2018/05/22 のログ
ご案内:「“ハイブラゼール” カジノ」に紅月/アカツキさんが現れました。
紅月/アカツキ > ーーーがやがや、ざわざわ。

とあるカジノにて…真っ赤なドレスに身を包み高笑いする御令嬢の傍ら、その男は静かに立っている。
紫の瞳を伏せ、ただ、静かに。
派手な配色で面まで着けた目立つ風貌で其所に確かに在るのに、気配が異様に薄い其れはひょっとしたら精巧な人形にも見えるだろうか…だがしかし、それはたまに瞬きをしている様である。

事のいきさつは、こうだ。
いつものようにふらりと冒険者のギルドに立ち寄り、ついでに受付嬢に混じり依頼書の整頓を手伝ってやり…それも終えてお茶を飲みながら一服して居れば。
ガシィッ…肩を思いっきり掴まれた。
危うく盛大に茶を噴くところであったが根性で堪え、振り向く…本日の依頼人である御令嬢が其所にいた。

曰く、彼女は赤が好き。
曰く、カジノで遊ぶために護衛を探している。
曰く、赤毛で強い冒険者がいないか冗談半分で訊いたら受付嬢が指した先に居た。

………ちょいと、お姉さん?
思わず受付のカウンターを見れば、皆が皆目を逸らす…犯人はお姉さんではなく、お姉さん『達』だったらしい。

まぁ、御貴族様の依頼は受けておかないと面倒なのだろうと察しはつくから、責める気はないのだが…ハァ、と溜め息をつき依頼を受諾した。

此処に来る事になったのはいいのだが…どうやらこの令嬢、俺に燕尾服を着せて連れ歩きたくなったそうで。
呈示してきた燕尾が何だかゴシック衣装のようなハデさであれば柔らかく辞退して…どうせ目立つならまだ面でも被って顔を隠したい、と言えば、本当に面をプレゼントされてしまった。
謎の護衛『赤梟』爆誕の瞬間である。

…そうして、今此処に在るわけだが。
件の御嬢様が、大勝ちしている。
男を侍らせながらの高笑い、個人的には良い趣味とは…全く、思えないが。
フゥ、と気付かれぬ様に溜め息をつく。

紅月/アカツキ > 好ましかろうが好ましく無かろうが、仕事は仕事…ただただ、静かに其処に侍る。
時折下心の透けた男が近付く度に、ぐるりとそちらに首を向け牽制しつつに。

給金先払いの上に、質のよい執事燕尾フルセットと梟面もオマケに貰ってしまっている…その分はキチンと働かねばなるまい。

…しかし、それは突如終わる。

どうやら御令嬢は夜遊びついでに火遊びもする気のようで、
『まだ居たの?もう帰っていいわよ。』
等と、アッサリ言われてしまった。

…やれやれ、である。
依頼人だった御令嬢に一礼し、ひとまずは壁際に避難する。
無駄に疲れたぞ、全く…

「とりあえず、あの御令嬢がフロア内にいる間は見るだけ見ておくか…」

後で文句言われても敵わんし、暇だし。

紅月/アカツキ > 意気揚々と帰っていく御令嬢…やれやれ、やっと仕事も終いだ。
よっこらせーっと壁から背を離す。

カジノ内で自由自由時間になった男は、そのままフラフラと様々なゲームを観察し出す。
カジノ未経験者である男にとっては、どれも興味を惹かれる遊びである。

まずはスロット…カジノ定番の其れではあるが、当たる台と当たらない台があるというのはよくある噂で。
何となく目をひいた紳士然とした男性の後ろに立ち、眺める。

ふむ、コインを入れる枚数で賭け方を調整するのか…で、レバーを引くと。
…あっ当たった。
ふぅん、7のゾロ目がいいのか…チンチロリンのピンゾロみたいだな。

とりあえず1動作観察した為、他のゲームを見に行く。
次はカードでも見ようか。

紅月/アカツキ > む、確かこれはブラックジャックとか言ってたか?
手持ち2枚からスタートし、合計数字が21に近い方が勝ちとなる…先の依頼人が得意げに説明していたのを思い出す。
2~10はそのまま、JQKは10として数えられ…Aは1・11のどちらで数えてもよい、と。

今度は青いドレスの貴婦人の後ろにて、のんびり眺める。
クラブのQとダイヤの1…ブラックジャックで2,5倍貰い、勝ちか。
ずいぶん景気のいい事だ。

またその場を離れる…ん、こっちはポーカーか。
ポーカーも説明は聞いていたのだが、ルールを覚えるのが面倒になって聞き流したんだよな。

雰囲気から平民だろうか、男性の後ろから眺める。
ふむ、ストレートフラッシュ、というのかそれは。
それはフォーオブアカインド?4まいゾロ目、ほう。
…勝っている。
何だか目の前の男が勝利の喜びに咽び泣きそうな表情になっていく…カジノの醍醐味ってヤツなんだろうか、よくわからんなぁ。
コテリと首を傾げて、そこを離れる。

紅月/アカツキ > 他にも、参加者が賽子を振るクラップス、くるくる~っとパネルを回すマネーホイール…マネーホイールはディーラーの腕で微調整出来るのだと聞いた事があるな。

…一通り、見終えてしまったなぁ。
BARにでも行くかねぇ。

さて、癒しのアルコールタイムとしよう…各地の大フィーバーの熱気で誰も見ていないのを見計らって、ようやっとマスクを外す。

「…あー、顔に跡ついてなけりゃあいいんだが、な」

マスクを仕舞って、タイ代わりの黒いリボンで髪を緩く結ぶ。
BARに入ると、とりあえずカウンターへ。

「何がいいか…あ、じゃあレッドバードを。
……はー、やれやれ…今から帰るのも面倒だ、いっそ飲み明かしてやろうかな」

ぼんやり、物憂げに片肘をつき頬杖…バーテンダーの後ろのボトル達を眺める。

紅月/アカツキ > レッドバードはブラッディ・マリーの親戚みたいなカクテルだったな、確か。
トマトジュース使ってるから二日酔い対策に…なぁんて。

ちびちびと、カジノホールを眺めながら飲む。
野菜のジュース飲むと野菜とった気になるのは、何でだろうな。
拝啓、教育係の紫様…貴女のしじみ汁が恋しいです。

カジノホールは大パニック…スタッフが駆けずり回っている。
賞金の手配たいへんそうだなぁ…他人事故、実に気楽である。

紅月/アカツキ > 「ん、酒切れた…
じゃあ…あぁ、ベルベットキスでいいか」

ベルベットキスは生クリーム入りの甘いカクテルである。
バナナリキュールにパインジュース、グレナデンシロップ…女子向けな甘いカクテルを笑顔で普通に注文する男らしさ、という矛盾。

…横の、客席から視線を感じるけれど気にしない。
飲みたいモン飲んで何が悪い。

カクテルを受け取り、またカジノホールを眺め…あくびを噛み殺す。
あぁ、さっきの平民男性の幸せそうな顔といったら…笑顔でご帰宅らしい。
善きかな善きかな。

誰かが報われる瞬間というのは、実にいい。
ダイラスドリームとか言うんだっけか、一発当てるのは。
…いやぁ、イイモン見た。

紅月/アカツキ > 「ターニング・ポイントで」

一発当てた人見てたら飲みたくなった。
ナッツリキュールであるカハナに、生クリーム…クリーム被りだけど、いいか。

クスクスと笑う…いい感じに酒も入って楽しくなってきた。
このテンションでの一人酒ならオーガズム辺りを頼むのもいいかもしれないな…クリームリキュール、コーヒーリキュール、アマレットにバニラアイスの甘党を極めたようなカクテルだ。
名前が遊び心ありすぎて、シラフで頼むのには勇気がいるが。

…うむ、やるせない気分とのサヨウナラ、大成功である。

「ふふっ、次を最後に出るとしますか…ま、不夜城だし、宿くらい空いてるだろ」

…その日の彼のラストオーダーは何だったのか、それを知るのはバーテンダーのみ。

ご案内:「“ハイブラゼール” カジノ」から紅月/アカツキさんが去りました。