2016/06/29 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 王都よりも、活気があり、欲望を身近に感じる街。
その一角に、男はフラリと音無く現れる。
「あいだだだ。ちとハリキリすぎたかなぁ」
腰をさすりながらそう言い、そのまま路地を静かに歩く。そのまま男は人ごみにまぎれていき……。
「おいおい。酔っ払い相手のスリなんて、随分チャチィ仕事してんな、キミ」
ギャンブラーの一団とすれ違う瞬間。男は小声でそう呟いた。
そのまま振り返りはせず、立ち止まりあくびを一つ。くあぁぁ。伸びる間抜けな声が小さく響く。
■エーヴ > 「むっ」
ばれたかと思ったが、別の人間に目撃されてしまったらしい。下手に逃げると返って怪しまれる。対象である恰幅のよい男が歩き去るのを見送った後、フードの奥で目を細めて鋭い眼光を投げかけていく。
赤目の男に投げかけられた言葉は少女にとって好ましくなかったらしく、欠伸を我慢せずな相手へと歩み寄っていく。腕を組み威嚇するかのように背を伸ばしつつ。
「千里の道も一歩から。今に王様相手にスリ成功させてみる」
口調こそ静かだったが、どこか刺々しい言い方で。
■セイン=ディバン > 「あ、ふあぁぁぁぁぁああああ」
今度は長い長いあくび。どうにも眠気が取れないのか、頭に酸素がいってないのか。しかして男はそのまま後ろを振り向き、声掛けた相手を見る。
つかつかと近寄られる。自分と同系統の、紅い目。なにやら腕組みしていた。
「……ぷはっ。うははははは!!
面白いなキミ!! 千里の道も一歩から、か!!」
ウヒャヒャヒャヒャ!! と声あげて笑い、相手へと向き直る。
どうやら相手は真面目にそう言っているようなので、笑いながら、いや、ゴメンゴメン、と謝罪。
男の目には涙まで浮かぶ始末だ。
■エーヴ > 身長で言えば同程度。あるいは男性側の方が若干高い程度か。背伸びしてギリギリ追い越せそうで追い越せない身長差も腹が立つ。
大声を上げて笑う男。通行人が何事かと振り返るが、酔っ払いか何かだろうとすぐに空気に溶け込んでいく。
一応男は謝罪はしているのだが、誠意どころか笑いをこらえている始末だった。盗賊は盗賊でも盗みに特化した奇妙な盗賊は男にますます顔を接近させた。ここまで接近すればこちら側のまじめな顔も伝わるだろうと睨みを利かせる。
「ふん。今に見ててよ。城に砦にダンジョンにあらゆる場所にこの僕ありって言わせてやるから。
あーもー笑うな! 怒ってるんだってば!」
肩を怒らせて凄むも、元々柔らかい性格である。子供が怒鳴っているようだものだろう。
■セイン=ディバン > 近づけば、闇の中でも周囲の明かりで相手の姿が見えた。
瞳と同じ赤の髪。やや幼い印象を受ける顔立ち。身長は高いが……。
「そりゃ、すまん、『お嬢ちゃん』。……あー、笑った笑った。
いや、バカにしてたんじゃないんだ。ただ、スリやってた子供が……。
フヒッ。そんな大層な目標があるとは思わなくて」
なんとか笑いを堪えるが、それでも愉快なのか言葉は途切れ途切れである。
が、本当にバカにする意図は無いのではあるが。
涙を拭いながら、男は懐から自然な動きで細巻きを取り出し、火をつけた。
「いやな? キミのスリのスキル。随分高いのにもったいないなぁ、って思ってね。
何よりも、財布を抜き取る瞬間、怯えも迷いもなく、一瞬で音立てず奪う手腕。なかなかの実力だねぇ」
■エーヴ > 別に性別を偽るつもりはないのだが、男のほうが色々と都合がいいのだ。盗賊稼業には。そのせいですっかり男性の装いと仕草が似合うようになった。
瞬時に看破されると、ほう、と感心した様子を滲ませた。
「本業は忍び込むほうなんだけどねって喋りすぎると掴まりそうだから詳細は最高機密ね」
煙草に火を燻らせる素振りを見ると、まねするかのように煙草を吹かすまねを指でやっておく。
エーヴは壁に寄りかかった。
「……ほかに活かせる職業もないんだよね。なるつもりもないし。
ほめられるとは思わなかった。ありがと」
怒りはあっという間に収まったらしい。
口元に微かな笑みを乗せて通行人らに目を走らせた。
「でお兄さんはこのあたりにどんな用事? 聞かなくてもわかるけどさ。背中に注意しないと僕がささっと財布すっちゃうぞ」
指で相手の胸元を指し口笛を吹いて見せた。
■セイン=ディバン > 相手の立ち居振る舞い、声色。そういったものだけでもおおよそ色々な情報は手に入る。
が、決め手はやはりその顔であったのだが。
「な~るほどね。どこぞのシーフギルド所属か? だとすりゃご同業だ」
相手が壁に寄りかかるのを見ながら、ぷいぃ、と煙を吐く。
周囲の人々はすこし数が減ったが、それでもまだ賑わいはあり。
「そんだけの身のこなしがあれば、国に仕えるのもアリだとおもうがな。
あぁ、いや。俺も盗賊だが、スリや、相手に荷物をスリ持たせるのは苦手でな。素直に感心して羨ましいと思っただけだ」
相手の技量を認めるのは、自分がその分野で劣っているという自覚あるが故。そうして、相手の言葉を聞きながら天を見る。
「いや、用事ってほどのこともない。知り合いの根城から空間跳躍してここに来ただけだ。
ちょいと情報稼ぎに諸国漫遊の予定でね。
……セイン=ディバン。冒険者でシーフで、魔王様の夫になった男だ。よろしくな、可愛らしいお嬢ちゃん」
別に女を買いに来たわけじゃあないぞ、と付け足しておく。無論、そういう話は大好物だが。
■エーヴ > 流石に顔を覆ってしまうと不審者なのだ。フードで覆うのが精一杯の隠蔽であった。
問いかけにはひらりと肩をすかせる。
「なーんだ同業者? もっと早く言ってよ。仲良くしようね。
ん、ギルドも国も仕えてないし、仕えるつもりもないし。
しがらみが出来ちゃうとめんどくさいんだもん」
流石に金銭は二の次であるとは言えなかった。相手が盗賊の同類であるならば不審がられるだろうからだ。
エーヴの視線は煙草の煙を追いかけている。通行人が減った変わりに娼館からの声が激しさを増していた。お盛んなことでと横目で館の入り口を見遣った。
「情報得たさにここということはきな臭い用事かなぁ……。
エーヴ。エーヴ=フォンテイン。
んで、魔王の嫁さんのお探しの情報は見つかったの?」
手を差し出し握手でもしようとする。
最後の言葉は「へいへい」と言わんばかりに笑いで返す。信じてなさそうな風に。
嫁。ナチュラルに間違えたのかわざとかは不明だった。茶化す意味かもしれず。
■セイン=ディバン > 相手が肩をすくませ、ギルドにも所属していないと聞けば驚いたような表情で。
「おいおい、大丈夫なのかそれ? あんま目立つとギルドに目ぇつけられるぜ?
ま、なにはともあれよろしく」
シーフギルド・盗賊ギルドも、アサシンギルドほどではないとはいえ目立ちすぎる同業者を放ってはおかない。
まぁ、目の前の少女は場慣れしているようだから大丈夫なのかもしれないが。
「別にきな臭くもないさ。なんか面白い儲け話や、財宝の話はないかな。そんくらいの考え。
あぁ、エーヴちゃんか。よろしくな。
んあ? いや、そっちも別に。ウチの妻の魔王様は、基本グータラだから。俺に何かしろとも言わないし」
握手に応じ、軽く手を振りつつここに来た目的などについて話す。
そのまま相手の名前を覚え、自分の妻のことを話すが、まぁ信じられなくても無理はないな、と内心だけで思う。
そうして男は短くなった細巻きを地面で踏み消し。
「ところで、エーヴちゃんは魔術とかは使えるのか?
使えると結構盗賊家業、便利だぜ?」
俺は色々使えるよん、と言いながら二本目の細巻き。
どうにも男にも色々考えがあるようで。
■エーヴ > エーヴは盗みを追求するが為にギルドに入る選択肢自体無かっただけに、平然とした顔をしていた。
差し出した手を握り返すと上下に握手。にこりと笑ってみせて。
「儲け話かー……なんか妙な空間が開いた話は聞いたけど詳しくはわかんない。
嫁さんぐーたらってことはセインが家事するの? 魔王の? ご飯とか作るんだ」
くすくすと笑う。角を生やした青色肌の魔王がソファーに座って男の料理が出来るのを今か今かと待っているシーンを想像したせいで。
二本目を咥える男をよそに、壁に寄りかかったまま唸る。
「ちゃんいらないよ。男みたいなもんだし。僕は魔術からっきしなんだよねぇ……これくらいしか使えない」
逡巡。
フードを払うと徐に両目がサファイア宝石のよう青に染まる。娼館の壁を見遣るとふむと息を吐いて。
「白ひげのおじさんがお金足りなくてしばかれてる。背中にバラの刺青。趣味悪い いった!? ……って感じて透視くらいかなー……教えてくれるなら習うけどね」
透視距離が長すぎたのか両目を押さえてうずくまる。
再び目を開くと赤い瞳に戻っていた。涙がぽろぽろ。三流千里眼はこのくらいが関の山なのだ。
■セイン=ディバン > ぶんぶん、と振られる手。スリのテクニックと相反して、随分人懐こい笑顔。
なんとも不思議に可愛らしい子だな、という思い。
「妙な空間? ふむ、それ面白そうだな。調べてみよう。
いや、家事は基本ゴーレムがやってる。俺はまぁ、たまにメシは作るが」
相手からの情報に感謝し、金貨の入った小袋を投げ渡す。情報料のつもりであった。
そのまま、魔王様の生態についてもベラベラ話してしまう。別に秘密でもない。
「いや、かわいい女の子にはチャンはつけるやろ。……ん?」
相手に否定されようが、ちゃんづけを辞める気は無いらしい。そうして相手の瞳が輝いたのを見て取り、様子を窺えば。
「……すげぇな。透視【クレアボヤンス】なんて、高等魔術だろ。羨ましいぜ。
……ん。教えてあげても良いぜ? 俺の使える呪文なら、だけど」
涙を流す少女に、ほれよ、とハンカチを渡す。そのまま相手の言葉に応じるも、キシシ、と笑い。無論、タダで教えるわけにはいかないけど、と言葉を付け足す。
■エーヴ > 「や、無理すると痛くなるし継続できないし月一くらいで使えないしで高等どころか三流だって」
千里眼といっても性能はへっぽこだ。無差別に見通す代わりに射程は精々馬車半分距離程度。おまえに無茶をすれば激痛が走るのだから。
ハンカチを受け取ると目をごしごし擦った。
金貨入り小袋を受け取ると、神妙な顔つきになった。貰うべきか突っ返すべきか。悩んだ末に貰うことにしたらしい。懐に収めた。
家の魔王様がくしゃみでもしていそうな話題がつらつらと流れていく。ゴーレムといい金貨といい金持ちなのだろうかと推測する。猛烈にスリたい衝動に駆られた。
「ものすごく自然に口説くんだね。
正直悪い気しなかったけどおうちの魔王様が殺しにくるんじゃないかなぁ」
世界とか壊しそうと感想を付け加えつつ。ハンカチを相手の手元に返すと、笑う顔を覗き込む。
むむむと眉に皺を寄せるとつい今しがた受け取った金貨を取り出して渡そうとするのだ。金に執着が無いだけに躊躇がない。
「これでお願いします! だめ?」
■セイン=ディバン > 「そっか、制限つきなのか……いや、でも凄いと思うぜ?」
相手の言葉に納得するが、その賞賛は心からの物であった。
渡した金貨を相手が懐へしまったのを見て頷く。仕事には正当なる報酬を、であった。
「いや、だってエーヴ可愛いしな? そりゃ口説くだろ。普通。
あー、その辺はまぁ大丈夫だ。浮気も多少は容認されてるし」
あんまりやりすぎると、また神出鬼没に現れられて怒られるかもしまうかもだが。
世界は壊せるかもしれないが、多分面倒くさいからやらない、とか言いそうだな、と思う。そのままハンカチを受け取り、懐へ。
そうして相手がひょいと出した金貨を見ながら。
「お金よりキミの身体がいいにゃあぁ。
エッチなことさせてくれたらいいよ!!」
凄まじく下心丸出しの、率直な提案をするのであった。
ハッキリ言って、交渉ですらないほどの露骨な言葉だ。
■エーヴ > 浮気を容認する魔王。一度会ってみたいと思ったエーヴであったが、魔王というより普通の嫁さんのイメージしか浮かんでいなかったのであった。
ハンカチを洗って返すべきだろうかと考えられる程度にはまだエーヴは女の子していた。ほめられて悪い気はしなかったの言葉の通りに、白い頬が微かに赤らんでいた。
金貨を渡そうとしたが受け取ってくれない。すると、金貨以外の品物を差し出さなければならないらしいではないか。金が駄目なら一体全体どうすればいいのか――とクソまじめに考え始めたところである。
気味の悪い猫撫で声(文字まんまの意味で)を上げたではないか。さっきのシリアスっぽいセインはどこに言ったのだろうか。
一瞬あっけに取られたエーヴはぽかんと口を開き、
「うふふいいよ
なんていうと思った!? ちょっとかっこいいかなって思ったんだけどどうしてくれんの? 返してよときめき」
人差し指を相手の額に叩き付けんばかりに突き出して怒り心頭のご様子だった。
とはいえ魔術を教えてくれるらしいことは確か。盗賊が魔術を習うにはひたすらコストがいるのだ。隠蔽や口止め料などで。
ぐぬぬと腕を組むと背中を向けて考え込み。
「ちょっとだけだったら………ちょっとだけね。ちゃんと後で教えてね」
承諾したのだった。
■セイン=ディバン > 目の前で表情や仕草をころころ変え、何かを思案する少女。その様子も可愛らしいなぁ、などと思いながら細巻きをぷかぷかと吸い、相手の返答を待つ。
まぁ、ここで断られたなら別に無料で教えてもいいかなぁ。などと考えていた頃。
「おぉ、いいの? ラッキー。
って、えぇぇえ!? なんで怒られたオレ!? トキメキ!? 知らんがな!!」
そりゃキミの感情のことまでは責任とれん!! と反論するが。よくよく考えればひょっとして良い関係になれたかもしれない相手をがっかりさせてしまったか、と気づき。
「お、おぉおぉ。そりゃ気持ちよくなったらちゃんと教えるよ。
教える教える。さささ、そんじゃ早速……」
最後の最後、オッケーをもらえて、一安心といったところ。
そのまま相手に近づき、ん~、とキスをしようと唇を伸ばす。
■エーヴ > 同じ盗賊仲間に出逢えて心が弾んでいたと言うのもあるだろう。まじめに詰め寄ればあるいはだが、男の性格的にはそう上手く運ばない様子で。
ときめきを殺してくれた男をじっとり湿った目で見つめる赤毛は、相変わらず腕を組んでいた。
「ときめいたのにえっちなこと要求ってぶち壊しじゃん!
にゃぁぁ じゃないよにゃああじゃにゃぁぁあ!」
ぶち切れ返す。猫語が噴出する。別に耳や尻尾がついていたりはしない。声を張り上げておいて恥ずかしくなったのかむっつり唇を結ぶ。
通行人からは恋人同士の痴話げんか程度にしか捉えられてはいないようすで。宿入ってやれなる無慈悲なアドバイスが投擲される始末。
接近してくる相手に合わせて目を閉じる。腕を解くと、それでも気になるのか片目を緩やかに開いて。
ちゅ、と唇が触れ合う。暫し悩み悪戯半分に相手の唇を舌でぺろりと舐めてみせた。
「……ん」
喉が鳴った。
■セイン=ディバン > ここ最近は女性と知り合えばギスギスすることも多く。久しぶりに打ち解けるのに時間がかからなかった相手故に申し訳ない気持ちが生じる。
ときめき云々までは知らないが。
「いや、悪かったけど!! 可愛い女の子を見たら口説いてエッチしたくなるのは当たり前やん!?
じゃあキミの身体がいいワン!! ワンワン!!」
別に鳴き声の問題ではないのだろうが、とりあえず売り言葉に買い言葉、である。お互い鳴き声を上げるこの空間。知らぬ人間が見たら珍妙極まりないであろう。
周りからのツッコミをサラリと聞き流しながら、ゆっくりと口付けを交わし。そうして唇を舐められれば、男も同じように舌を伸ばす。
「……さ、て、と。どうするか。ここでしちゃってもいいなら、俺は全然構わないんだけど……。
宿に入りたいなら、どっかお勧めの宿とかでもいいよ?」
相手の小さな吐息を聞きながら、一度周りを見る。男自身は別に外でも問題無いが。はてさて。
■エーヴ > ワンワンうるさい犬。蹴りたい背中もとい腹パンしたい腹。
猫と犬が対峙する珍妙な光景であるが、ここはカオスの街である。全裸で徘徊する男が居たかと思えば大金持ちからホームレスに成り果てるものまで居る特殊性故に、さほど目立ってはいなかった。が、そのまま続ければ娼館から怖いお兄さんが出てくるだろう。
ゆるやかな口付け。舌を舐めてみると舌が伸びてきた。リップノイズをたてて甘く食む。口を離すと、唇を袖で押さえた。
外で。流石に露出する趣味も無い。しかしここは「そういう宿」が乱立する場所である。疎い少女にわかるわけもなく。
「犬君案内して」
さあいけと言わんばかりに男の肩甲骨辺りをつついて回れ右させれば、そのまま背中を押し始めるだろう。
■セイン=ディバン > なんというか、だいぶ年上であるはずの男がみっともなくワンワン鳴くのは正直、かなり痛々しい光景だったのが。
幸い周りの人間には不審にまでは思われていなかったのだろうが、騒ぎすぎたかもしれない。
甘いキスをした後、くるりと反転させられ背中をぐいぐいと押され。
「って、お、おいおい。オレもこの辺は詳しくないんだっての。
あ~、じゃあ適当に入るってことでいいね? 出来れば静かな宿の方が良いな」
その方が、終わった後魔術の指導もしやすいし、などと言いつつ。
促されるままに道を歩んでいく。
■エーヴ > 猫が犬を追い立てていく光景。幸い人間同士なので違和感は無いだろう。
案内しようにも相手も地理に明るくない。エーヴもこの街に通いなれているわけでもない。
適当に選ぶと言ってもやたらけばけばしい宿を選ぶのも憚られる。極東の土地に見られる様式を真似した古びた宿を見つけて入った。
宿は広くも無く狭くも無い。つまるところ普通の宿で。
普通の宿にしてはベッドがでかすぎたり浴室がでかすぎたり色々とでかすぎるが、少なくとも街の外れに位置していることから静けさは確保されていた。
従業員に渡された鍵を持って部屋に入るなり荷物類を外していく。防具。ナイフ。その他小道具類。ガチャガチャ外して身軽になると早速ベッドに飛び込み顔を埋めた。
「はー………で、犬君どうするの。
えっちなことって正直―――経験豊富ってわけでもないから……」
ベッドに顔を埋めたままもごもごと問いかける。せりに卸される魚の如く。
■セイン=ディバン > 二人で道を行き、あーでもないこーでもないと言いながら入った宿。
あまり見慣れない内装にキョロキョロしつつ部屋に入れば、下品な華美さもなく、むしろ心地良い落ち着きがあった。
そうして部屋に入り、相手が装備を外すのを見つつ男も武装を解除していく。
「犬言うな。どうするの、って。
あ~、そういうことか。いや、だったら任せてくれりゃリードするぜ?」
どこか気まずそうにしている風に見える少女の横に、ぼふっ、と寝転がる。そのまま相手の頭を撫でてやり、じっ、と真剣な眼差しで相手を見つめれば。
「……それに、もし途中でイヤになったら言ってくれれば途中で辞めるよ。
ほんで、あまった時間で魔術のレッスンしよう」
もしも嫌悪感が生じたら、途中でやめてあげようという提案までするのであった。
■エーヴ > 盗賊と言いつつしっかりと防具は着込んでいる。殴られたり切り付けられたりと酷い目に遭うのが常だからだ。
防具と装備を外すと、薄い布の装束一枚となった。装束の下に胸元と腰周りにかけて布がぐるぐる巻きになっていた。
「ん。僕も経験あるからやりかたはわかるけど、手馴れてるわけでもないし……」
ベッドに横たわっていると相手が横合いに転がってきた。ふと視線を横にずらすと真剣そうな顔立ちが映りこんでくる。頭を撫でられると目を閉じて受け入れた。
途中でやめてくれるらしい。猫語でエロ要求していた男とは思えぬ身代わりの早さだったが、はたしてどっちが本当かわからない。きっとどっちもだろう。
仰向けになると、相手側に半身を向ける。編みこみ赤毛を指で弄りつつ、おなかを軽く押さえて笑った。
「く、ふふふふ………さっきえっちがどうの言ってた犬君じゃないみたいなこと言わないでよ。
やるっていったし気の済むまですればいいんじゃないかな。
魔王の嫁さんにぶっ殺されない程度に」
エーヴの中の魔王のイメージ像がちらつく発言であった。
姿勢を起こすと小首を傾げて相手の行動を見守る心積もり。
■セイン=ディバン > 自身もそうだが、やはり盗賊とはいえ最低限装備はする必要が出てくる。音を殺すために金属鎧等は着けられないが、革鎧に武器、その他諸々……。
「なんとなく判るよ。さっきのキスした時の反応とかでさ」
ほとんど勘のようなものだが。男の経験上、少なくとも性交渉に慣れているかどうか位は目星をつけることは出来た。
無論、できることならすることはしたいのだが。嫌がる相手にまでは手を出さないというのが男の主義で。
「いやだってよ、嫌がってる女の子にむりやりしても楽しくねぇもん。
お互いに気持ち良いのが一番、だろ?
……んじゃまぁ、手は出させてもらうけど、イヤになったら言いなよ?」
相手の言葉に、妻の姿を思い出すが。まぁ、多分こうして遊んでいるのもバレバレではあるかもしれない。
そう考えながらも、男は少女の胸へと手を伸ばしながら、ずりずりとベッドの上を移動して少女を抱きしめようとする。
■エーヴ > 全く経験が無いわけじゃないが、慣れる程はやってない。そんな感じの少女。
行為に嫌悪を感じたりもしなかったが、どう運ぶのかがいまいちわからないのだ。
「キスも乗ってくるといけるんだけど、普通にすると恥ずかしくって」
乗るまでは乙女染みた反応が待っていることを示唆しつつ。
あくまで念を押す男にくすくすと笑いが止まらなくなってくる。手を出す速度と勢いは犬並みというのに、猫のように慎重な攻め方をしてくるからだ。手を伸ばされるとごほんと咳払いをして雰囲気を硬くしておく。
「うん……僕も嫌がってるのを無理矢理はどうかと思うかなぁ……………。
じゃ嫌って言わないようにしてみる。どうなるんだろうね」
長い沈黙が挟まる。無理にやられて気持ちよかった経験でもあったのか。
胸元に手が伸びてくると、布で形状を平らに捻られた弾力が伝わっていく。体と体が接近すると、男と女の距離が零になった。
「…………ごめんね。もうちょい小柄なら抱きしめがいあったんじゃない?」
どきん、どきん、どきん、と強い心臓の音が男に伝わるかも知れず。髪色と同じように朱の差した頬がまじかにあろう。
■セイン=ディバン > 思えば、最初に声をかけたときから。どこか印象と実像がチグハグな少女。
アンバランスさ、とでも言うのか。ギャップと言った方が良いのか。
そこがなんとも魅力的に感じられる。
「あ、それは判る……」
なんというか、普段普通にしていても突然恥ずかしくなったりすることがある。
とはいえ、その時は恥ずかしくなくて後々になると照れたりもするのだが。
「……いや、本当にイヤだったら言えって。
別にそれで怒ったりとかはしねぇからよ」
どこか気を使ってくれている少女に、再度念を押す。こういうことの提案をしたのは男の方なのに、申し訳なさがあった。
そのまま少女を抱きしめ、その胸をやわやわと揉みはじめる。
「おぉ、結構、おっきいんだな。エーヴのおっぱい……。
って、なんで謝る? 背ェ高くてスタイルよくて。エーヴは可愛くてかっこいいと思うぜ?」
謝る必要なんて全然ないよ、と言いつつ。そのまま胸への愛撫を強めていく。
男のズボンの中では、既にペニスが膨らみつつあった。
■エーヴ > 気を使ってしまうのはやはり遠慮があるからだろうか。代価としてとはいえ。提案してきた男がやたら気遣ってくれるだけに。
清潔なシーツの上で抱きすくめられると力が抜けてしまいそうになる。人肌触れ合うことがいかに心地よいことかを認識させられるのだ。
「うん。犬君ってば優しいね」
さらっと犬呼ばわりしておく程度にはまだ少女には余裕がある様子で。
抱きしめられたので抱きしめ返す。少し離れると、正面から鷲づかみされる。布で縛りつけた上からなので固い感覚がするだろうか。察したのか、背中に手を回し結び目を解いた。
「い、いやー……急に育ってきてちゃってさ。大きいと重いし狭いところ入れなくなるから、こうしてるんだけど」
はらりと布を解く。服の中で狭そうにしていた胸元が丸みを帯びて。
褒められて嬉しそうに口元が緩んでいた。
■セイン=ディバン > 「だから、犬はやめてくれって。せめてポチとか……いや、そうじゃないか」
相手の気遣いを感じるからこそ、優しくしようと思ってしまう。
軽口もそこそこに、相手を観察しながら愛撫を進めていき。
「……」
少女が、男にさらけ出してくれた双丘。それを見て、男は息を呑む。
そのまま、無言のままでその胸に顔を近づけ。
「……うん。キレイだ。エーヴの胸、すっげぇエロくて素敵だぜ」
豊満だり、そしてキレイなその肌。それに引き寄せられるかのように、男は舌を胸へと伸ばしていく。
そのまま、自身は器用に片手だけで衣服を脱ぎ始め。
■エーヴ > 「たははは……ほ、褒められると恥ずかしい。
エロいって褒められて嬉しいのって斬新だなぁ……」
照れ隠しに頭を掻きつつ笑った。
はらりと布が落ちると、胸が見える。白い肌に桜色の頂点が重力に逆らいつつ、呼吸で体が動く動作には追従している。
布で隠された下に構えるのは女性的な体型であった。白肌に燃えるような赤い毛がよく映えている。
エーヴは布を横に押しやると、つい今しがた犬呼ばわりした男が緩やかに顔を接近させてくるのを見た。思わず目を伏せる。白い草原に顔が埋まると舌でもてあそび始める。
男が服を脱ぎ始めたのを見ると、自分もそうするべきかとベルトを緩め、ズボンがずり下ろせるようにした。
「……っん……あかんぼうみたい………ッ、はぁっ……あ、でもあかちゃんはいやらしい舐めかたしないか」
白肌に唾液の痕跡が引かれていく。刺激に目を閉じつつ、男の膝元を手で撫でる。
■セイン=ディバン > 「あぁ、言い方がちょっと下品だったか。
魅力的だってことさ。男を惑わす、素敵な体だ」
相手の照れる様子と言葉に、男もつられて照れてしまう。
言い訳ではないが、言葉を言い直し、胸へと舌を這わせる。舌の先端から、少女の肌の艶やかさを感じ、そのまま先端の鮮やかな突起へと口を移し、ちゅうちゅうと音を立てて吸い上げ始める。
「赤ちゃん扱いされるには、ちと歳取りすぎてるけどな。
……ん。くすぐった……」
そうして、胸を執拗に攻めながら。もはや身に着けた衣服など邪魔なだけだ、というようにもどかしげに全ての服を脱ぎ。男は全裸になる。
そのまま、視界の端で少女がベルトを緩めてくれたのを見て、そのズボンへと手を伸ばし。
「……脱がせるな?」
喉をなでられ、まるで本当に犬になったかのような気持ちになりながらも。
男は少女へ、脱がせてもいいか、と尋ねるように。
■エーヴ > 大きすぎる赤ん坊が桜色の頂点を吸い上げる。たわわに実った果実は緊張か興奮か赤く熱を持っていた。乳など出るわけが無いというのに、吸われていると内側からこみ上げてくる感覚があった。
自分の歯で指を噛むと、ちゅるりとこみ上げる唾液を吸いなおす。
「ん んっ! ぁ ッ……おっぱいがびくびくする……。
もぞもぞ? する。もうちょっと強くしても、大丈夫」
服を全て脱ぎ捨てた男を見る。たくましい体つき。膝をなでていた手を肩へ軽く触れてみた。
ベルトを外したことでほぼズボンは脱げる状態にあった。男の問いかけに頷くと止め具を外し、足を交互に動かしてほとんど脱いだ状態にしてしまう。白いシンプルな下着が肉質的な腰周りに吸い付いている様が垣間見える。
男の膝と腿を撫で回す。誘うように根元まで手を向かわせるや、膝まで後退して揉む。意識的なものではないらしく。
「いいよ」
エーヴがこくりと頷いた。男が引っ張ったならば、下着一枚に包まれた付け根が露になるだろう。
鍛えられた無駄の無い腹部が露出する。
■セイン=ディバン > 身長の高さのせいで若干見誤っていたが。どうやら少女は男の予想よりも若いようで。愛撫への反応、そして肌の瑞々しさからは、若さが持つエネルギーのようなものを感じ取ることが出来た。
「ん……うん。どうにか感じてくれてるようで、嬉しいね。
……まぁ、そういうことならもうちょっと強く……」
相手の様子を伺い、あまり刺激を強くしすぎることのないように愛撫を続けていく。吸うだけだったものは、先端を舌でつつき、唇で食むものへ。
裸身を撫でられれば、僅かにだが呼吸は乱れ。少女が視線を下に向ければ、すでに臨戦態勢となった凶悪な一物が見えてしまうことだろう。
そのまま、足の様々な地点を撫でられれば、くすぐったくも心地良さそうに目を細めてしまう。
「……ほん、じゃ。まぁ……」
存外すんなりと許可をもらえたことに拍子抜けしつつ。男は下着に手をかけ、するり、とそれを下ろす。
改めて全身を見れば、自身とはまた違った引き締まった身体。
同じ盗賊でも、主とする業務が違うと差が出るものだな、などと改めて確認する。
「可愛らしい下着だな。コレ」
そう言って、脱がせた下着を指でくるくると回し、ぽ~い、とベッドの外へと放ってしまう。
そのまま、少女の秘部へと手を伸ばし、そこへ触れようと。
■エーヴ > 若いどころか女性として完成する前の若さである。未完成の美しさがそこにはあった。
強くされる方がよいのか、催促を始める娘。
男の攻め方が強さを増す。
突起へと這い寄る舌が圧力をかけ始める。ざりざりとした舌の感覚に、神経が熱せられるようなもどかしい快楽が走り始める。先端がぷくりと熱を持ち硬く形状を保つのにほとんどかからなかった。
「あ、ぅッ……はぁっ………」
声量を抑えた堪え気味の嬌声が呼吸に混じり排出されている。
足の付け根を守る白い下着に手がかかると若干抵抗を見せたが、すぐに覚悟が決まったのか自分で両足を動かし協力した。 するりと下着が脱げると密やかな亀裂が眼前にさらけ出される。髪の毛と同じ紅蓮の茂みが一筋を守るように薄く延びていた。
「あっ……もう。拾えないようにしたでしょ?
……やぁっ……あっ、ぁあっん!」
頬を悪戯っぽく膨らますも、指が股座に触れると声を崩した。驚いたのか身を震わせて。微かに濡れた亀裂が指を誘うかのようにひくついていた。
■セイン=ディバン > そういえば、年下の若い女の子を抱くのは久しぶりか、と気づく。
ここ最近はあまり娼婦も買っていなかったなぁ、と考え、急に気恥ずかしくなってきてしまう。
そうして愛撫を続けるうちに、先端が硬くなっていくのに気づけば、一度口を胸から離し。
「ん~……。だいぶ、良い感じかね。
結構感じやすいのか?」
相手が高まってきているのを、呼吸、そして声から察する。
少し意地の悪いことを言いながら下着を脱がせ終えてしまえば、男の視界には、まだあまり穢れを知らないであろう女性器が見え。
白い肌とその周りの鮮やかな茂みのコントラストが、さらに男を興奮させた。
「あ、ゴメン。別にそういうつもりはなかったんだけど……。
……もうちょい濡らせば、いけるかな……」
相手の言葉に謝罪しながらも、ゆっくりと、そこの緊張をほぐすかのように指が少女の秘所に触れ、少しずつ刺激を与える。
そのまま男は少女の頬に触れ、無言のまま目だけで、大丈夫か? と尋ね。
■エーヴ > 男の口が胸元から離れると切なそうに目を細める。
もう少し吸ってもいい。吸って欲しいという思いからだったが、求めることは無くて。赤らんだ胸元が残される。それとなく胸元に手を置いて主張はしていたが。
つるりとした骨格の広い腰周りが露になる。微かに湿り気を帯びた亀裂は興奮にひくついていて、もじもじとすり合わせられる腿との間に粘着質を引いている。
放り投げられた下着。これで少なくとも行為中着ることは難しい。
「かもね。感じやすいっていうのかな……」
ぽつんと呟く。男の指が亀裂をなぞりつつ内側を刺激する様をまじまじと見つめていて。
瞳で問いかけられると、こくりと頷いた。遠慮しなくていいのにと思う。意思表示の手段として、男の手に口付けると、手首をぺろりと舐め上げてやる。
「驚いた? 僕だってできるんだよ?」
言えば、身を近寄せていく。胸元が男の胸板に触れるようにしていき、相手の手が行為をしやすいように腰をせり出した。
耳元に口を寄せて、ほう、と熱い吐息をかけた。
■セイン=ディバン > 経験豊富な男だが、逆に経験の少ない相手を抱くことに慣れていない側面もあった。
少女の内心の欲求に気づかぬまま、ゆっくりとした愛撫は続けられていく。
その行為にも、どこか精彩を欠くというか、らしくないおっかなびっくりな様子もあった。
「まぁ、感じやすさは状況や個人差もあるから。オレも詳しくは判らないけどな」
そう言いながら、指を入れる深さは少しずつ深くしていく。
あまり急に事を行っても、女性の身体はその快感を受け入れないこともある。
そうして視線を交わらせれば、相手が手、そして手首へと口と舌を這わせてくる。思わず目をぱちくり、と二、三度瞬かせ。
「驚いたよ。なんていうか。うん、エーヴ、可愛いぜ」
突然のことだったので、正直にそう答える。肌が密着すれば、男の皮膚が火がついたように熱くなり。そのまま、次第に秘裂への愛撫もまた激しさを増す。
耳元の吐息の熱さに、脳が痺れるような感覚。視界がくらくらと揺れる。
■エーヴ > 【続きます】
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」からエーヴさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」からセイン=ディバンさんが去りました。