2019/03/11 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 欲望と背徳の都。ハイブラゼール。
不夜城の如く煌めく此の場所が、今宵は一際大きな熱量に浮かされていた。
理由は至極簡単。気紛れに訪れた大貴族が、実に不可解な、そして目の眩む様な金の使い方をしているから。
「……私の勝ちだな。では約束通り、貴様の賭けた物を置いて行け」
少女と見紛うような貴族の座るテーブルには、山と積まれたカジノのチップ。そしてその脇には、硬貨の詰まった革袋、武具、権利書、何だか良く分からない魔道具等々。
【自分に取って尤も価値のある物を賭けた賭博を行いたい】と告げた己の為に急遽用意された賭けの席。勝てばテーブルのチップは総取り。負ければ賭けた物を失う単純なゲーム。
しかし此方は未だに無敗。欲望に目が眩んだ挑戦者達は、身包み剥がされるとまではいかないまでも、様々な物を失って去っていく。
といっても、別に己が賭け事に強い訳では無い。渇望を増幅させる魔術と、カジノ側の協力を得たイカサマ。
本当に覚悟を決めた者であれば純粋に勝負するつもりであったが、目の前の財貨に目が眩んだ者からは容赦なく毟り取る。
そして今のところ、己にとってはガラクタでしかない――賭けた者達にとっては命より大事なものであっても――ばかり集まり、小さく溜息を吐き出して洋酒の入ったグラスを傾けた。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にダグラスさんが現れました。
■ダグラス > 久しぶりに港へ戻り、酒でも煽ろうかと思っていたところに情報筋から面白い話を耳にする。
聞けばハイブラゼールにて変わった賭博が展開されており、今のところ主催者が全戦全勝であるというのだ。
そんな面白そうな催しを逃す手はないとハイブラゼールを訪れれば賭けの中央にて展開されるテーブルに近づき。
主催者の顔でも拝んでやろうと覗き込めば以前、砦で出会った少年貴族であると判明し。
「ほぉ、また豪快な遊びをやっているものだ」
小さくつぶやいた後周囲の顔見知りを捕まえてルールを確認していれば、今また一人の挑戦者が破れて肩を落として立ち去っていき。
司会が次の挑戦者を呼びかければ人の壁を割ってテーブルへ進んでいき。
「久しぶりだな、ギュンター殿。
随分派手な遊びをしているみたいじゃないか?俺も参加させてもらえるかな?」
テーブルに肘を置き、身を乗り出して相手に尋ね。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 熱気と欲望で濁った人込みを割る様に現れたのは、以前砦で出会った傭兵。
彼の様な傭兵と再会するのに、ある意味で相応しい場所ではあるので驚きはない。少しばかり意外そうな表情を浮かべはするかも知れないが。
「…おや、久しいなダグラス。元気そうで何よりだ。重畳重畳。
……ふむ。参加するのは構わないが、それには掛金を決めて貰わねばな。此方は、このテーブルのチップ全て。貴様は、この金に見合った何を賭けられる?」
高慢な口調ではあるが、幾分肩の力を抜いて彼に軽く手を上げて挨拶を返す。
しかし、身を乗り出して勝負に乗ると告げた彼には、幾分面白そうなものを見たと言わんばかりの表情を浮かべると、同意する様に頷いた後僅かに首を傾げた。
己が求めるのは、財貨を得る為に己を投げ打つ程の覚悟を持つ者。傭兵としての戦歴を十二分に持つ彼が、金の為に賭け得るものはなんだろうかと興味津々といった瞳で見返している。
■ダグラス > 「……ん、そうだな。
あんたには俺が出せる金や物なんて興味はないだろう」
相手の指し示すチップをちらりと目にする、ここまで勝ってきた成果もあるのだろうが相当な金額になる事は間違いないだろう。
しかしそれだけでさほど興味はないとばかりに相手の目に視線を合わせ。
少し逡巡した後にニヤッと獰猛な笑みを浮かべ。
「では、俺からは海賊として最も大事なもの。
自由を売り渡そうじゃないか。」
そういえば腰に差していた斧をテーブルの上に置く。
周囲からは予想外の賭けに多少なりともざわめきが起こるだろうか
「そっちが勝てば俺はお前の物だ。
兵士として使うも、この首を懸賞金に替えるも好きにすればいい。
言っておくが俺の自由はそんなはしたチップで買えるもんじゃないそ?」
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 男の言葉に僅かに眉を動かす。
獰猛な笑みを浮かべる彼の瞳を見据えた後、クツクツと笑みを零すだろう。
「…成程。歴戦の戦士。悪名高い海賊を手中に収められるとなれば、是に勝るものは無かろうな」
愉快そうに笑いながら彼の言葉に頷いた。
「だろうな。此処に積まれたチップ程度で、私も貴様を得る為のものになるとは思っておらぬよ。報酬に何を望む。船か。爵位か。より膨大な金か?」
王都に家が建つ程のチップの山も、彼の言葉通り此方が賭けるチップとしては不足だろう。
彼の欲望を煽る様に、チップの山に手を置きながら首を傾げた。
■ダグラス > 「あんたにそういってもらえるとは光栄だな」
以前の出会いの時に、相手がただの貴族のボンボンではないことはわかっている。
自分が認める相手から褒められれば素直に嬉しそうに笑みを浮かべ。
「そうだな、では一晩あんたと語り合う権利はどうだ?」
相手から追加の報酬を問われれば迷うことなく答える。
自分の色狂いを知っているほかの観客からは苦笑がこぼれたり煽る声が響き。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「……ふむ?」
彼の言葉に、不思議そうな顔をして首を傾げたまま疑問符を浮かべる。
その表情は、周囲の客の零す苦笑や煽る声に理解の色を浮かべ、己の紅い瞳が僅かに細められる。
「…用兵や金融、政治論について語り合いたいというならば、私の時間を賭けてやっても良い。しかし、他意があるというのなら、欲望に忠実過ぎるのも考え物かと思うがね」
優秀な傭兵であり、用兵家でもある彼と純粋に語り合うというだけならば、己の貴重な時間を賭け金にしても良い。
しかして、男がその言葉に他意を含んでいるというのなら――その真意を確かめる様に、瞳を細めたまま日に焼けた彼の顔を見据えているだろう。
■ダグラス > 「どうだろうな、少なくともあんたとは一度ゆっくり話がしたいと思っていたんだ。
なんだったらそこにあるチップすべて棄てたってかまわねぇぜ。
なんたって欲望に忠実に生きるのが俺の在り方だからな」
テーブルに乗せた手に顎を乗せて、相手の様子を窺うように目つきを鋭くして。
「だが、警告しとくぜ。
あんたがこの店にどういった手回しをしたのかは知らねぇが。
そっちが金と権力ではばを利かせるように、俺たちは恐怖と実力で成り上がってきたんだ。
この街の海運で商売を順調にしたいなら、男らしくまっとうに勝負をかけてこい」
賭博は親が勝つようにできているとはいえ、流石にここまで全戦となれば何か仕組んでいるとは想像もつく。
相手にこちらの言葉が届くかはわからないが、それでも一応の脅しはかけておく。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「……成程。まあ、それならば構うまい。とはいえ、王族の時間を賭けるのだ。積まれただけの金貨などとは、求めるチップの価値が違う事を肝に銘じる事だ」
何にせよ、語らう時間を持つだけならば構わない。
フン、と高慢に頷いた後、目つきを鋭くした男に笑みを浮かべる。
「金に溺れた者共を選別していただけだ。貴様が貴様自身を賭けるというのならば、詰まらぬ手など使わぬさ。それに――」
イカサマなどしない、と明言した後、鋭い目つきを浮かべる猛禽類の様な男に浮かべたのは、社交的な、しかし狡猾な貴族の笑み。
「暴力も恐怖も、所詮は資本を得る為の道具。その資本を統括する私に、我々に、下らぬ脅しはかけぬ事だ。心配せずとも、真剣な相手には対等な勝負を挑むとも」