2020/04/22 のログ
ナイン >  そういう事。後は……そうさな。若し、お互いに?今日手に入れた品々でも身に着けられるなら。
 折角だから、私が独占したいじゃぁないか。…貴女の。リスの、艶姿という奴を。
 ぁは、あんなに本格的な物じゃぁないよ。文字通りに水遊びをするだけの場所なんだから。

(こう見えて。割と、新しい物好きなのである。…確かに。がっつりと運動するような事は好まないので。言ってみせる通り、波打ち際で戯れる程度の代物だろうが。
そして。招く事、招かれる事。それ等の話題へ、速やかにシフトしてしまい。一瞬口にしかけた、不穏な世間事情という物には。口を噤む。
…力やら財やら使い勝手が見込めるのなら。巻き込みたい者も、巻き込んで良い者も、王国の為と大いに巻き込むのが。此の少女貴族だが。
殊彼女に関しては、珍しく…巻き込みたくない者、なのだ。)

 その言葉は、そっくり返しても良いのだけれど。…貴女はもう少し。魅力という力に関しても、自覚を持つべきだと思うんだ。
 でないと、とても――勿体ないじゃぁないか。貴女自身がどれだけ魅力的か。いっそ喧伝してやりたい程なのに。

 っ、と、…?っはは、本格的にデートと洒落込むのなら。買い物の後も少々…そうだな、今日の所は軽く一杯、でも。付き合って貰おうか?

(飛び付くように、腕を抱かれ。思わず声音を跳ねさせてから。…やれやれと首を振る。
彼女が自覚していない、彼女自身の魅力。…財で、力で、強引に奪う事をせずとも。相手を惹き付ける一側面。
…これも、そういった中の一つなのだろうな、と。上腕を包み込んでしまわんばかりの柔らかさに嘆息一つ…羨ましいやら怨めしいやら。
何せ、気にしているといえば気にしているのだ。時々ちょっぴり、魔術で増量してみせたりする程度には。
ともあれ。愉しむというのなら、折角だから諸々だと。本格的な会食は後日だが、それとは別に。酒席にでも誘いつつ。)

 取り分け今回は、どうしても――な。近頃王都でも物騒だし、実を言うと……最近、割と。危うい目にも遭ったから。
 品質に結構気を払わせて貰わないと心配なのさ。…その分。終わった後で、ぱっと愉しめば良い訳だし。

(そう。此亦心配させるといけないので、詳細迄は言わないにしろ。
最低限護衛を必要だと考えるような危機が、直近に存在したからこその商談。
必然的に、要求を満たすべく彼女には、苦労を掛ける事となりそうだが――それも。彼女に頼ればという、信頼故なのだ。
話の纏まった後は豪勢に、と決め乍ら。さて、後は。どんな品を探せば良いだろうか。)

 唇に差すのに、黒等は確かに――少し、強いかな。目元を彩る色としては、少しばかり、外つ国で見る事も有るけれど。
 ……面倒だよな。化粧というのも。けれど、武器の一つだと。手持ちの手段たり得ると考えれば。少しは気も入るという物だろう?

(騎士が、傭兵が、鎧兜や剣を備えるのと同じく。王城や議会席が戦場である少女にとっては。貴族たる権勢を誇るドレスも化粧も、戦装束という物だ。
…己のような仔娘でもそうなのだ。彼女も屹度、例えば先日のように、貴族家に招かれたり。豪商等と渡りを付け、関係を取り付ける舞台に赴くのなら。粧う事も必要な筈。
苦笑混じりに肩を竦めてみせていれば――指先を食まれる悪戯に。は、と細く息を吐き。)

 いけないいけない。流石に此処で…人前で、むざむざ貪られては遣れないな。
 おまけに貴女が粧い装った姿を見せてくれる迄は、死んでも死にきれなさそうだし――

(という事で、指を引っ込めてしまえば。彼女が悩んでいるその内に。己は亦一つ、余所から選ぶ品が有り――)

リス > 「ドレスを着て、化粧をして、見せ合いですか……。それも面白そうですわね。
 私を独占するのですか?それはとても大変ですわ……?
 でも、そういう物をこんなに直ぐに用意するというのは……ね?」

 好奇心が大きいならば、新しいものが好きなのは仕方があるまい、そして、それを成す財力があるという事は十分に知れ渡るだろう。
 新しいものが好きというのは貴族として流行に敏感だともいえるのだろうし、良い事なのだろう、なんて少女は思うのだ。
 知らぬところで、守られている少女は、只々、彼女との語らいに、逢瀬に、心を弾ませて喜ぶだけであるのだ。

「それは、駄目、ですわ。だって、魅力があるなんて宣伝されたら……。
 この楽しい時間が短くなってしまいますし、私も、家の者も、貴女も、遊ぶ時間が減ってしまいますもの。
 過大な宣伝は、商品のみで十分です。

 あら、では、美味しいお酒のお店に、エスコートをお願いいたしますわ?」

 お酒は弱いわけでは無いし、大好きな部類に入るので、彼女の申し出にはありがとうございますなんて笑って見せる。
 先程の意趣返しと言わんばかりに、少女は柔らかな双丘をむにゅうんと、強く彼女の腕に押し付けて見せる。挟んでしまえば、ぎゅ、と抱きしめるのだ。
 もし、酒場が見つからないなら、御用達のお店に案内しますわ?じっと下から見上げて、悪戯に笑って見せて。

「……うちの店だけではなく、それこそ、アケローンからの剣闘士も視野に含んだ方が良いですわね。」

 若しくは、最後の手として。
 自宅のメイドを派遣するか、人に化けている竜成れば、何よりも心強くなろう。ただ、彼女が欲しているのは資産でもある。
 其れは解るのだ、派遣と奴隷雇用では、費用の掛かり方が違うし、どっちかで言うなら、奴隷雇用の方が安いのだから。
 彼女の意に添うように、しっかりと用意しないといけないだろう、と。

「目元を彩るなら、薄い青や緑が良いと思うのですわ、やはり唇には淡い緋等の方が宜しいでしょうか。ピンクとか。」

 しかし、だ、ピンクはすでに使っている、今の唇の―――。あ。
 彼女の指には少女の唇の桜色がしっかりと移って居た、食んだ時に。えへ、と舌を出して見せる少女。悪気はなかった、ついうっかり。
 悩んでいるうちに、その色々は、売れてしまった。競売はそういう物であり。
 次は何が出るのだろう、と。少女は、中央に視線を向ける。
 今度は、帯止めの様だ、男性のネクタイを止めるそれで。

ナイン >  だろう? ――という事で、ほら。…こういうのはどう、かな。私としては……似合いそうだと。思うのだけど…なぁ。
 ふふ、ふ。偶には一日位、そうさせてくれても良いだろう?貴女が時間すら、価値ある商品なのだと言うのなら。勿論、お代はしっかり用意するとも。

(そう。速やかな用立てやら、惜しむ事ない投資やらは。そうするだけの価値が有ると思えばこそ。
流行り物は、話題になるし、同年代の客層等にはウケが良いので。心象宜しくするには有益だったのだ。
そして、仮に一日でも一晩でも、彼女を独占出来るなら。此亦散財も惜しくない、そうきっぱりと断言するか。
その際にはドレス、化粧、等とめかし込んでみるというなら。…此などは、と。余所から引っ張ってくる品が有る。
彼女の瞳に合わせたような、蒼く染め抜かれた絹地に。金糸の飾りが施された、シェンヤンのドレス。
豊満な稜線をしっかりと強調するであろう、膚へと貼り付く様な作りと。大胆に膝の上迄切れ込むスリットは。
己が主張してみせる、彼女の魅力――その一端を。これ以上無い程に誇示してみせる筈。
…貴女の為に買おうかな、等という言葉は大真面目。己は、黒地に銀糸のドレスを既に持っている。二人して異国の装いを…というのは。なかなかに悪くないと思うので。)

 残念ではあるけど、それなら。…そうさな、たっぷり独占させて貰うとするさ。
 少なくとも…あぁ、アレだ。『今夜は帰さない』――とか?お父上をやきもきさせる事になりそうだが。

(それはそれで。可愛い娘を夜遊びに誘う、お友達のワルイコである。
実際朝帰りとなるかは分からないが。取り敢えず、このハイブラゼールで食べられそうな名物と。食後に盃を干す位迄は。
彼女を引っ張り回すのだと、きっぱり、宣言してしまえ。
悪い娘ごっこ、再び…という感ではあるが。此の場合、彼女の方も。なかなかに悪し様だと思うのだ。
一頻り自らの魅力を否定してみせる癖。いっそ蠱惑的な程に、温もりと弾力を感じさせ、悪戯な微笑みを向けてくる辺り。)

 人材捜しは、全面的に任せるさ。貴女なら見付けてくれると思うから。
 …繰り返しになるけれど、急いでくれなくて良い。何よりも質を大事にしたいから。

(それに。此の先当面、不穏という言葉は。国の外か、懸念の地方へとばかり。向かう事となるだろう。
王都で、貴族同士で、ごたつく余裕は。暫く帰って来ない筈だから。それこそ、そんなチャンスをじっくりと、品定めに使いたい。
何れにせよ奴隷雇用に関しては、彼女に全幅の信頼を置いて。今は、目の前、オークションの方へ。
どうやら紅差す品々は、彼女が競売に加わる暇無く、落札されてしまったらしく。それはそれで残念だが…一期一会という物だから。仕方がないか。)

 ……ん。何、未だ幾らでも。売り物は有るし――な。似たような物が、余所にも有るかもしれないし。
 それは?…お父上にでも送るなら、良さそうではあるけれど。

(早速彼女は。亦違う品を見出したらしい。男性向けのタイピンだが、さて…それを彼女が使うとは思えないので。
もしかすれば父親にでも贈答するのだろうか。そんな予想を、首を傾げつつ。)

リス > 「そうですわね、公主騒ぎの時に、真っ先に売り物として買い付けに行きましたが、自分が着るようとしては、勝手はいませんでしたわ。
 確かに、時は金なりと言う言葉もありますし……価値のあるモノでしょうが、それで、ナイン様の感情が、好意が帰るのであれば、それは支払うべき対価となります。
 お代になりますので、問題なくお付き合いくださいませ。」

 時と言う物は確かに価値が有るものだが、それはその人それぞれによるものだ、彼女の時と、少女の時を考えれば、彼女の方が高くなる。
 故に、少女はさらりと独占の許可を下ろすのである、長命故に、時間の価値は低く取っても良いものだ、と。
 目の前の友人との楽しい時間の方がはるかに有意義で価値があると認めたが故に。
 青く染められて、そして、竜の禁止縫い取りのシェンヤン風のドレス。凄く薄く、そして、扇情的ねと、頬を染めてしまおうか。
 深い深いスリットはともすれば下着が見えてしまいそうだと。

「あら……あら!
 なら、こう返さないといけませんわね?

 『今夜は、帰りたくないの。』――大丈夫ですわ、時間は指定されておりませんの。
 朝帰ろうとも、構いませんわ。だって。」

 自分の家の家令当たりが今頃報告してるのでしょうね、と少女は、ちろ、と舌を出して言うのだ。
 そういうのに有能なものが居るから、楽でいい。
 お金持ちの不良娘は悪いお友達と悪い遊びを沢山覚えて行くのです。
 でも、友達付き合いって、そういう物でしょう?少女は笑いかけるのだ。

「見つかるまでの間、妹か娘でも派遣しましょうか?メイドとしては使えなくても護衛としては十分だと思いますわ。
 購入終わる前に、大変な目に合うのも、嫌ですし。」

 大事なのは、お友達、そして、顧客。それに危険が近いのならば、それを排除し、買ってもらうための方策は、必要経費だと。
  そういいつつ、悪戯な笑みをもう一度。

「ナイン様なら男装も似合いそうですし、その際に付けてもらえればな、って。」

 少女は変化球も変化球のボールを投げ飛ばす。
 デッドボールコースの危険球。

ナイン > 【後日継続】
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」からナインさんが去りました。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」からリスさんが去りました。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にリスさんが現れました。
リス > 【お約束待機】
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にナインさんが現れました。
ナイン >  其奴は意外だな。折角売り物にするんだったら――貴女なりが自分で着てみせれば。売り上げにも繋がるだろうに。
 …ぁは、それなら是非とも買い付けさせて貰おうか。用立ててくれた品物が、良い物なのだという事は…間違い無いのだし。

(そう、彼女を一時、己の手に出来るというのなら。
…流石に。互い、時の流れが違うのだから…なぞと。其処迄を試算に含めた訳ではないが。
若し、その点についてを確認されたとしても。答えが変わる事は無いだろう。己にとっては、彼女よりも重く感じるのだとしても。其れでも尚手にしたいと願うだけの価値なのだ。

さて。屹度似合うのではないか。そう称してみせたシェンヤンのドレスに関しては。
頑とした否定が無かった、もうそれだけで、彼女の同意を得たのだと言わんばかり。手前勝手に売り主へと声を掛けてしまおうか。
有り体に言って。そういう、常とは掛け離れた装いに身を包んだ彼女を見られるのなら。其れも亦己にとっては、価値有る物である為に。
ちなみに、彼女の危惧に関しては――大丈夫だろう。屹度。見えそうで見えない、其れこそが正義なのだから。)

 やれやれ、飲み始める前から、酔ってくれているみたいじゃぁないか。
 …其方のお目付役は…心配しなくて、大丈夫か。それなら。

(当然と言えば当然――なのだろうが。彼女に従う家令が、何処ぞからきちんと見守っているらしい。
だとすれば…以前出会ったその人物も、無論、ドラゴンという存在である筈だから。そもそも万一の事など、考えなくとも良かったのかもしれない。
だというのなら張り切って、不良娘同士。道を外していこうではないか。
早速。此の近隣で良い酒が飲めそうな場所等を。頭の中で思い浮かべつつ。)

 それは確かに。末の妹君だったかな、冒険者として鳴らしているというのは。
 そういう人物を暫く雇わせて貰えれば。当座は凌いでいけるだろうし。

(そう。特に肝心なのは、此の先暫くなのだ。貴族、王族への叛意を、公然と主張する手合いが。現在進行形で暴れている為に。
己自身で我が身を護る術が無い以上。一時的な雇用も、当然の必要経費。
…寧ろ彼女の身内という事は、それこそ、間違い無くドラゴンという事なのだから。そんじょそこらの護衛より、余程強いに違い無く。)

 ……… ほ…ぅ?それは、それは亦――――嗚呼、ならこうしよう。
 貴女が着てみせてくれるなら。私も、その座興に付き合ってやろうじゃないか。

(なぁ?、と。彼女の悪戯な笑みと言葉に返すのは。此方ばかりが損をするものかと、存分に巻き込む為の言い草だった。
自らが傷付く事も厭わない手合いの厄介さという物を。互いへ降り掛かる災厄ではなく、悪童同士の戯れ言として。現実の物としてしまおうか。

…彼女の返答を待つ事無く。ちゃっかり、蒼いドレスを落札する。
此に関しては、流行りを受けて彼女の店然り、王都でも販路が拓かれている為に。無闇矢鱈と値段が吊り上がる事も無かったのだろう。)

リス > 「売るのと着るのはまた別なのですわ?それに……着て見せるというのは、良しあしもございますし。」

 そもそも、売り物を着てアピールするのは良くある方法だと思う、然し、それをしない理由としては、体格と言う物がある。
 少女は小さいので、体格の大きい相手から見れば入らないのではないか、と言う不安を覚えるやもしれない、それなりに幾つかのサイズはあるけれども。
 つまり、コンプレックスを刺激してしまうと、購買欲が減衰することも有る、だから、少女は着ない。手に取って、試着してもらう方が良いと思うのだ。
 それに、趣味では無い服を必要もない仕事で着たくはない。

 彼女が買おうとしているのは、自分出来るためだと言う物だと思っているからか、少女は特に何も言わないのである、自分に着せるために買って居ると思って居ない、想定外。
 ああいうのも好きなのですね、動きやすいからかもしれませんわね、という程度の思考。

「場の空気に酔うのも、愉しい物ですわ。
 それに、ナイン様とこういう風に、気のないやり取りもたのしくおもえますし……ね?
 連絡だってしておりますし。」

 何かあれば、きっと家令が呼びに来るでしょう、駄目ですよお嬢様的な感じで。それに、子育ては、基本強く在れて来なかんじもおおきいので、放任主義と言って良いかもしれない。
 どこに連れて行ってくださいますか?お酒は嫌いではない少女、キラキラした目で見上げるのです。

「ええ、末の妹ラファル。彼女は冒険者ですわ、後、娘は双子ですが、姉の方は冒険者見習い。妹は―――さて、何をしたいのかしらね。
 武器を振り回すのはすごく好きみたいですが……そうですわね、駄目ですわ、娘は護衛には向いてない。
 宜しければ、末の妹をお貸ししますわ、あの子はとても便利ですし。」

 流石に護衛にするには、妹は兎も角娘は色々足りない。自分で発現しておいて、娘は駄目ですわね、としれっと否定する。
 色々と知識も足りないし、仕方があるまい、という少女の認識で。
 末の妹は、恐らく護衛にはうってつけである、理由は風を介しての周囲関知に高速移動、ドラゴンとしての防御力等等。
 なので、太鼓判を押していいだろうという判断。
 多分、ドラゴンを護衛とするならば、彼女の貴族としての立場にも箔と言う物が付くだろう。

「………―――え?」

 素っ頓狂な声だと、自分でも彼女の提案を聞いての返答に思う。
 危険球を投げたら無理やりホームランで返されたような、むしろピッチャーライナーで帰ってきたような。鳩が豆鉄砲を食ったような顔で彼女を見るのだ。
 そして、買い上げられたシェンヤン風のドレス。蒼と金糸の豪華な―――ボデーラインがしっかりと扇情的に表現される其れ。
 それを見て、愉しそうな、悪い笑みの彼女を見て、もう一度服を見る。

「では、素敵な服を、身繕いましょうか。」

 にっこり、と笑って見せる。
 だってもう、それを着るのは確定という様子、ならばまごつくのは無駄である。彼女の思うつぼなのも判る。
 だから、彼女が確定とするならば、此方もまた、確定としよう。
 こう、男性用の服の売り場へと、彼女の手を引いて、進むことにした。
 あ、と忘れることなく、先程のタイピンは―――、しれっと落札する。その辺りは、商人の腕と言う所で。

ナイン >  …自分で着たいと考えて、買いに来る者にとっては――確かに。善し悪しなのかもしれないな。
 しかし、誰かに着せたいと思って、手に入れようと目論む者には……其れは其れで。ふふ、目の毒になるかもしれない、だろう?

(現物を見てこそ、判る。そういう場合も有る筈だから。
着て見せるのも、そうしないのも。一長一短…である筈だ。
そして彼女のような。ボディラインを魅力として主張出来る人物が、袖を通してみせた場合。
手に取って、試着させたい、と考える者の方が。直接着てみたいと願う者より多そうだと。そんな気がしてしまう。
…実際に、己自身が。彼女に着せたいと考えているから、なのだろうが。

動き易さ。其れは大きなアドバンテージであるし、大いに同意する。
事実己も。あのスリットを大きな恩恵として、城内で全力疾走した事が有った…とか、何とか。)

 私は寧ろ、こうして貴女と気楽に語り合える時間というのが。他よりも余程、得難い物に感じているよ。
 …普段はなかなか。そんな相手も居ないものだから。
 ――何か有れば駆けつけてくる、なら良いのだけど。万一、随時見られているというのなら…羽目の外し方も。少し、気を使ってしまいそうだ。

(やれやれと首を竦めてみせるのだが。現実問題、余所様に見せられないような事をするつもりは。少なくとも、今夜の所は無い。
相手の親の目が怖い、というのではなく。場の流れ、雰囲気、という物だ。
今日はあらゆる意味でゆったりと。気を抜いて。二人の少女として愉しむのが相応しい。そう考えている故に。)

 あぁ。差し当たってはその彼女に、屋敷…いや、私自身を護って貰えれば。心強い。
 …娘という事は、貴女の妻の血を引いて…其方も冒険者だっただろう?素質は充分に有りそうなのだけど――

(少しばかり首を傾げた。彼女の細君に関しては、幾つか聞き囓っているのだが。二人の娘に関しては、情報が無い。
姉の方が母と同職と聞くと、何となく納得してしまうのだが。では、妹の方が。向いていないというのは、何故なのやら。
例えば、母ではなく彼女自身に似て。商才の方にでも目を向けているのだろうか。そんな風に想像しつつ。

ともあれ、当座の護衛は。どうやら彼女の末妹に頼む事で、決定されそうである。
その彼女が、王城に忍び込んだ事が有るのだやら。結果、先日己の出会った師団長に、大目玉を喰らった経緯やら。
もし聞かされたなら其れは其れで。大笑いし乍ら、最後迄事を知りたがるのではなかろうか。)

 …っくく、良いだろう?折角だから、それこそ――約束した会食の時にでも。
 お互い相手に選ばれた物を着てくる…なんて。面白そうじゃぁないか?

(人これを、自爆技というのである。我が身を省みる事なく、相手を巻き込み、共に堕ちようという行為を。
彼女に倣って球技に準えるのならば、そんなピッチャー返しを以て。大いに彼女を引き摺り込んでしまおうと。
吸い付き貼り付くかのような絹のドレス。己の為に選んだ髪飾りより、幾分、厳重で丁寧な梱包を頼むのは。
半ば以上無理矢理ではあれ、人様への――彼女への贈呈物だから、なのだろう。)

 どうやらその間に彼女の方も。しっかり、男物のタイピンを落札しているようだから。相手も然る者、と言うべきか。
 諦めたのか覚悟を決めたのか…はたまた、のってくれたのか。
 同じく此方を男装させる事を、確定付けたらしい彼女に。今度は此方が引かれる形で、それ等の品が並ぶ界隈へ――)

リス > 「ええ、例えばとても美人な人が、着ている服を見て、ああいう人には似合うけれど、私には……と考える人が多くありますわ。
 ですから、着て宣伝というのは、目立つというもの。注目を集めて、別のモノを売るという手段には使えますが、その物自体は売れません。
 あ、鎧とかそういうのは別ですわ、実際の防御力を見せたりすれば……と。

 ナイン様が男のような思考で物を見ていらっしゃるわ……」

 凄い、凄い視線を感じる、何と言うか……性的な視線と言うべきなのだろうか、自分に服を着せようと考えている彼女の視線と思考をそう表現する。
 この服は、扇情と言うよりも其方を目的に作られたのではないかと思うぐらいに、動きやすそうである。布面積が少ないのもあるが、絡みそうにも無いのだ。
 それでも、少女の鈍臭さは、素っ転んでしまうのであろうけれど。
 彼女の様な人が着て走り回るのはさぞかし格好いいのだろうと思う。

「ナイン様はそういう時間が本当に少なくて、いらっしゃいますからね……ええ。
 何時でもお話は受け付けておりますゆえに、お気軽にどうぞ?
 ふふ、大丈夫ですわ。見られているのは私、故に、ナイン様は気に為さらずにですわ。」

 ね?と言わんばかりに視線を外してウインクして見せる。
 きっと自分を見ている人は、軽く笑って居るのだろう、そう思わせるような、少女の言動、そして、見られても気にしないのがこの少女だとも。
 只々、このゆるりとした時間を汚せるものは、そうはいないですわ、と笑って、彼女に抱き着いてほおずりして見せる。

「伝え置いておきますわ、偶に周囲をうろちょろしますが、お許しくださいましね。

 娘は――そうですね、まだ、幼いのですわ。興味に全てを持って行かれているというべきでしょうか。
 素質とか以前の話だと思うのです、唯、遊んでいる、その遊びの形が―――肉体の鍛錬であり。
 武器を振り回しているという、そうですね、子供が木の棒を持って遊んでる形なのです。」

 人を守るとかそういう覚悟とか考え以前の話、少女は、遊んでるだけなのだ。
 だから、妹以上にこういう事は任せられないと少女は苦く笑うのだった、幼い子供の戦士ごっこ、それが一番しっくりくるとおもうのだ。
 そして、妹の武勇伝は、それだけではない、まあそれは本人に訊けば、愉しそうに語るだろう、本当に楽しいので。

「ふふ、でしたら……気合を入れておめかししてきますから。
 お友達の関係続けられないように、誘惑してしまいましょうか。」

 服をお互いに会食の時に着るというなら、全力でおしゃれしてしまおう、遣るなら全力で。
 だからこそ、少女は目を細め、艶やかに笑って見せる。
 人妻に、手を出すのも、貴族のたしなみと言う奴ですわよね?なんて。

 そう語りながら、進むのは、特殊な場所になろう。
 女性が男装をするのだ、それの専門の服屋というのがこの国の業の深さなのだろう。
 タキシードとか、如何かしら、燕尾服もいいわと、売り出しの服を眺め。

ナイン >  そういう発想は。矢張り、私には出て来ないから――な。…基本買う側、買わせる側だし…
 よしんばそうでなかったとしても。精々相手を煽って、出来る限り金を搾り取って遣ろう、そういう立場だもの。
 そうそう。私が今、他の貴族やらに売り付けるとしたら。それこそ、武器防具の類、になるだろうしな、ぁ。

 ――……リス。流石にそれは。少々心外なのだけど…な?

(むむ、と呻かされてしまった。己は偏に。彼女の魅力という物を愛でたいのと、それ以上に喧伝したいのと、なのだ。
気分的には女優の売り出しというのが、近いのかもしれない。
…後はほんの少しだけ。普段、此方が振り回される事が多いので。偶には意趣返しで、此方がリードを握りたいと。そんな部分も有る…かもしれない。
よもや男のよう、と迄称されてしまうとは思わず。半目気味に見返してしまおうか。

…己が、売る、というのは。寧ろ彼女のような商売としてではなく。
各々の辺境泊等に、政情不安を訴え、各個の自衛を促したり。官から軍へ、必要物資を提供する流れを作り、両者の啀み合いを緩和したり。と。
目的よりも手段としての傾向が強く。必然、武器防具等と言っても。現実の武具だけでなく、人員や兵站等も差す事だろう。
だから矢張り。こういう風に、己自身の為に誰かへと、贈り物を買うというのは。本当に、殆ど無い機会。
多少気合いが入りすぎて空回り加減になりそうな事も。仕方がないのだと目を瞑って欲しい。)

 全くだよ。…兎角悪い奴だらけの世の中だから、こちとら埋もれないよう必死に足掻かざるを得ないのさ。
 貴女と出来る位の悪巧みなら。精神衛生上宜しいから、本当気晴らしになると思うんだ。
 …ぁは、そんな事を言われたら。色々と見せ付けて遣りたくなる――かもしれないぞ?

(実際。此の先暫くは、それこそ護衛が必須となる程。殺伐とした世情となる筈なのだ。
…近々起こるであろう戦が。出来れば彼女等国を構築する民や。先日平安を語った王族のような者達へと波及しないよう。速やかに収束すれば良いのだが。
その為ならば己は、幾らでも、悪を任じられるという物だ。
さて。そんな己は、先程の彼女からの評価にのってしまえば。悪い男じみているという事になるのだろうか?
だったら、そう演じてやれとばかり。擦り寄せられる頬に、暫し眦を緩めた後。
彼女の顎先に指を宛がい、くいと此方を見上げさせ―― …身長に高低差を作らねばならないので。密かに、踵を羽化せざるを得ないのはご愛敬。)

 大丈夫さ、竜としての姿で飛び回られでもしない限り…それはそれで。大いに、示威的になりそうではあるけれど。
 そういう…物か。けれど、仕方がないというか、当然なんじゃぁないか?
 幾ら一気に年頃迄育ってしまうのだとしても。…心を形作るのは経験だ。逐一積み重ねていくしかない物なのだから。

(そう、子供は矢張り、子供なのだろうと思う。肉体と違い、記憶の蓄積や人格の形成は、時間が掛かる物である…筈故に。
そして彼女の末妹には。面を通す事となったら、亦色々話を聞きたがる筈だ。
姉達の事やら、だけでなく。文字通りの冒険譚も聞き及ぶ事となったら。さぞ、驚かされる事だろう。

言葉を交わし、時折、抱き付いたり抱き付かれたり、スキンシップを見せびらかしつつ。
有る意味そんな二人に則したかのような、仮装めいた品々が並ぶ界隈に辿り着く。
カジノに相応しいディーラースーツだの、矢張りシェンヤンめいた長い袍だの、様々な衣装が並ぶ中。
…彼女の選択に、口は出せなかった。己の方が手前勝手に即決したので。
逆に、彼女に対し不平や文句を付けてしまうと。どうにも、不平等になってしまうから。)

 …お手柔らかに、という位は言いたいけれど――ぁは。其処はお互い様だ。
 私も、負けない位に。貴女が浮気したくなる位に、格好を付けてやるとしようじゃないか。

(と、いう事で。後はもう、彼女が決定する迄。落札する迄。見守る事となる訳で。)