2016/10/08 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”/展望台」にリンさんが現れました。
■リン > 「はぁ~……」
展望台の欄干で寄りかかってため息を付く藍色の髪の少年――リン。
その視線の先には沈みゆく夕日があった。
ここは歓楽複合施設ハイブラゼール。
簡潔に言うとリンは有り金をほとんど失ってしまっていた。着の身着のままである。
借金を作ってバフートに送られないだけマシなようなものだが、
このままではそうなってしまう可能性が高い。
「どうしたもんかな……」
なんとか金を無心できそうなのがいないか見渡してみたが、
展望台にまばらに居る者はそろって自分含め不景気なツラをしている。
似たり寄ったりの境遇なのだろう。
■リン > 肩に吊り下げられているバイオリン――《アクリス》が妙に重く感じる。
これを質に入れれば……いや。あまり良くないことが起きる。やめよう。
服や食い物で贅沢して博打でスッて、
金遣いが粗いのはいい加減どうにかしたほうがいい……
そう何度も考えさせられたが今ひとつ治る気配がない。
(……身体を売る……)
ちょっと考えていやいやと首を振る。
最終手段にとっておきたい。
■リン > 別に身体を売るのがイヤ、というわけでもないが
あまりそういう“楽”な手段に頼りすぎていると
取り返せないところまで堕落してしまう気がする。
身体というのは資本なのだ。無駄遣いしてはならない。
「お」
展望台入り口を見張っていると、
人の良さそうな男性が入ってくるのが見えた。
しかも表情が明るい。これは狙い目である。
懐の金をちょろまかす算段を何通りか考えて、ひょいひょいと近づいていく。
いつもの日常であった。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”/展望台」からリンさんが去りました。