2022/05/08 のログ
■イスルス > 歓楽街 ハイブラゼールの中でいくつものカジノが建てられている。
無論それらは、いくつもの組織的なものや商人 もしくはこのダイラスを仕切る者から覚えの好い者
それらが旨味を徴収していくものだろう。
イスルスは今夜も、組織的な中に組み込まれた飼い狗のようにそこに控えている。
現在は、己の主が関わる店内にて他の屈強なスタッフに紛れてカジノの中を眺めていた。
今は珍しくボスの傍に居らず、葉巻の先端を燃やすことも、グラスに新しい酒精を注ぐこともしない。
しかし呼び出しさえあれば、この場をすぐに離れてしまうだろうか。
それまでは、おとなしく過ごしている。
その瞳の中の 光を吸ってしまっているようなハイライトの無い瞳と
無を冠するような表情のままに、古式的な この時期でも崩されないクラシックメイドスタイル。
廻りは、金と危機と恐れに鼻が利く者が多い
スリルと幸福を求めて此処へ訪れて ゴルドの増減を行っているのならば、それも当然か。
無知とは程遠い者達は、イスルスにただ給仕を偉そうに命じることもなく むしろ避ける。
そんな者達だけならば 昨今のバウンサーはどれほど楽なことか。
守り代などと称して徴収していくヤクザもきっと少なくて済むだろう。
「―――…、…。」
老獪な カイゼル髭で整った白髪をオールバックにまとめる老ディーラーが
ダイスを振るい、結果を知らせていく。
途中でそのダイスがテーブルの上で転がる音が変わっていることに気づいている者は
果たして何人いるのだろうか。
ルーレットで回す為の珠を滑らせる女の眼と手指が、相手の懐を殺すほどのものを秘めている。
そんな風に感じる者がどれだけいるのだろうか。
ほどほどで済ませなければ失った額を回収していく
時の運だけでは済まない場所の様子は お互いを殺し合いにしている。
そう見えていると、イスルスは 絶望していくその状況もまた 殺し合いと似てどこか落ち着く
そう感じながらも、時折顔見知り ボスや組織関連の者 身なりが好い者が手を挙げて近づいてくるのであれば
一歩前に出ると 両の裸の五指はスカートの裾をつまみ、音もなく、しかし爪先を立てるその音はカツン、と。
そうして礼儀を取りつつ、ボスの貌に泥を塗る真似はせずにいく。
■イスルス > やがてピクリ、と
イスルスの貌が刹那強張る
主の合図のように 笛の音が聞こえれば、ボスの傍へと戻るためにオフィスへと。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」からイスルスさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にヘルティナさんが現れました。
■ヘルティナ > 「――あら……どうやら、私の勝ちのようですわね。」
手にしたカードを開いて見せて、テーブルの上に積まれたコインの山を己の元へと引き寄せる。
煌びやかな照明や装飾品に彩られた、歓楽街のカジノの一角。
テーブルの対面で悪態を吐く男の姿とは対称に、優雅に微笑んで見せる赤いドレス姿の女が一人。
「続けるのは構いませんけれど……。
その場の運任せのみで私を丸裸に出来るなどとは、努々思われませんよう……。」
テーブルの上へ新たに積まれるコインの山と、お互いの手許へ配られてゆく幾枚かのカード。
大方、女を打ち負かしたその先の事を考えているのだろう。
下卑た笑いを浮かべる対面の男の様子に溜息を零してから、手許のカードへと視線を戻して思案を始める。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にルヴィエラさんが現れました。
■ルヴィエラ > (――勝負とは、常に冷静で居られるか。
自らの欲に負け、我を忘れた者程に、容易に食われる側と為る物。
其れを分かって居る者の多くは今、彼のテーブルの勝負でどちらが優勢か
きっと、良く分かって居る筈だ。
勝つ、という気概を持ちすぎて、先が見えなくなって居る男に余裕は無い
カードと言うシンプルな勝負であるからこそ、其の余裕の無さは判断を鈍らせる。)
「……君は、何処まで行くと思う?」
(勝負席の傍、椅子へと座りながら、其の光景を観戦している一人
片手にワインのグラスを携え、時折煽りながら、愉快そうに其れを眺めていた
隣にいた店員に向けて、勝負の行く末に対して言葉を投げながら
今は、場を支配する女の姿を、感心する様に見詰め
――真っ向勝負で、其の流れが変わるとも思えぬ。
それでも尚、男の側が勝負を捨てず勝つ気で居るのならば、余程盲目であるか
或いは――なんらかの、隠し玉を用意してあるか、だろうか)。
■ヘルティナ > 「――残念、また私の勝ちで御座います。いい加減、諦められては如何……?」
負け続けた事の焦りの所為か、或いは目先の欲望に捕らわれた所為か、冷静さを欠いた男の手札は余りにも粗末なもので。
女が手にしたカードを開いて見せると、苛立ったように己のカードをテーブルの上に叩き付け、
捨て台詞と共に席を立った男の後ろ姿を見送りながら、彼が残したコインの山を引き寄せて。
「……あら、次のお相手は貴方?
それとも、一杯奢ってくださるのかしら……?」
其処で漸く、傍らの席で此方の様子を観戦して居た男の存在に気が付くと、
軽い会釈と共に冗談めかしたような笑みを浮かべながら、そんな言葉を投げ掛けた。
■ルヴィエラ > 「……おやおや、足掻きも出来なかったね。」
(何か――其れこそ、意地の一波乱でも起こしはしないかと
そんな期待は、あっさりと男が敗北を喫した事で、潰えた
矢張り駄目だったね、なぞと、傍の店員と言葉を交わしていた、其の最中
ふと、掛けられた声が、此方へ向いた事に気が付いて、視線を返せば。
少しばかり考えた後、ふ、と、微笑を浮かべて見せ。)
「―――――彼女に一杯、良い物を。」
(店員へと、そう注文を向けた後に、立ち上がる。
女の傍へと、歩みより、其の手元に集められた大量のチップを感心した様に眺めては
ふと、自らの懐から、一番額の低いチップを一枚、取り出して見せ。)
「――しかし、生憎今、私は手持ちが無くてね。
チップでは、面白みのある勝負は提供出来ないかも知れない。
……だから提案だ。 ……お金以外の何かを、要求して見るのは?」
(――今、相手が負けた所で、己が勝った所で、互いにさしたる痛みも、得もあるまい
なら、チップ以外の何かを、賭けのテーブルに乗せては見ないか、と
もし、其れを相手が拒むなら、無理強いはすまい。
だが、もし相手が、純粋に金額ではない、勝負事其の物を愉しんで居る性質であるなら
チップよりも、スリルは味わえるだろうか、と)。
■ヘルティナ > 「――まぁ、有難う御座います。丁度、喉が渇いてしまっておりましたので。」
男の向けた注文に謝辞を述べて、程無く運ばれて来たグラスを手に取り喉へと流し込んでゆく。
其れから、チップを一枚掲げて見せた男の提案に、女はくすりと唇の形を笑みに歪ませて。
「生憎目先のお金にも、別段勝負に飢えている訳でもないけれど……その提案は少々、興味がありますわ?
でしたらば私、貴方が持っている中でもとびきり珍しい品か、その情報が欲しいのですけれど……。
それと引き換えに貴方は、私に何を要求するおつもりかしら?」
そう、悪戯っぽく微笑んで。金色の瞳が相手の紅色を覗き込みながら、女は問い掛ける。
■ルヴィエラ > (勝負には…どうやら、乗る様だ。
提示されたのは、情報、或いは珍重品。 その内容までは、言及されていないが。
成程、と、一度頷いて見せたなら。 それを特段、拒む様子も見せずに。)
「―――……では、先ほどの彼が手に入れ損ねた物を。
勿論、永久にとは言わぬがね。 一回勝負であれば、其の位が丁度良い、だろう?」
(其れが何を示すのか――彼の男の、欲に満ちた眼差しを浴び続けて来た彼女であれば
何の事か、判らぬと言う事は在るまい。
もし、其れを彼女が良しとするなら、目前の席へと座り込み、カードを要求するだろう。
イカサマは無い、純粋な、勝負で相対しようか。)
■ヘルティナ > 目前の席に着いた男から提示された、賭けの要求品。
終始ぎらついた視線を浴びせ掛けてきた先程の男が欲していたもの――其れを女が理解していない筈も無く。
やれやれといった面持ちで小さな溜息をひとつ零して。
「――結局、貴方も唯の男という事ですのね……。
えぇ、構いませんわ。私とて、それ相応の要求を吹き掛けた自覚は御座いますし。」
決して、己の勝利に対して絶対の自信が在った訳では無い。
それでも二つ返事で頷いて見せたのは、先程飲み込んだ酒気が回った上機嫌になっていた所為もあってか。
先刻と同じ様に、お互いの手許へとカードが配られれば、己の手札へと視線を落として思案を始め――
■ルヴィエラ > 「其れだけの価値を感じる、と言う事でも在るがね?
まぁ、一寸した戯れに、お付き合い願おうか。」
(肯定こそせぬが、否定もせぬ。 結果的には、次の挑戦者と言う事に変わりは無い
嫌ならば勝負を受けねば良いだけの事、其れでも受けたなら――始まった物を、取り止める事は出来ない
手札を一枚一枚確認する間、表情は一切変わらぬ。
勝つ、と意気込んでいた先刻の男と違い、勝つ気が在るのかも怪しい程に
何処か、緊張感に乏しい雰囲気で手札へと触れたなら
少しばかり思案しては、その内の二枚を交換し。 そして、また、少しばかり思案した後、手番の終了を宣言する。)
「さて、其方は如何かな?」
(――悩んだ様子は無い。 勝負に赴くことに、躊躇も無い。
其れが自信故なのか、其れともブラフで在るのか――表情からは読み取れぬ筈だ
完成されたポーカーフェイスの微笑が、相手の手札を待ちながら、声を掛けては
紅色の瞳が、果たして、金の瞳から僅かでも――感情の色を、読み取れるだろうか。
相手が勝負を宣言すれば、ディーラーの呼びかけに従い、共に手札を公開して
見せる筈だ。
3枚の同じ数札が並ぶ――決して、強いとは言えぬ筈の手札を)。
■ヘルティナ > 「――無論、自分を安売りする様なつもりは毛頭ありませんが……。
ええ、そうですわね……ちょっとした戯れ、といったところですわ?」
冗談めかした風に微笑みながら、己の手札と相手の表情とを見比べる。
予想はしていたものの、相も変わらず涼しげな表情を見せる対面の男は、先程の相手などとは比べるべくも無く御し難く。
「……そうね、此れで如何かしら?」
ディーラーの呼びかけに合わせ、手許のカードを開いて見せる。
相手の手札を見遣れば三枚の同じ数札。女が開いて見せた手札もまた、三枚の数札の揃った同じ役。
しかしながら、揃った札に記された数は女の方が僅かに小さく。
「――どうやら、貴方の勝ちのようですわね……。
勿論、約束は守りますけれど……一体私を手に入れて、如何したいのかしら?」
それでも、女の表情から微笑と余裕の色が消える事無く、何処か挑発するような物言いで、対面の男の要求を改めて問うだろうか。
■ルヴィエラ > (――まるで、化かしあい。
容易く、するりと指の間をすり抜ける勝利を
最終的に何方が掴み取ったのか――そんな勝負の、結末
カードの数字こそ、ほんの少しだけ此方が上回ったが
明暗を分けたのはきっと、純粋な運、以外の何物でも無かった筈だ。)
「―――――……勝ちも負けも愉しむような相手では、勝負も時の運。
偶々、では在るが、今回は私が勝たせて貰えた様だ。」
(一安心したよ、と、まるで道化めいて胸を撫で下ろす仕草をして見せた後。
手札をテーブルの上へと放っては、また、穏やかな笑みを。
ゆっくりと席から立ち上がり、店員へと向けて、あくまで彼女の持ち物であるチップは全て
確りと、彼女の資産として清算する様にと促してから。)
「――――それを、此処で態々宣言するのは、無粋と言う物では?
……では、勝負の対価をお支払い頂こうか、御婦人。 ……案内しよう、私の元へね。」
(観客も居る、相手の処遇をひけらかして、誇示するような真似は、少々無粋
女の隣に立ち、エスコートの如くに、カジノから移動する事を伝えれば
相手が立ち上がるのを待ち、その背を支えながら――招いて、行くのだ)。
■ヘルティナ > 一切の不正の無い、互いに合意の上の純粋な勝負。
致命的となる様な思考の乱れも判断のミスも無く、唯々相手の運の方が女の其れを一枚上回っていたというだけの事。
そうして突き付けられた結果に対して不平を零すのは、女としても最も嫌う処で。
「えぇ……なかなかに悪くない勝負でしたわ。潔く負けを認めましょう。」
くすりと小さく微笑んで、席を立った男の言葉に促されるよう、女の傍らに積まれたコインの山を店員へと差し出して。
それから遅れて女もまた席を立ち、その身に纏ったドレスの皺を正し佇まいを整える。
「――それもそうですわね。ごめんなさい?
それでは、ご案内をお願い致しますわね……御主人様とお呼びした方が?」
揶揄う様に微笑んで見せてから、傍らに立った男のエスコートに従う侭に。
やがてその姿はカジノの賑わいの向こう側へと消えてゆこうか――
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からヘルティナさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からルヴィエラさんが去りました。