2022/12/17 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にテンドンさんが現れました。
テンドン > 現在状況の簡単説明!
→ボクは港湾都市ダイラスに配達のお仕事に来て完遂済!
→依頼人さんに料金を貰いに行ったら“ハイブラゼール”のカジノでゲーム中だと聞きました!
→それでカジノの方に足を運んだら依頼人さんは居たしお金は貰ったけれども何だかんだでゲームテーブルに無理矢理座らされました!
→ルーレットゲームのディーラー絶対サマ(イカサマのこと)してるよね!!!!!!!!!!
→何だか退けに退けなくなって、お金の代わりに負けたら一枚ずつ脱ぐ事になってる!
→ま、敗けた!!!

今此処!!↑

「きゅ、窮地…」

ドレスコードがあるレベルのカジノではぷかぷかに浮いて浮いて浮きまくっている。
度肝を抜くお金持ちっぽい恰好の人達が大勢居てきんきらな装飾に飾られまくったカジノのゲームルーム。
その中でも滅茶苦茶に立派なルーレットゲームの円盤が埋め込まれたグリーンのテーブル前に座していた。
カジノ側からサービスされたウェルカムドリンクには口一つ着けていない。
寧ろだらだら水分を搾り出すように溢れ出る汗の一滴二滴分ぐらいは嵩増しされているかも知れない。
追加された脱衣ルールに従って、既に愛用の上着が脱がされていた、しかし無茶苦茶に暑い、頭に血が昇ってる所為だろう、眦まで真っ赤。

テンドン > 「サマしてるし…絶対サマしてる。ルーレットって言ったら大別しても赤か黒かの二色なんだから実質1/2なんだし、それを悉く外すとか変でしょ、ぜーったいサマしてる………」

ルーレットというのも様々なルールがあると思われるが、此処では仮にヨーロピアンスタイルに似ているものが採用されているとしよう。
詰まりは1から36の数字に加え、0が一つ、その37区分、及びに赤、黒、大、中、小に前後縦のBETマスがテーブルに設けられている。
余り良くない癖だが焦りを感じると爪を噛んでしまう癖がある、右手の親指をがじがじ。
ぎょろんぎょろんと忙しなく周囲に泳いでいる目線は周囲を見回し、一人佇んでいるディーラーは勿論のこと。
辺りの同席者の客人達、廻り回るバニースタイルの給仕、ステージで演奏中の楽隊達にまで目を走らせる、不正が無いか、不正は見つからない。

ディーラーさん > 「お客様、他のお客様がお待ちです、BETはどうされますか?」
テンドン > 「あう゛、ぐ……ル、ルージュ(赤)でお願いします…ぅ……」

すっ、と、積み上げられたチップは宣言に従い、テーブル上に鏤められた数字記号色の中で赤にへと移動させられる。

「………」

マジで危なくなったら自慢の健脚で逃げよう、そうしよう、という顔で見守っているその目の前で。
汗一つもかかない人形みたいな面構えのディーラーは全て出揃った所で、ルーレットの出っ張った黄金のノブに手をかける。
腹が立つ程に堂に入った瀟洒な仕草、手首の捻りをもってホイールの回転。

カラ カラ カラ

ルージュ(赤)とノワール(黒)が混色しているかのような高速スピード。
どんなに凄い動体視力でも狙ってボールを投げ込むなんて到底出来る筈も無い、筈。
その回転とは逆方向に間も無くしてボールは投じられ、円盤上において走り出す。

テンドン > 「ああ…!神様!魔族様…!!ドンブリ様…!!!」

人間とことん追い詰められたら、結局の所辿り着くのは他力本願、神頼み。

ディーラーさん > 「ノワール(黒)の17です」
テンドン > 「うわーん!!!!!」

神も仏も無い、それが鉄火場というもの。

テンドン > 「……いや、お、おかしい…証拠はないけどおかしい…こんなの不正してますって言ってるも同然ジャン…なんで…ボクの日頃の振る舞い?いや普段から『徳』ポイント積み上げまくってるし…誰かがボクを呪ってるのか…?呪詛返しもんだぞそんなの…うう……」

どれだけ泣きつこうが駄々を捏ねようが結果が変わらぬのは知っている。
それが故に結局の所は次は白いタンクトップを差し出す事になった。
ぶつぶつ言いながらも目で急かされて、牛みたいな(此処上手いこと言ってる)鈍重な動作で裾に手をかけてぐいっと首を通して脱ぐ。
それなりに普段から仕事柄鍛え続けているお腹と臍周りのラインが露出、
そしてサラシ布を厳重に巻きつけて零すまいと努力しているでっかい錘二つ分の乳房も。
窮屈気味な衣の圧力が欠け落ちた分だけ奔放にだっぽりと揺れる。

「くそ…最後には絶対勝つ…さむ……冬にこんな事させるの正気の沙汰じゃないしそう考えると季節問わずバニースタイルで仕事しているスタッフさんたちには頭上がらないよね正直」

丁寧に折り畳んだそれをテーブル上にへと載せ上げた。
まだ気勢を失っていない証にぶんぶんと尻尾が鞭のようにしなって床面を叩く。

テンドン > 「すーーーー、はーーーーー」

我が身を落ち着けようと深呼吸を繰り返し。

「…一度在る事は二度在る。次もノワール(黒)の17で」

またも積み上げられたチップはセットされる。
テーブル上に忙しなく配置される他の客達の物も同様に。
もう細かく描写するまでもないだろう、また円盤は回り始めた。

カラ カラ カラ

テンドン > 「…………」

それを神頼み、というよりも睨むような眼差しで見据えている。
テーブル上に両腕を乗っけて、身を乗り出すかのようにして。

ディーラーさん > 「ノワール(黒)の17です」
テンドン > 「……!!?マジ!!!!?やった…!!!!」

先程までずっと回収されてばかりだったチップは、今度ばかりは一目賭けの36倍に増えて戻って来た。
一瞬息すらも忘れて凍り付いたその後に、もろ手を挙げて大騒ぎ。
当然のように今迄散々に掠め取られた分も含め、奪い取られた自分の愛用の衣類も手元に戻って来た!

「え、やった!やった!!ふふーん!!!此処まで敗けまくりだったけれども最後に勝てば全く問題無いんだなあ!対戦有難う御座いましたー!ゴチです!!でも勝ったのにトントン…!!どんだけ負けたのボク…!!!」

どやどやのどや顔で手繰り取ったタンクトップから急いで着込み、その上から上着をばさっと自らにかけた。
興奮冷めやらぬ鼻息を弾ませていたが、しかし直ぐに冴え冴えと凍てつくような冷たさにきゅうっと背筋を震わせる。
周囲には此処で敗けまくってその債務に潰されいいように扱われている者達も珍しくないことに今更気付く。

「あっぶな…もしかしてボク危うく奴隷堕ち寸前だった?ここ、怖い!!!一歩目の前に破滅の落とし穴が開いてる!!!も、もうギャンブルやんないし、完全に懲りた懲りた!!!」

何とか元通りになったお金を鞄に詰めて。もう一勝負しませんか?と誘って来る悪魔よ立ち去れ!
ぴょんっと這う這うの態で温めていた椅子から飛び降りると、化け物たちの巣窟よりもある意味恐ろしいこの賭場から脱兎で逃げ出すのだ!

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からテンドンさんが去りました。