2017/01/22 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にイアさんが現れました。
イア > 歓楽街の裏手。雑多な印象のその場所に、ゴミ屑と一緒になって丸くなる少年の姿があった。
旅の途中に所有者であるところの奴隷商の手から逃げ出し、港湾都市ダイラスの一大歓楽施設ハイブラゼールまで徒歩で赴き、娼館の裏手で雑用を手伝っては人探しをして年を越した。
探し人は一向に手掛かりも得られてはいない。

「……腹、減ったなぁ」

見つかることを恐れて、大通りでの男娼としての仕事をしていないため、食事は雑用の礼としてもらえるささやかなものばかりだった。
くぅ、と切なく胃袋が鳴いた。
襤褸布を布団代わりに身に巻いて、そっと宥めるように腹を撫でる。
歓楽街の昼は静かで、もぞもぞと落ち着かなげに寝返りを打って、ぎゅっと腹を抱くように腕を回した。

イア > しばらくもぞもぞと蠢いていたが、やがて意を決したように身を起こした。
防寒のために包まっていた襤褸布もゴミ屑の山へと放り、随分とくたびれた衣服の皺を適当に伸ばす。
まだ歓楽街が賑わうまでには随分と時間がある。
眠れなくなった身を起こせば、体中の節々を伸ばすように身体を動かして最後にうんと伸びをした。

「そろそろ場所移すかな」

探し人の手掛かり求めて、また違う地区の娼館裏手に回るつもりで、ふらりと歩き出す。
いつまでこのハイブラゼールにいることになるか。
いられるのかも分からないけれど。
ともあれ歓楽街の裏手を違う地区へと、力ない足取りで向かって。

イア > ふらふらと歩き、様々な店舗の並ぶ裏手の路地を進んでいって。
不意にくらりと眩暈がした。
気が付けば地面に肩が付き、視界がくらくらと揺れて。

「……あー、力、でねぇ……」

それが栄養不足からくる貧血とかそういう類のものだろうとはすぐにわかった。
急ぐ理由もなければ、今無理をする必要もなく。
少年は、ゆっくりと瞼を落とし。
ひと時夢の世界へと身を移して……。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」からイアさんが去りました。