2022/07/30 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にミラさんが現れました。
ミラ > ―――カツ、カツ カツ、カツ―――

馬の蹄の音は、この港湾都市では珍しくはない。
船から運び出される積み荷 船へと運び込まれる積み荷
物資の移動などに加え、時には船から降りた貴族を出迎える馬車などがある。

しかし完全な獣ではなく、半端な獣 ケンタウロスの外見などは
その高身長や大きな体のせいか、通常の馬よりも目立つ。
人の込み入った道よりも、馬車が通る中心の道筋を蹄の音と共に移動することが多いだろう。
食事なども店に入るときなどは苦労しそうにすら見えてしまう、と周りは感じるはず。

実際その通りで、ピアノ椅子のような長い椅子で腹部を下ろすようなものか
立食などのほうがこの体には向いている 周りも納得するだろう。


その馬体を持つミラは、鯨のような強い尾鰭を含んだ体を持つ妖馬属に位置するせいか
毛色や特徴が他とは異なるものとなる。
身に着けるものは、馬車で用いられるようなものでもなく、騎士のような突撃槍のものでもない
身軽な軽鎧や革を用いた姿で後ろの馬車に対し、馬と会話をするように連れ添っていた。


「さ、こっちですよ。」


会話をする相手は運転を担う騎手ではなく、馬。
道を覚えることに不慣れな、少し天然の入っている馬
運送を終えて久しぶりの陸地にて危うく見えたミラが道中、途中まで連れ添うように歩いていた。
まるで徘徊するおばあちゃんや、ちょうちょをみるとそちらについていってしまいそうな方向音痴の典型を見るよう。
馬とは会話は通じているのか


「気にしないで、おば様。」


わるぃねぇ、おじょうちゃん と言われているのか、ヒヒンと鳴かれた雌馬の言葉に
にこりと笑みを返して海を交えた馬の交流と共に、互いにカツカツカポカポと蹄を鳴らし合う。
本人はボケているわけではなく、少し耳が遠くなり、注意散漫なところがあるせいか
こうして荷物運びとして長年いるのだという。

ミラ > ケンタウロスと馬の会話
廻りからすれば一人と一頭は身長が頭を二つも三つも抜けている。
そのせいか視界は広く、そして見上げられることが多い。
蹄の音が重なり歩く姿は、行き来や積み荷 王都よりも流通の激しい雰囲気を纏う場所では
それは長閑な足取りの音である。


「では、これで。」


偶然出会ったやや年を重ねた馬車馬の雌と、ミラ
騎手にも礼を言われながら、最後にお互いハグをしながら軽鎧の下に着こむ革生地
露出している部分を、親密な印を示す甘噛みでハグハグとされてしまえば別れるだろう。

海の上での仕事を終え、積み荷の降ろしを終え 自由時間の最初は言葉の通じる同身長との散歩
出始めは中々悪くないオフの日取りに、ミラはカツ、カツ、カポ、カポと出店を見て回る。
仕事着同然な軽鎧の姿であるものの、軽く丈夫に加工されているそれは脱ぐ必要もなく
自己防衛も補えるから心配もない。
手元の三又の槍も、手に携えて天に向かって真っすぐに 槍の矛を包む鞘もついていれば
尚のこと安全策も取れている為困らないだろう。
途中、手短な出店の一つに顔を出せば、粉生地を焼いて果物や砂糖 バターを乗せる焼き物の主の店を通りがかり。


「お久しぶりです。」

粉物屋の主 > 「おや、久しぶりだね 忙しいのかい。」


粉物屋の主は、数人さばき終えると手が空いてミラと会話をする。
海の都市を中心に活動をしていれば、こういった屋外の顔見知りもできるだろう。
ミラは、塩バターと蜂蜜の生地を大き目にさせた
いわゆる中身よりも皮重視のクレープ焼きにも似たそれを頼み
ぐるぐるにまかれたそれを受け取りながらゴルドを渡し、屋台の傍で食べ始める。

高身長もあり、屋台の宣伝にもなるだろう甘味の粉売りには都合のいいことだった。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からミラさんが去りました。