2022/08/07 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にレイリエさんが現れました。
レイリエ > 大歓楽街の一角、街の中でもとりわけ露店や店舗の多く並ぶ通りを、エルフの女は物珍しそうに視線を巡らせながら歩いていた。
初めはこの街の中心とも呼べるカジノや劇場にも足を運んではみたものの、
賭け事という行為と、独特の熱気と煌びやかさに包まれた雰囲気が如何にも肌に合わず、
半ば逃げ出すような形でこの様な場所までやって来た次第。

「―――でも、流石は港湾都市といったところでしょうか。
 異国の品や、王都では見かけないような物が沢山揃えられているのですね………。」

並べられた品々は食料品や装飾品に留まらず、幾つかの魔道具や魔法薬、それらの素材などは、
そうした品を日頃から取り扱う女の目から見ても物珍しく興味を惹く品々が多く揃えられていた。
如何わしい施設が多い都市故か、そうした用途の品々が憚る事無く陳列されている事実には少々閉口してしまったが。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にクレイさんが現れました。
クレイ >  
 一仕事を終えて、それなりに酒を飲んだその帰り。そろそろ宿でも探すかと歩いていたその道。
 街中でふと目を引いた女性がいた。それは学校でも時折顔を見かけていた人で。

「えーっとたしか……ああ、そうそう。レイリエ……先生だったよな?」

 ようようと言いながら近寄って行ったが、閉口していた店の品を見た。
 それは所謂大人の玩具の店。閉口していたのを飲んでいたのもあって意味を勘違いして。

「……あぁ、悪い丁度買う所だったか? そういう玩具使う奴もいるもんな悪い。見なかったことにするわ」

 と明後日の方向に目線を向ける。見ていませんよーという意思表示。

レイリエ > 「―――えっ?」

思いがけず呼び掛けられた名前に、驚いた様に振り返る。
その先に見つけた人物は、学院内でお互いに幾度か見掛けた事のある男性の姿で。

「確か………ミスター・クレイ、でしたよね………?
 はい………この様な場所で、奇遇ですね………。」

言いかけて、何やら気まずそうな相手の物言いと、明後日の方向へと投げ掛けられた視線に、
少しの間を要してその意図を理解すると、仄かに頬を赤らめながら首を左右に振って見せ。

「そのっ、何か誤解をされているようですが………。
 違います………別にその様なつもりでは、決して………!」

クレイ >  
「ああ、丁度戦場帰りでな、少し金が多めに出たから飲みに来たんだよそしたら……うん」

 見ちゃいけない物を見たと言わんばかりに気まずそうな顔で。
 そりゃそうだ、同僚が大人の玩具を買う場面など見ちゃいけない物筆頭のひとつだろう。
 相手が否定すれば。

「あ、ああそうだよな! そりゃそうだうん」

 そりゃそうだ、信じるぞうんとうなずいておいて。
 それから少しだけを前を開けて。

「……とりあえず俺は飲みに行った方がいいなもう一軒。大丈夫、飲んだら忘れてるから」

 実際そんな酔い癖ではないが、そういう事にしておいた方が彼女も良いだろうと。つまり全く信用していなかった。
 周囲キョロキョロして飲み屋あるかなんて探している。

レイリエ > 「戦場………?嗚呼、そう言えば………。」

己とは縁遠い単語に、目の前の相手が教師とは別の仕事を生業にしていた事を思い出す。

「―――その物言いは信じておりませんね………?
 はぁ、本当に………。」

零れ落ちた溜息ひとつ。傍から見ても不自然な相手の反応に言い訳を紡ぎかけたものの、
下手に否定したところで余計に誤解が深まるばかりと察してか、それ以上は口を噤んで。

「酒場をお探しでしたら、先程何件か見掛けましたけれど………。
 生憎、お付き合いは出来ませんが、宜しければご案内しましょうか?」

私も決してこの辺りに詳しい訳ではありませんが―――と付け加えて、
酒場を探して周囲へと視線を巡らせる目の前の男性へと、そう提案を投げ掛ける。

クレイ >  
「ん、いや……んー?」

 あれ、案内してくれるの? という顔。買うものとばかり思っていたので意外な返答が来て少し首を傾げたが。
 まぁ良いかと。

「じゃあ折角だし、案内してもらおうかな。とはいってももう飲んだ後だし酒場じゃなくて宿でもいいけど」

 実際誤魔化す為の嘘だったりもしたので。案内されるのならどっちでもいい訳で。
 と歩き出して。

「ところでレイリエは……レイリエ先生はこの町に何か用事あったのか?」

 あの道具。とも思ったが、正直道具だけなら買える場所はここじゃなくてももっと近場にある。
 知り合いに見られたくはないという為だけにここまで足を運んだとは思えず。そんなことを言う。

レイリエ > 買わないのか、とでも言いたげに首を傾げる相手の様子に、エルフの女は無言で首を左右に振って見せ。

「残念ながら、宿の場所までは存じておりませんので………。
 酒場に着いたら尋ねてみては如何ですか?」

確か此方の方にあった筈と、記憶を頼りに女が元来た方向の道を先導する様に歩き始める。

「私も、本日は教師とは別の仕事―――依頼を受けて作成した魔道具や魔法薬の納品に伺った後ですわ。
 初めは勧められてカジノにも足を運んだのですが、あの雰囲気はどうも苦手で………。」

道中、何気なく投げ掛けられた質問に、率直な答えを返しながら。

クレイ >  
「ああ、お互いに教師業以外の帰り道って事か」

 相手の理由を聞けばなるほどと。
 他の仕事の帰り道というのは納得の理由ではあった。
 そして少しだけ笑って。

「でもカジノは苦手かぁ。ああいうのって苦手な人は苦手だからな。実をいうと俺もそんなに得意じゃねぇんだよ」

 意外だろなんて言いながら笑う。

「別に賭け事ならわざわざあんなにぎやかな場所でやらなくても仲間内でいくらでもやれるし。それこそ戦場なんてここの町も真っ青なレートでやりまくるし。そっちの方が楽しいんだよな」

 とはいえ、こいつの場合わざわざやる必要がないからやらないの方向ではあるのだが。
 
「まぁでも正解だと思うぜ? 1人でカジノなんていったら変に絡まれるだろうし。ま、それは町歩いてても同じだけどさ」

レイリエ > 「えぇ………そういう事になりますね。」

自分達以外の教師や学生の中にも、他の稼業を兼ねているという話はよく聞く。
そういう事もあるのでしょうと、エルフの女もまた小さく笑って。

「あら、意外………と言っては失礼でしょうか?
 嗚呼、そういう理由でしたか………お仲間内ではよくされるのですね。
 確かに、物騒な話もよく聞きますし………余り興味本位で近寄らない方が良いのかも。」

そんな言葉を交わしている内に、辿り着いたのは一軒の酒場。
此方です、と促した入口の向こうでは杯を交わす人々の喧騒と笑い声が聞こえて来ていて。

クレイ >  
「まぁ特に女1人だとな。俺で良ければ護衛位いつでも引き受けるぜ。ま、傭兵としてか同僚としてかはお好きな方で」

 選択次第でサービス変わるからなんて冗談っぽく笑う。
 到着したのは所謂一般酒場だろうか。中は意外と賑やかそうだ。

「ふーん、この店か。雰囲気は良い感じだな」

 ふむふむと。あらゆる宿屋に泊まりまくり色々な酒場巡りをしている自分からみても結構良い感じだと思う店で頷いて。
 それからレイリエの方を向く。

「付き合えないって事だったけど、酒は無しで飯位どうよ、こんな場所で会うのも何かの縁だしよ」

 無理にとは言わないけどと言いながら扉を開いている。

レイリエ > 「そう、ですね………仕事柄、素材の採取などで危険な場所に赴く事もあるので………。
 機会があればいつか、正式に護衛をお願いする事があるかも知れません。」

勿論、相応の報酬はお支払いさせていただきますわ―――と、冗談ぽく向けられた笑みに此方も笑みを返して。
それから、案内した酒場を気に入った様子の相手に、良かったですと小さく胸を撫で下ろして。

「そう仰るのでしたら………では、お言葉に甘えてご相伴に預からせていただこうかしら………?」

そう答えると、男性の招きに応じるように女もまた、扉の向こう側へと足を踏み入れて―――

クレイ >  
「お、それは本格的に俺向きの仕事だな。そっちはしっかり傭兵として受けさせてもらうぜ。まぁ同僚サービスで少しは安くしとくけど」

 流石に素材の採取とかの護衛を同僚サービス、つまりは無料でやるわけにはいかないのでそこはそこである。
 彼女が乗ってくれば了解と言いながら。中に入る。外からもわかるようににぎやかな空間である。店員が駆け寄ってくる。

「2人。席は……んー、できれば落ち着いてる場所がいい」

 彼女はカジノがダメとのことだったし、あまり騒がしいのはダメだろう。そんな予想を立てて出来るだけ落ち着いた場所と言えば奥の方の比較的落ち着いている場所に案内される。
 適当に席に腰を下ろして。

「そういえば、酒は付き合えないって事だけど。あれか、酒飲めないのか?」

 そういう奴もそれなりによくいるしと。
 自分は普通にウィスキーを注文。食事と一緒にグイグイ飲むわけじゃなくて本来はあの場を離れる為の口実だったので正直飲むつもりもあまりなく、つまりは恰好だけであった。
 そして食事に誘ったのはたぶん案内してきた時点で買い物しないというのもおそらくは本当だったのだろうと思ったからだった。

レイリエ > 「ええ、それは助かります。その時は、頼りにさせていただきますね………?」

エルフの女とて、危険の伴う仕事を無償で頼むようなつもりは毛頭無くて。
もしその時が来た暁には、同じ教師同士から取引相手に関係が変わるという、唯それだけの話。

歩み寄って来た店員に落ち着いた席をと告げる相手の気遣いに気付いてか、小さく頭を下げて見せてから、
案内された奥の席へと腰を落ち着けて。

「飲めない訳では無いのですが、余り得意な方でも無く………。
 それに、勝手の知らない街で女一人酔い潰れてしまうというのも、不用心でしょう?」

ウィスキーを注文する男性とは対称に、果実のジュースを注文しては出されたグラスを傾けながら。
そうして、お互いに他愛の無い世間話に花を咲かせながら、歓楽街の夜は更けていった。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からレイリエさんが去りました。
クレイ >  
「ああ、銀鷲までいつでも依頼を。値段に見合った腕前を約束するぜ?」

 なんて言ってニヤリと笑う。
 そして酒を飲んでから相手の答えを聞いてハハハと笑う。

「そりゃそうだ。俺が送り狼にならないとも限らねぇしな」

 ケラケラとそんなことを言う。実際そういう以上するつもりなど毛頭ないわけだが。
 そうして会話をしながらこの町の夜は過ぎていくのだろう。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からクレイさんが去りました。