2023/05/20 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 市街」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 大歓楽街と名高いダイラスのハイブラゼール。
夜の煌びやかさは誰もが噂で知るところだが、昼となると意外とその姿は外に知られていない。
都市に住む殆ど誰もが夜に働き、昼に寝入るような暮らしだし、訪れる殆ども夜の姿を求めて来るのだから当たり前。知られていないというより、興味を持たれていないと言った方が正しいのかもしれない。

さてその昼日中のハイブラゼールの、大通りを大股で速足に歩く女がひとり。燦々と降り注ぐ陽光に細かな三つ編みを靡かせて、さっそうと街を過ぎって行く。
昨夜は遅くまで護衛の任務についていたのに喧嘩を売り損ね、体力が余っていたせいか思ったより随分はやく起きてしまった。

余った時間をどうするか。
寝台の上で首を捻って然程考えこむ事もなく、闘技場の『ほう』へ行ってみることにした。あくまで『ほう』で入るつもりはない。
何か良いこと(喧嘩相手)がある予感もないけれど、まあちょっと小走りて行ってみて帰るくらいには丁度いいかな、くらいの気分だ。

宿(公主の付き添いだったのでやたら高級)から出ると、夜はあんなに煌びやかだった周囲の建物が陽光のもとで少しくすんで見える。
また打って変わって人気の少なくなったように思える大通りを、石畳を軽く蹴るように弾む足取りで行く。
進む道すがら、ちらほら見かけるのは日常を過ごす住人ばかりで、観光客の姿は見当たらないようだった。

ホアジャオ > 表通りを往く住人は、夜の住人のための仕事を生業にしているようなものが多いようだった。
いわく、掃除夫や賄料理人、小間使いに、何処ぞ修繕の要望でもあったのか大工のような姿、
或いは支配人と思しき数人の護衛を連れたもの。

女はその光景を横目に見つつ、足取りの速さは変えずに闘技場へと向かう。もう少しで、闘技場からの歓声でも聞こえてくるかもしれない。

初夏のような日差しにくっきりした石畳の黒い影をひきつれて、街を駆けるように抜けていく―――

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 市街」からホアジャオさんが去りました。