2020/04/19 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にナインさんが現れました。
ナイン > (元よりダイラスには別宅を構えているが。
それはどちらかと言えば交易の為、取引の為、等であり。
遊興の為の存在とも言って良いハイブラゼールには。差程脚を運んだ機会が無い。
…別に態々遠出した先でなくとも。王都で充分愉しめる、と。そんな風にも考えていた。

それが今回、足を踏み入れる事となったのは。先日来始まったオークションという物に惹かれたからに他ならなかった。
本来賭け事こそを主とすべき、このカジノにて。本命すら脇に押し遣る勢いで盛り上がる、異国の品々を取り扱う催しに。)

 ――ふ、む。それなら、折角だ。…彼方の格好の方が。良かったのかもな…?

(思い出したのは。此処暫く、王城の宴にて纏う事が多かった、シェンヤン物のドレス。
充分洒落ている割に、スリットの深さが動き易さを、人目を惹くことを約束するデザインは。今も割と気に入っている。
次は其方にする事を、内心で決定付けつつ――ゆるりと会場内を散策し。
己が惹かれるような品が無いかを、ざっと全体的に俯瞰する。

かの国の物。この国の物。数多の品々を手に入れんと声を上げる好事家達。
…危うい物、禁じられた物すらも。半ば公然と扱われているというのだから。出来れば、目を通してみたかった。)

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にリスさんが現れました。
リス > 港湾都市ダイラス、其処は、トゥルネソル商会の本拠がある街である、そして、其処の富豪のうち一人である、彼にも招待状ぐらいは来るものである。
 それをどうするか、に関しては当人が決めるべき物毎であり、結果、良い訓練だとばかりに、名代が呼び寄せられたのである。
 自分の店は、今別の人間が主として維持をし、後学のために、と少女はこの場所にやって来る事を命じられた。
 普段は着飾ることはあまり好まないが、場所も場所だ、あまり目立たぬようにと、黄色のカクテルドレスに、銀色のバレッタで金の髪の毛をまとめた少女。
 薄く紅を引いて少女はその会合へとやって来るのである。

 ―――ダイラスのカジノで行われているという、シェンヤン由来の品々を売り出されているという大オークション。

 買う買わないは別として、そういう商売方法を知るにはいい機会だと、こういう場所であれば売りても書いてもプロがそろう。
 普段はしない売り方、買い方を学ぶべく少女は、その中を歩いて見学をするのだ。
 様々なものが売られていて、様々な人が買う、そんな光景を横目に。

「―――あら。」

 其処に知己を見つけるのだ。
 最近特に親しい相手は、商売の相手ともいえる、友人とも言える女性で。
 普段の彼女から想像できない服装、シェンヤンの服装も又似合うのね、ときりっとしている様子の彼女がいたので。
 だからこそ、周囲の男が声をかける前に、声をかけてしまおうか。

「こんばんは、ナイン。
 何か、お探し物でも、有ります―――?」

 薄い紅は、桜色で、少女の唇に色艶を足しただけの控えめな化粧。
 めったにはしない物を見せるのは、少し気恥ずかしくも思いつつ、知己である彼女に歩みより、声をかけるのだ。

ナイン >  おや…?
 あぁそうか。貴女の地元だものな、当然といえば当然か――久しいな、リス。

(不意に掛けられた声に。驚かなかったと言えば嘘になるが…直に、納得も行ってしまうから。振り返り、片手でいらえてみせる頃には。平然と。
…知己たる彼女にとって。ダイラスはホームグラウンドだ。まして商売事に聡い、彼女やその親兄弟達が。こんな珍しい機会に、何もせずにいる訳が無い。
ともすれば必然めいてすら感じられる遭遇は。心強いと言えば心強く。此方からも歩を進めてするすると、彼女の直ぐ傍らに迄。)

 く、く。どうかな?
 寧ろこういう場所は…何か無いかをこそ、探して確かめる場所なんだろう?

(そう。取り立てて、目当てとなる物を。予め決めてきた訳ではない。珍しい物、目を惹く物…初見で、心が動かされるような物。そういう何かとの、出会いに期待するのが。オークションという物だろうから。
故に、例えばと。目の前、小さなシートの上に並んでいた、シェンヤン細工の瀟洒な煙管を手に取ってみせるのだが。
屋敷で飾っておく為には…少々、紫煙の臭いが染み着きすぎていた為に。微妙な顔で戻してしまう。
…見た目だけは良いのにと愚痴りながら、大袈裟に肩を竦めてみせようか。)

 ――此の国の貴重な品々が、売り捌かれてしまう、と。…そう危惧する者達も居るそうだけど。
 まぁ確かに、奪られては困る……のが。色々と有りそうだ。
 例えばうっかり、貴女が捕まって、外つ国に売られてしまいでもしたら。直ぐにでも開戦せねばならないな?

(実際。魔道機械絡みで失墜した貴族の、令嬢だの。恐らくは踏み入ってはいけない所で退けなかった女騎士だの。
そういった人間すら、大っぴらに取り扱われている。…此処は決して。公的な、安全な、開かれた場所とは良い辛いのだ。
勿論、実際そういうリスクも有ると。己も彼女も端から判っている筈なので。
冗談といえば冗談であり…後は。攫われてもおかしくないと。彼女の美姫っぷりを論ったのか。)

リス > 「ええ、ええ。私の実家は、このダイラスですもの。今の巣は―――マグ・メールですけれど。
 ――だからって、わざわざ王都迄呼び寄せる事は無いと思うのだけれど、ね……?」

 子煩悩なのよ、全く、とぷりぷり、と頬を膨らませ、腕を組んで少女は彼女に同意を求めて見せる。とは言えまだ、少女だし、学ぶ機会は重要なので、参加するにはするのだけれども。
 そういえば、彼女と初めて出会ったのは、このダイラス―――その時は、トゥルネソル商会の本店ではあったが、この地だったわね、なんて思い出すのだった。
 よくよく、ダイラスで縁のある事ね、と少女は笑みを浮かべて見せようか。

 しかし、彼女のその動きは良くないわ、と傍らに立つ友人の顔を見て少女はむ、と眉根を寄せる。

「いけませんわ、ナイン。こういう所は、購買欲を爆上げしてしまうものですから。ちゃんと予算と欲しい物と、必要な物、をしっかり決めておきませんと。
 散財ばかりして、あれと同じになってしまいますわ。」

 彼女は問題は無いと思えるのだけれども、商売というのもなかなかに魔境。悪意ある者が居れば、身包みはがされて、奴隷として売られる一団、それと同じ状況になるのだ。
 奇しくもそれは―――、シェンヤンの公主、確か、此方では王族と言うべきだったか、貴族だったか。
 そのぐらいの身分の者だったらしい、そう、売り手の言である。そういう相手を組み敷きたい好事家が高い値段を出して居るのが判る。

「まあ、予算の内で少し遊ぶ、位で良いと思いますわ。
 あと、必要と思う物でも、ちゃんと深呼吸をして、代替品でどうにかできるかどうかを考える。
 値段が決まっていないという事は、どんどんどんどん、高くなってしまうものですから。」

 売り手としては、値段が高くなればもうけも多くなるからいいが、買い手としては、自分の器が削られるのだと、少女は解説して見せる。
 値段が決まっていないというのは、怖いわ、と。正直に恐怖を吐露する。

「―――あは。売られているのは。『シェンヤン由来』の品物、ですわ。
 私なんぞ売られても、それこそ二束三文になるわけでもありませんし?買い手も付きませんわ。」

 裏では、そういう流れもあるというのは、耳にはするが―――公然と少女は頷くわけにはいかない、そんなことに手を出す気も起きない。
 なので、此処は知らないスタンスで行くのだ、知っているだけで、面倒になるという事もあるのだと。それが少女の処世術。
 あと、後半に関しては、半ば本気で、自分にが攫われて売られるほどの価値は無いと思うのだ。
 そもそも、攫ったら、ドラゴンが動く、戦争が起きる前に、暴走が起きる。

 攫う程度の賊が、ドラゴンの群れに対応できるだろうか、答えは闇の中に秘しておくことにするが。そういう事なのである。
 リスクに見合うリターンが無いと言えるだろう、と。
 因みに、本人、自分を美姫とは思ってない、これ重要。

ナイン >  我がグリューブルム家も、ダイラスとは古くから縁が有ってな。…とまぁ、それは置いておこうか。
 確かに、良く良く切っ掛けに恵まれる場所ではあるけれど。貴女との付き合いは、王都の方が色々と…本番なのだろうし。

(どうやら本家の旦那様とやらは。人間故…ではないのだろうが、彼女の言う通り子煩悩であるらしい。
頬を膨らます、年頃の少女に相応しい、と言っても良いだろう彼女のジェスチャーに。くく、と肩を震わせ笑いつつ。
家族の話だの。古巣の話だの。例え愚痴めいているとしても、懐かしさを含む話はどうしても。長くなりがちなのだから。まぁ、今は置いておいて、と。宥め半分。

其処から。流石は根っからの商売人という事か。己相手でも容赦のない駄目出しを繰り出され。思わず首を竦めてしまおうか。
…零落れ気味とはいえ貴族家だ、其処等の好事家等と比べれば余程、予算的にも恵まれているのだが。
だからといって、第一印象頼りの散財は。どうやら、彼女が許してくれそうにない。
思わぬ形で登場したお目付役は――なかなかに。手強そうだ。)

 ……ん、ん。それだとこう…何だ。出逢いに期待し辛いじゃないか。
 思わぬ物を見付けられるかもしれない、それが、オークションの醍醐味だというのに。
 ――まぁ確かに。あぁなるのは、避けたい所ではあるけれど。

(…必ずしも借金故、とは限らないのだろうが。仮に、彼女の指さした奴隷――つい最近迄は姫だの公主だのとして扱われていたのだろうそれ等と、同じ憂き目という物は。確かにぞっとしない。
そして、此処で売られ、王国にもシェンヤンにも流れていくのだろう奴隷の内訳は。帝国、王国、双方から。
彼女の指摘とは亦別の位置に。己の見知った、カルネテルの血を引く姫君すらもが。薄汚れ、散々使い尽くされた様子で並べられている事は。
…黙っておいた方が良いのだろうか。)

 ふふ。とはいえ売り買いに関しては、貴女が大いに先達だものな。ご忠告痛み入る、よ。
 …実際。目の色変えて、財布の底を忘れるような。何としてでも手に入れたい品物という物に――遭えるのかは。
 未だ未だ分からないからな…?

(今日売っていない品が、明日には並ぶかもしれない。逆に、今日みすみす見逃せば。二度と手に入らない品も有るだろう。
懐具合もさる事ながら。時の運という物についても、心配せねばならない筈だ。
結局、今手にしていた品に対しては、財布の紐を緩める事なく。再びゆるりと会場内を歩きだそうか。
…ちゃっかり。エスコートを気取るかの如く。彼女に掌を差し出し乍ら。)

 ―――― …だけ、ではないよ。だからこそ…王国の財を流出させたくないと。そういう意味で、金を惜しまない者達も来ているのだし。
 ……いや。まぁそうだな。貴女が言うなら、そういう事に。しておこうか。
 っくく、それなら、いざという時は。私が直ぐに、買い取る事が出来そう……だな?

(そう。現実問題として、本来販路になど乗る筈が無い、王国由来の貴重な品も。売られているのだ。…先程見掛けた姫君然り。
とはいえ、彼女が其処に関して、目を瞑るというのなら。今日の所は、そうしておいても良いだろう。
大方流出元の多くが、己とは違う意味で悪辣な…自国を誇らぬ愚昧な貴族等かもしれないと思えば。些か腹立たしくはあるのだが。
知らぬ侭で居れば、それで助かる人間が居るのなら。態々無理矢理教え込み、危うい所に片脚突っ込ませる必要はないだろう。
まして、相手が彼女であるのなら尚更だ。

…己も、己で。冗談半分の己の台詞が、万一実際に起こったのなら。
国と国どころか、人類とドラゴンとの絶望的な戦いになるのだという事に…気付かなかったのか。気付かないフリなのか。)

 まぁ何だ。…それじゃぁ、人的な……奴隷という品に関しては。
 それも此処ではなく、貴女の店から見繕わせて貰おうかな?近頃は人手も足りない事だし。

 …という事で。逆に訊くが、リス――貴女には。何か、お目当てという奴が有る…のかな。

リス > 「交友関係に関しては……どこでも本番ですわ?商売は何処でもできますし、ね?」

 出会ったらどこでも本気でお付き合いをお願いしますわ、なんてウインク一つぱちり、と送って、少女は笑った。
 愚痴みたいな言葉は、それは其れとして、という名の魔法の言葉で無かったことにしておこう、だって、愉しそうに笑うんですもの、私が恰好悪い事この上ない。
 なので、早々にこの話題は終わりにしたくなったのだ。宥められてるのも判ってしまったのは恥ずかしいし。
 という事で、地面に落ちた威厳とかそんな所のサムシングを取り戻すために、今日はナイン様のお目付け役を押し売ってみるのである。
 ちゃんと解説付きで、財布のひもをきゅっとします。させます。買わせません。

「出会いというのは、そうですわね、大事ですけれど、もっと大事な物は、自身の生活ですわ?
 それに……売っている人を良く見ていきませんと、かなりの確率で、偽物が紛れ込んでおりますし。
 偽物に大きくお金を払いたくも有りませんわ?」

 そうなのだ、少女は商売人と言う目利きの達人というだけではない、ドラゴンと言う種族でもある、竜は財宝を溜め込む性質がある。
 そして、竜が偽物をため込むという事は無い、種族的に財宝を見分ける目があるという事なのである。
 それが、本当の財宝なのか、偽物なのか、見ればわかるという何とも素敵な安全装置。商人として、半人前でも一人前以上に、目利きが出来るのだ。

 そして、少女は貴族では無く、貴族に知己は少ない。
 だからこそ、王家という雲上の人の事は知らず、王家の人間が売られているという事実は知らないのだ。
 皆が誤解するかもしれないが少女は、お金持ちだが貴族では無く、貴族に憬れは無い、個人的な友人などに対する感情しかないのだ。
 普通の町娘と同じ感覚なのだ。

 だからこそ、貴族の生活や、慣習などには、踏み込もうとはしない。
 目の前の友人が、その世界に引き込もうとするなら、話は別になるのだろうけれど。

「ん――。その際に関しては、私はスルーしましょう?
 ナインが本当に欲しいと言う物を止める権利はありませんもの。ただ、忠告と警告位はしておきますわ。」

 それでなお、欲しいというのならそれは、彼女の責任の上で手に入れてくださいましね、と。忠告警告聞かないなら、その後は保証しかねますわ、とも。
 聡明な彼女はそうはしない、と思うのだけれど、意地悪く行ってみるのだ。
 そして、差し出される手に少女は手を伸ばして、彼女の掌において、優しく握るのだ。これで良いのだろうか、と視線は彼女の目を見て。お姫様の動きなんて、判らないし。

「そーゆー、危険な事は、聞きたくありませーん。悪い所とか、悪い人とか、関わってる気配がプンプンするのは寄りたくないわ。

 あら、買って下さるのなら、大事にしてくださいましね?」

 意地悪とか、酷い目は嫌ですわ、と、軽口には軽く返す少女、本人はそんな絶望的な事にまで思考が行かない。
 基本的にそういう面は、母親とか家令長とか、妹とかの役割なのだから。
 怖い人来たら、すぐ泣きます。

「あは、ありがとうございます。では、その際は、ご連絡を。ご要望に合う子をしっかりとお探ししますわ。
 え、私はお目当てというよりも。
 売ってる方々の語りを聞きたくて、どのように言えば買いたくなるのか、とか。そっちが目的でしたわ。」

 調度品には興味ないし、武器防具はええ、売り物でしかないし。
 シェンヤン風の服とか、スーツとか、欲しければ買いに行くし、むしろ、オーダーするので。
 確かに、品物は気にしてませんね、と、視線を売り物が置いてある場所に視線を向けるのだ。

 ちょうど今は、指輪が売られている。
 大きめのサファイアが嵌められている指輪で、それなりに価値のありそうなものなのが、判る。

ナイン >  ふふ。では、商売以外での付き合いは――と。改めて強調しておこうか。
 そういう個人的な付き合いも、貴女とは、大事にしていきたいものだし。

(だからこそ、先日も。某貴族邸で再会した際。二人で悪企み、などと称して。まんまと脱走したのだし。
…ついでを言えば。これで商売絡みの付き合いばかりが、優先されてしまうとなると。己はどうやっても、彼女に頭が上がらなくなってしまうではないか。
愚痴に関しては、少しばかりやり込めた気もするのだが。下手をすると、今日は初戦以外全て完敗――という事になりかねない。
従って己の方も。調子に乗って下手な追撃を決め込む事はせず。一旦、立て直しを図るのだ。
そうして二人。喧噪に満ちる会場内を歩きつつ。)

 一目惚れ――という奴は。必ずしも、人と人との間でだけ、起きる物ではない…なんぞと言ったら。少々夢見がちすぎるかな。
 …ま、其処迄過剰な期待はしていないさ。私としては、そうだな……シェンヤン渡来で、丁度良い飾り物だとか。そういうのを探そうか。
 彼方のドレスと合わせられる小物、等というのも。良いかもしれない。

 ――――っはん。物の目利きは、私に出来る筈もないけれど。…こういう時に於ける人の善し悪しは、判る気でいるよ。
 いや、正確に言うのなら。……何奴も此奴も腹に一物抱えている訳だから。黒さの度合いが知れる…と言うべきかもな?

(何とも厳しいお目付役を前に。…やむなく。ある程度妥協する事とした。
今日の所は、それこそ無難な。…彼女を危険に巻き込む事の無いような。ジャンルの品物を探そうかと。

それから。真贋に対する目利きに関しては、存分に専門家を頼る事とするが。
物ではなく、其れを取り扱う人を見るというのなら。負ける気は無い、そう自負しておくか。
彼女が商売を知り尽くしているのと同じ程に。己は、王侯貴族の権謀詐術に慣れ親しんでいる。
誰も彼もが一枚も二枚を裏を抱え策を有して、その上に笑顔を貼り付けるかのような王城務め。

だからこそ。売り手がどの程度、良からぬ事を企んでいるのか。何処迄、後ろ暗い連中か位は見て取れる。
その上で。決して荒事とは縁のないであろう彼女が、危うい輩の前に立つ事が無いように。己が気を払わねばならないか、と。
何か起きても、ドラゴンが居るから大丈夫…ではなく。そもそも、何事も起こさない事が。肝要なのだ。屹度。)

 其処は、そうだな――どうせなら。
 『私がもっとお気に召す物を用立ててみせますわ』…だとか?そういう風に止めてくれても良いのだけれど。

 …お、っと。其処に関しては。私自身がそもそも、悪徳貴族という奴なのだと。散々言ってきただろう?
 こうして貴女を捕らえたのなら…離さない為に。私の物にする為に。どんな手段を使ってみせるやら――

(取り敢えず。欲しい物は、これから探すとしても。
今手の内に在る、彼女の掌。それを余所様に売り捌かれてしまうのは、確かに真っ平だ。
従って。意地悪な台詞を、その侭言い返すかのような軽口ではあるが…それと同時に。彼女にではなく周囲へと、聞かせる言葉。

己は、手段を問わない悪なのだぞと。更なる悪意を以て、お前達の悪意を躙り潰せるのだぞと。
…だから、己の物には手を出すな、と。

怖い人には、そうやって。より怖い思いを焚き付けておき乍ら。
表面上はいっそ、少女二人のウィンドゥショッピングじみて。幾つか、小分けとなった売り場を巡り。
直に今度は。…どちらの国かと問われれば、東西問わずに品を並べる、宝飾品の目立つ場所に立ち。)

 是非ともお願いしたいものだね。…貴女の下から余所に売られた奴隷というのに、出会ったのだけど。
 なかなか良い子だったから。其方の品質にも、期待しているんだよ。

 ――おやおや。其奴は商売の秘訣、という奴だろう?早々簡単にバラしてくれるとは思えないけれど――

(それを上手い事聞き出すのが。彼女の、腕の見せ所という事になるのだろうか。
口八丁で騙し騙しは、政争に於いても重要だ。彼女の口がどれだけ立つのか。是非とも参考にさせて貰おうか、など思いつつ。
己の方は。オーダーするなら彼女にであろうし、それ以外だからこそ、此処に居る訳で。
…この指輪は、王国、帝国、どちらの衣装に合わせ易いか。そんな風に思案し乍ら矯めつ眇めつ。)