2017/08/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」にイーリスさんが現れました。
■イーリス > 深夜の時間を回っても、不夜城と言われるこの街は、夢と欲望が溢れ、大金が舞っている。
悲鳴を上げる者もいれば、歓声も、嬌声も聞こえるカジノだったが、
その裏手、細く入り組んだ路地へと飛び出してきた………細身の男、と思しき人影は、舌打ちをして素早く左右に視線を馳せる。
「………カジノってのは、いつから中立を放棄するようになったんだ?」
苦々しく吐き捨て、咄嗟に右側の、暗い闇が包んでその先がどのようになっているか見えない方へと走り出す。
僅かに遅れて、背後から怒声が響いてきた。
いつものようにハイブラゼールの酒場で一杯ひっかけて、カジノに繰り出してきた。
ハイブラゼールには様々なカジノがあるが、大概どこも、金さえ落としてくれれば「人をみる」ことはしない。
だから、お尋ね者だろうと、聖職者だろうと、貴族だろうと…海賊だろうと、手荒な真似はされない。
にもかかわらず追われる身になったのは、今日は“ツイて”いたせいで、勝ちが込んできたからなのかもしれなかった。
■イーリス > しなやかに身をこなして影を縫い、路地を走る。
狭い路地を塞ぐように、古びた木箱や樽が置かれていて、進路を妨げたが、
それを避けて走ることは、さほど苦でもなかった。
背後から聞こえる靴音は、先ほどより減ってきた。諦めたのか、手分けしたのかは知らないが、
手練れの用心棒だとしても、数の有利さえなければ、さほど怖いモノでもない。
「…くそ、しつこい…っ」
呟き落とし、不意に脚を止めて、背後に向き直る。
今日は不運にも伴をつれていなかったが、腕に覚えがないと言えば嘘になる。
入り組んだ路地を走ってきたため、は、と呼吸を整えるように短く息を吐いてから、レザーサッシュから短銃を抜く。
腕を水平に上げ、追撃者を狙うつもりで構えたその姿は、一切の迷いがなかった。
■イーリス > 闇の中から躍り出るように現れた追撃者を見るや、
「わざわざ追いかけてくるとはご苦労なことだ。………とはいえ、追いかけられるのも飽きたんでな」
涼やかな声色を響かせ、静かに構えた短銃の銃口はまっすぐに、追撃者の額に向けられている。
その短銃の威力がどれほどかを理解しながらも、それを億尾にも出さぬ怜悧な表情のまま、僅かな対峙の間。
その直後―――
ハイブラゼールの路地に、銃声が響き渡り………その後の顛末は果たして如何様なものかは、闇に消えて。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」からイーリスさんが去りました。