2019/07/15 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > ハイブラゼールに数ある、様々な娯楽の複合施設。
その中でも屈指の規模を誇るそこは、小雨降る今日も今日とて朝から晩まで大量の人が流れ込み、またひそかに吐き出されてもいる。
施設内にはカジノに加えて、ちょっとしたスポーツまがいのゲーム場、レストランなんて健全なものから、明らかに娼婦がうろつく、紫煙に包まれた謎の部屋の数々まで。
恐らく通じれば通じるほど、ここで満たされない欲望などはないのだろう…
カジノがある広大な部屋は、季節のせいもあるのか熱気渦巻いて、高い天井へとけぶるのは紫煙のほかにも混ざって居そう。
耳をつんざくでもない喧噪がわんわんと空間を満たし、所々の明りもぼわんとぼやけて、酒のにおいに何かの香のにおい。
まるで……
「……夢、ッてェか…アブない薬やったときの光景みたい」
部屋の中、いくつか浮島のようにある酒場のカウンターに背を預けた女が、辺りを眺めながらぽつりとつぶやく。
辺りの喧噪に紛れて、誰の耳にも届かなかっただろうが…
■ホアジャオ > 外での喧嘩相手確保を諦めて(雨だし)、カジノの用心棒でもひっかけてやろうと潜り込んだ。
しかしこれだけの規模になると、流石に向こうもプロの用心棒らしく、ちょっとちょっかい掛けただけでは鼻にも引っかけてもらえない。
とうとうふて腐れて、一杯酒でも流し込んで、気を取り直そうとしている所。
「――ン?あァ、ありがと」
カウンターの向こうからバーテンダーがグラスを押し出してきて、入れ替わりにコインを滑らせて受け取る。
そうしてまた、カウンターに背を預けて、一口。
「………」
美味しい、とかいう溜息ではなく、単に不満そうな吐息と共に口を尖らせた。
■ホアジャオ > グラスに口を付けながら、行き交う人々をその細い目で追う。
――嗚呼、どこかに骨のありそうな奴はいないものか…
付く溜息はおおよそ色っぽい理由ではないが、哀愁めいたものが混じる。
傍目には、『悩ましい』と形容できない事も無いかもしれない。
(普通の)賭け事で盛り上がるタイプではないし、こうなると煙草くさくなった分だけ損な気がする。
■ホアジャオ > ―――ふと、遠くでガシャンと硬質な音。同時に巻き起こる怒号と悲鳴。
思わず視線をそちらへ放りながら、辺りを視界の端で捉える。
辺りに紛れていたらしい、用心棒らしき屈強な身体つきの者が数人、人ごみを器用に縫ってそちらへと動く。
辺りの客は――――
大したもので、殆どの人間が脇目も振らず、自分の今取りかかっている遊戯に夢中だ。
ほどなく、悲鳴も怒号も止み――騒がしかった場所に多少のどよめきを残して、元の喧噪に戻っていく。
(――ちょっと、近寄ってみればよかったかなァ…)
そんな事を思いながらグラスにまた紅い唇をつけ、薄い琥珀色の酒を飲み干した。