2018/03/30 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”酒場」にシシィさんが現れました。
シシィ > 不夜城がこれから目覚めようとしている時間。小さな舞台を擁する酒場は、この施設の中にいくつかあるタイプのものだ。昼間は流しの吟遊詩人や歌うたい、あるいは旅芸人がその腕を披露する場にも使われるが、夜はもっぱら踊り子兼娼婦でもある女たちによるダンスがメイン。丁度その切り替わりの微妙な時間に身を滑り込ませるのは商いを生業にする娘だ。
この酒場を切り盛りする店主に言付かっていた品物を収めたついでに休憩がてら席を温めている。
舞台も今は入れ替わりの時間帯、魔力を込めた煌びやかな演出用の照明が照らす舞台も今は空っぽで、どこか寂しさを齎すが──あるいは静かでいいのかもしれないと、そんなことを考える

シシィ > 「眠らない夜の時間が始まる前ってとこなの、かなあ…?」

とりあえず収めた品物──客に出すための簡素な素焼きのカップから、職人仕事の水晶削り出しのグラスやデキャンタ等、店で使う消耗品を収めた後なので身軽だ。本格的な営業の始まるこの時間くらいなら、己の様に単価の低い客がいてもそう邪険にはされないだろう。小さなグラスに次いでもらった果実酒を舐めつつ、舞台以外の照明は意図的に暗く抑えられている店内の様子を窺った。
街全体が娯楽施設だけあってこの酒場も営業時間外というわけではないが、ただまあその本来の意味を鑑みると客の入りは少ないのだろう。ちょっとした軽食も頼めるし、この時間帯ならば商談に向くかな、とのんびり思考を巡らせる。
もっと夜が深まれば喧騒と、婀娜な声に客人がそちらに意識をとられてしまいそうではあったが、まあそれはそれで話がしやすくなるのならば問題はない。
己が腰かけているのはカウンターのスツール。少し高い席にプラ、とつま先を揺らし、こめかみから耳裏に手櫛を通して手慰みに髪を弄ぶ。暇を持て余しているわけではないが、まあ偶にはこういう時間も悪くはないといえる。少なくとも昔はこんなふうにゆったりとする時間ももてなかったのだから何処かくすぐったくもあった

シシィ > 酒精はまだ飲み慣れないな、と思いつつも、その味を学ぶためとして、軽めのものを給仕に頼んで少しづつ飲んでいる。飲んでいる、というよりは舐める程度の量でしかないから、いつまでたっても慣れることはないのかもしれないが、それでもすでに何度かそうした経験は積んでいるから味の違いくらいは分かるようになってきた。
素直に果汁を飲んでいる方が己の口には合う、という結論が変わらないのは少し悲しいところだったが

「ふー…ああ、でも素焼きよりは水晶や硝子のほうが美味しいっていうのは分かる気がする、かも…?」

それでも入手の容易さや値段から鑑みれば素焼きや木を薄く削ったものの方が主流だ。それでもこの透明な器の涼やかさは酒精を美味しそうに見せてくれる。ある程度の階級になるとこちらを好むものが多い、というのも納得ができる話だった

シシィ > 「んー、今回はまあ仲介だったけど、ううん…」

酒精でほんのり熱くなった頬を両手で押さえつつ、考える。独り言はこの場所ならば誰に聞きとがめられても大して記憶には残らないだろう。

今回はこの街の職人とのやり取りだったが、玻璃や硝子細工は持ち運ぶのに難がありそうだ。それを保護するための容器を用意するのもいいが、嵩張る。そういった不便を解消する術もやはりその分費用がかさむだろう。
望まれるものを望まれる場所に届ける難しさに一つ唸る。けれどそうやってとめどなく思考することは嫌いではないから好き好んで悩んでいる、という奴だろうか。
だれも──酒場の給仕以外は己の百面相など気にも留めないだろうし、と素直にそれを表情で示す

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”酒場」にイーヴィアさんが現れました。
イーヴィア > (ハイブラゼールの警備兵、其の一団から入った注文を受ける為
此方から出向いて、其の詳細を話し込んだのが先刻までの話。
いつも、此処へ訪れる時には日程に余裕を持つ為に
王都への出発は明後日以降、今宵と明日は、まだこの場へと滞在する予定
故に、こう言う時位は少しばかり好きに酒を飲むのも悪くは無いものだ…と
そんな理由で酒場へと訪れたのだが。)

………ん?

(ふと、酒場の隅に見かけた女の姿。
其の姿に、何処か既視感を覚えては、少しばかり逡巡し。
それから、嗚呼、とひとつばかり思い至っては、其方へと歩みを進めようか
――何時だったか、細工物の部品や材料を手に入れる為に、調達を頼んだ覚え。
とは言え、向こうが其れを覚えているかは判らない、が。)

――――……よう、こんな所で夕食かい?

(掛ける声音は軽い調子。
考え込んでいる相手を、少々驚かせるやも知れないが)。

シシィ > 多少酒精が入っているとはいえ、周囲の様子が分からないほど没頭する性質ではなかったが──

「…えっ」

気安くかけられた声音に一瞬びくりと背筋が伸びた。
旅暮らしなものだからあまり知り合いは多くはない。けれどかけられた声音は己に向けられたもの。振り仰ぐ視線に戸惑いが混ざりつつも、その特徴的な巨躯と髪の色合いはなかなか忘れられるものでもなかった

「…ぁあ、えーと鍛冶師の…えっと、イーヴィア様!」

けれど名前は一瞬出てこなくて、そう声を上げてから記憶がついてきた。ただ、彼の工房はこちらではなく王都だったと記憶していたからその引き出しがなかなか開かなかったともいえたが

「はい、こちらに今日は雑貨を納品しましたので、その終わりの休憩ってところですね」

柔らかく応じ、其方はお変わりないですか、と言葉を継いだ

イーヴィア > (一瞬、驚いたかに伸び上がった背筋を見れば、くつくつと笑い声。
片掌を掲げて見せれば、程なくして紡がれた己の名前に、覚えてたかと頷いて肯定した。
己としても、店に来た客人や、取引相手の顔は早々に忘れない。
特に彼女の場合は王都の民とはまた違う、独特な容姿と雰囲気でもあるのだから。)

其の通り。 忘れられてたかと心配だったが、まぁ、仕事したのは一度だからな。
休憩か、この時間だと、今日の納品はもう終わりってトコか?

(御互いに仕事だったか、と納得しながら、一度酒場を見渡す。
歩いていた従業員へと声を掛ければ、酒瓶ごと一本を注文して置き。
其れから、再び相手へと視線戻せば、隣の席の椅子を引いて。)

こっちは相変わらずさ、大繁盛、とまでは行かなくても客足には恵まれてるね。
態々遠くから注文が入る位だ、在り難いことだよ。

(今宵、此処へ訪れていた理由を説明した後で
彼女へと相席を問うてみては、もし許可が出るなら、椅子へと腰掛けようか)。

シシィ > 「───…」

不意を突かれたときの反応をみられたバツの悪さに、酒精だけではない熱が頬に上る。己の答えが間違っていなかったことを相手の首肯によって知ると少しだけほっとしたように目元を緩めた。記憶力は悪い方ではないが、旅から旅の忙しい最中ではごく個人的な…名前などは忘れやすかったりもする

「いやあ、まさか…、ええ、そうですね、今日の仕事は終わりです。丁度狭間の時間で下から邪魔にもならないかなと思って此方で一服」

相手の言葉に頷き、相席を問う言葉にはそのまま掌を表にしてどうぞ、と意思表示を見せた。
遠方よりの注文、という言葉には頷いた。
軽く言葉を交わしているうちに給仕がボトルをサーブする。それを見るともなしに眺めながら

「私もそろそろ王都に向かおうと思っていたところでしたね。イーヴィア様は何か不足なものはありますか?」

近況を報告する中でも相手は商談相手だという事を忘れない言葉を添えつつ、己のグラスを手に取った

イーヴィア > (着席すれば、程なくして給仕が訪れる。
用意される酒瓶へと一度視線落としてから、また隣へ視線傾ければ
既に少々酒精入りの…褐色の肌が、僅か色づくかに頬を染める様子を眺めた
記憶については、きっと店を構える己と、旅が常の彼女との違いだろう。)

そうか、こっちも話し合いは今日で終わりでね、今夜と明日、少しゆっくりしてから王都に戻る心算さ。
不足…不足か、そうだな。 嗚呼、そういや、この間店で使ってた硝子の容器が壊れてなぁ…。

(グラスへと注がれた酒精を手にしながら、ふと考える事。
――少し前に、店の中で客が暴れた事が在ったのだが、その際に展示用の容器が壊れたのだ
小物を保管する為の代物で、決して大きいモノではなく、精々両掌サイズでは在るが
形とわず、そう行った物は用意出来たりするものか、と問うて見よう。
軽く、グラスを掲げてから、己もまた酒精を咽頭へと流し込み。)

やれやれ…しかし、そうか。 どうせ王都に戻るなら、共連れでもするか?
っても、こっちは少しだけ骨休め、だけどな。 よけりゃ、其の方が帰り道に華が在って良い。

(相手が、何時此方を出発するのか次第、でも在るだろうが。
ふと、そんな問いを向けて見るだろうか。 華がある、なんて紡ぐ時には
戯言めいて、軽く其の顔を覗き込むようにしながら、ふふんと笑い)。

シシィ > 見るともなしに眺めていた酒瓶。あの量を飲めるのか、と半ば感心めいた思いを抱きつつ、己の手にした小さなグラスを揺らした。

「硝子、ですかー…」

今日は壊れ物に縁があるな、と覆いながら反芻する。問いかけに対してできない、とは言いたくないのが商人としての意地ともいえるが。僅かに思案するように左手を顎先にあてがった。

「そうですねえ、この街にも職人はいますが──透明度は高い方がいいのですよね?」

形や、色合いについてもう少し言葉を重ね、相手の求めているものと、己の頭の中に思い浮かんだ像を結びつける。
掲げられたグラスに軽く揺らすことで応じ

「うーんそうですねえ、お申しつけの品物を用意するので共連れは難しいですが…華、ですか?お上手なことで」

ふ、と唇を僅かに唇を歪めた笑みに変え嘯き、まんざらでもない様子で礼を告げ。
職人に当てがあるから、と言い添えたものの、彼の望みの品物を届けるのには少し時間が必要だろうとも告げる

「…ぅー、ん、と…そう…ですね、運よく在庫があればいいですが、おそらくないと思いますので、王都に戻ってからお尋ねする形になるかと思います」

己の落としどころを提示すると、それで如何だろうかと伺うように眼差しを向ける

イーヴィア > (何せ人並み外れた酒豪、ザルである。 寧ろ王都の店の部屋の中には、酒瓶なんて常時。
其れがドワーフと言う種族でも在るのだが。)

別に急いでる訳じゃないんだ、予備は在るんだが、其れがちと不便でな。
透明度は出来るだけ在れば良いが、強度の方が欲しいトコか、硝子だから限度は在るにしてもな。

(物が物だから、用意までに時間が掛かるのは判っている。
今直ぐに出なくても言い、と一言前おいてから、軽く注文を告げるだろう
展示物に使う以上、丈夫さが欲しいと言うのは、先日壊れた理由からで。
――相手の顔に笑みが浮かべば、こちらもまた合わせて笑う。)

上手でもないさ、思った事が其の儘口に出ただけでね。
この間は、思い切り仕事中だったから言わなかっただけで、な。

(口説こうと思った位だと、そんな風に告げたりしつつ。
在庫状況に付いては、其れで良いと頷き返した。
何れにしても、相手にも仕入れやらの都合は在る筈だ、其処は任せねばならない。
代わりに…ふ、と少しばかり考えては。)

……なら、今夜くらいは付き合わないか?

(なんて、悪戯っぽく囁いてみるのだ)。

シシィ > 既に温くなった己のグラス。もともと量はそう入ってはいない。舐めるように飲んでいたそれもそろそろ底をつきそうだ。
くい、とそれを喉に流し込み終えると、軽く息をつく。
ほんの僅か、ではあるが呼気が酒精を帯びているのが少しだけ酒に馴染んだようで嬉しい。

「わかりました。まあ意匠についてはご要望をお伝えして、という事になりますから、明日、職人に話をしてみようと思います」

酒は入っていても仕事の話になると、ふわふわした気分はすぐに遠のいてしまう。これは──少し勿体無いな、と己の胸中のみで結論付ける。
酒のはずみの言葉として話半分にひいたとしても、己を賛美する言葉は少しくすぐったくもある。
辞めてほしい、と軽く肩を竦め、ただ己の言におおむねの同意が返されれば仕事の話は仕舞いだ。それを察した男の言葉に、僅かに呼気を飲んだ。
酒がまだ残っていたらちょっと危険だったかもしれない、なんて明後日なことを考えるのは一種の逃避行動。

どうしようか思案しつつ──ちらりと浮かぶのは打算。
そして手を取らなかった場合に生じる損失。

己にとっては己もまた商品でしかないのだな、と妙に冷静な己を感じつつ、グラスを指ではじいた。
涼やかな音が小さく響くのを聞きながら

「お高い、ですよ?」

悪戯な問いかけにはそんな風に返すこととしよう

イーヴィア > (仕事の話、其の時は真面目に考え、そして交渉するのは同じ。
ある意味で其れが切り替えであり、職人としての責任でも在る。
一杯のグラスを空にし終えるのはきっと、彼女よりも速く
そして、直ぐに次を注ぐのも、速い。)

判った、細かい交渉については任せても良いかい?
値段は、よっぽど法外じゃなけりゃ出させて貰うさ。

(信用、と言う意味合いでは、以前の取引で出来ている。
商人として利益を考えはしても、詐欺を働く様な相手では無いだろう。
今宵は、其れ以上の話を進める必要もなく、また進められないと考えれば
後の話は相手に任せてしまうのが一番良いだろう。
そうして――その、後の話には。 一寸瞳を瞬かせて、其れから、ふむ、と考えて。)

……口説くのに値段を付けたくないって気もある。
ただ、御前さんに価値が無いって言う心算もない。
……だから、商売だってんなら、其の値段で買うさ。

(――商品として声を掛けた訳では無い。
だが、商品とされるべく相手が望むなら、そうしよう。
其れは任せる、と、一言のんびりと呟いては、グラスの酒を、くい、と一口で飲み乾した)。

シシィ > 流石にざるだの枠だの表現されるドワーフの酒の消費スピードについてゆけるわけもない、というかついてはいけない。
小気味よく消費されてゆくそれにただ感心の眼差しを細めるだけだ

「ええ、それが私たちの仕事ですし───、まあお互いに良い商売をさせていただければと思っていますから」

男の読みは当たっているといえた。もともと信用が第一のような仕事だ、それを取りこぼすようなことはしない。仕事の上では、だが。
続いた言葉にはどう答えるべきか迷った、が

「すみませんね、どうも、感情ってものが苦手で」

柔らかい笑みのまま、困った様に嘯く。普段ならきっと柔らかく躱すか受け止めるのだろうけれど、慣れない酒が入っているせいかどうも余分なことを言ってしまうようだ、と自戒しつつ

「だから商品として買ってくださるのなら応じられますけれど、という話で──、まあこれについてはあまり私に誠意はありませんから、それがおいやなら、ほら、もうすぐ踊り子たちも来ますし其方を求められた方がいいかな、と」

それでもいいなら───そんな風に言いさして、さて、己の値段を考えると、改めて言われると値段に困る。僅かに思案し──

「そうですねえ…では、鞄を一つオーダーさせていただけますか?イーヴィア様の職人の腕は評判ですし」

イーヴィア > (信用は大事だ、特に商売人にとっては。
一時の金の為に信用を落とせば、困るのは自分だと判っているからだ
勿論、そうやって稼ぎに稼ぐ輩も存在はする、が。)

お互いに、な。他に御前さんから売込みがあるんなら、其の時は興味深く聞かせて貰うぜ?

(己の場合は、基本的には誠実に、だ。 隠す理由も、騙す理由も在りはしない。
それから、暫し相手の横顔を眺めては――ふ、と、表情緩めた。
首を横に振るのは、相手の言葉を否定する為――嫌では無いし、踊り子が目的では無い、と。)

御代が其れで良いんなら、喜んで承るさ。
細かい注文とかが在れば、硝子の話の時に一緒にすれば良い。
対価に見合うよう、腕によりを掛けて作らせて貰うよ。

(――ひとこと、それが、己からの返答だ。
けれど、別に今を急がせる心算は無い。
彼女がこの場を離れる、その時間に為ってから、きっと、己が泊まる宿へとつれて行く事と為るだろう。
其れまでは、きっと、この場にて酒精を楽しむ筈で――)。

シシィ > 空になったグラスは小さく、手のひらで簡単に包み込めてしまう程度のものだ。それを手のひらで弄び、己の体温で硝子を曇らせつつ。語られた相手の言葉に曖昧に頷いた。

怒らせたかな、という自覚はあったのだが、存外にそうでもなかったようだ。そのまま水のようにグラスの中身を干す姿を眺めて、視線を手のひらに戻す。

「ええ、まあ、ではこれで──契約、という事で。ええ、細かい要望は後程にさせていただきますが…後悔なさらないでくださると幸いです。勿論足りない素材は集めてまいりますので、ご心配なく」

己が求めているものを、きっと彼なら作りうるだろうと認めたうえでの言葉。その前に己の価値が測られることにもなるのだが───さて。
夜が更けて後悔するのはどちらか、それは分からなかったが、とりあえずゆったりと酒場の時間は過ぎてゆく。

彼が一瓶干す間に己がもう一杯呑めたかどうかは…定かではない──

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”酒場」からシシィさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”酒場」からイーヴィアさんが去りました。