ、物の価値を、一番高く買ってくれる人の所へ届けるだけの商人に過ぎない。それを卑下することはないが。
──そんな、他愛のない会話を交わしている他所に、釣り上がった値は今日の品物の中では一番高価。
オークショニアの言葉に、上がる拍手に合わせるように己も控えめな拍手を送り。
彼が時折入札していたことも考えると、残念でしたね、と小さくそんな言葉も送った。積極的ではなかったが、それでも興味はあったのだろう、と)
「私が、ですか?───貴方のような方に私が何か申し上げても差し出がましいことにはなりそうですが。いただいたご縁は大事にしたいものですし」
(改めての誘いには、僅かな逡巡。手にした釣り書きの中の品の残数と、己の好奇心。それと彼との縁を天秤にかける、僅かな間を挟んだ後に、頷いた。
河岸を変える意味あいも、彼の安心を買うためであろうとおもう。
平民にはない苦労が、貴族位のものに多いことは察して余りある。それだけに彼らの芯を得ることができれば当然こちらも見返は厚い。己がそれに足れば、の話ではあろうが。
何より、断る口実を残しておいてくれる厚意があるからこそ、の)
「どのようなお品でしょう、わたくしで力になれることがあればお申し付けくださいませ」
(是、と彼の要求に従う旨を返した)
■ロックアイン > 「まして暗い話題も多い時世、美術品としての価値より其方に重さを置く手合いも増えていますからなぁ。
――ははは、残念ではありますが、この品に向けた情熱の差で負けた、という事にしましょうか。」
(ちらり、と品を競り落とせなかった事への悔しさだけは滲み出てしまう。拍手をしながらも、口元に僅かに浮かんだ感情を隠しきれずにいた。
それでも、彼女の返答が是となればその感情は喜の色合いに近くもなる。
自分にはない知識や伝手を持っている相手だ。繋がりを生むのだから、喜ばない理由が無いのだ。
番号札と共に退室する旨を黒服に告げる。外の護衛にそれを伝えてくると、黒服は一旦下がっていくだろう。)
「おお、これはありがたい。
此方こそ、こうした場での縁は大切にしたい物ですからな。
シェンヤンの品はもちろんですが、古来の品や宗教書、と言った物に気になる物が――。」
(その言葉を向けながら。表の準備が出来たと言われ立ち上がる。
オークション会場とは異なる、貴族として逗留する屋敷に向かうべくゆっくりと歩みだす事だろう。
その先で行われるのは、本当に商品の話だけなのかは判らぬ話だが。)
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」からロックアインさんが去りました。
■シシィ > 「そういった点ではシェンヤンの雅さは此方にはないものですし。……暫く王都は東方趣味がはやりそうですわね」
(彼の言葉に首肯し、東方風の小物をいくつか己も商うのもよいのかもしれない。あまり高値のものではなくて、と考えながらの。
己の返答に喜色を浮かべてくれる相手には、そのまま柔らかな笑みで応じることだろう。傾けられる言葉の一つ一つを斟酌しつつ、彼の意向を満たすべく立ち働く給仕の言葉に己もまた、したがう様に立ちあがった。する、と衣擦れの音を伴いながら滑るようにゆったりとした歩みに合わせ──)
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」からシシィさんが去りました。