2023/04/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にアロゥンさんが現れました。
■アロゥン > ◆
その日の人狼は港湾都市に赴いていた。
元から自由な身 肌先に感じる鋭い気配 風の吹くまま 気まぐれに従っている。
群れも持たない狼なのだ
今もこうして、居心地の良い場所にいる 一つの酒場だ。
香水 煙草 酒精 食物
色々な匂いが混じる混沌とした場所は嫌いだ 鼻が曲がる。
しかしここの店主は几帳面な性格で、水の代わりに常備しているエールは水桶の中で冷やしている
バウンサーという名目で席の端で寛ぐのは居心地が良く、外見とは裏腹に
最早誰も人狼自身の胸元に貨幣を押し込んで連れて行こうとする無知はいなくなった。
店主の出す野趣ある肋骨肉の煮込み焼きは、特にお気に入りだ。
程よく肉が骨から剥がれて、ザクッと感じる嫌味のない噛み切れの良さが好い。
高くない用心棒代と賄い そして時折重なる拳常拳
それが、この店によく顔を出すバウンサーとしての人狼の存在理由。
「どうした、骨密度が足りないんじゃないか。」
ミシリと握る片手の片腕。
人狼の青い瞳が、まるで霞硝子のように照りを無くした瞳になっていく
「―――脆いな。」
ゴシャ 握力で砕いた骨
肉は無傷 骨だけが中で悲鳴を超えて喉を裂いたかのよう
出迎えた闘争への浮かべる笑み 砕いた骨 しかし金さえあればポーション 治癒師 手段は多い。
山の中なら絶命に至る道しかないというのに、インチキなものだった。
両手をポンポンと叩けば、ファーストールや襟巻のような七つの尾を両腕や腰に絡ませて
更に一枚、更に肋骨肉の煮込み焼きを差し出した店主から、喜んで摘まむだろうか。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からアロゥンさんが去りました。