2021/08/20 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】 酒場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 歓楽街から船着き場まで点々と存在する酒場は、歓楽街とは少し様相が違う。
おもな客は仕事上がりの船乗りや漁師たちで、その次に街に入りそびれた船客、その次が、歓楽街に夢破れ、今宵の所は何とか抜け出したものたち。
娼婦たちも歓楽街とは違う、どちらかというと殊更陽気であけすけで、気取った態度をとる者など皆無だ。

船乗りたちは歌や音曲が好きだ。
だからと言っていいものか、その酒場では今宵も旅の楽師が陽気な音を奏でていて、それに船乗りたちのがさつな、それでいて不思議と共鳴し合う合唱が通りへ溢れるほどに。
そんな賑やかな酒場の端、ひとつ、テーブルを囲んで別の賑わいがあった。

「―――――ン―…」

よくある腕相撲の光景。
今夜少し違うのは、対戦が大柄な船乗り同士、ではなく、片方がシェンヤン女だということだ。
組み合って暫し、お互いにらみ合いながら…均衡が少し、崩れ始めている。

「―ンン、 ぐ…」

じりじりと、倒れていく女の手。腕の太さを見比べれば、そもそも持ちこたえているのも驚きではあったが

「―――イャッ!」
がたん!

気合一閃、一発形勢逆転。
気付けば船乗りらしき男の手の甲が、テーブルへと伏せられていた。当の男は何が起こったのか解らなかったらしい。その光景が信じられない、というように眼を丸くしている。
賭けていたものたちもいたのだろう。
周囲からは不満と喜悦と入り混じった声。

「太好了!
 ……ちょッと、いかさまじゃァないかンね!」

勝った女がガッツポーズをして、耳ざとく拾った言葉にそちらをじろりと睨みつける。
相手が強面であれば次の対戦相手に、と思っていたが、どうも其方は立たないらしい。こそこそと人混みに紛れる姿にフン、と鼻を鳴らして

「――――さァ、次やるやつは?」

ぐるりを眺めまわす。
賭けの胴元は酒場の主人。勝ちぬけばそこそこお駄賃が入る。
と、言っても女のお目当ては別であるので、もしも勝った相手は更なる災難に見舞われる可能性もあったりする。

ホアジャオ > ぐるんぐるんと女が腕を回していると、店にまた一際体格のいい船員たちが入って来る。
女は抜け目なく相手を見付けると、テーブルの間を器用に縫って行って
なんだかんだ、腕相撲大会に巻き込むのであった。

そうしてその夜は更けて行って
果たして誰が、店主から賞金を勝ち得たのか――――

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】 酒場」からホアジャオさんが去りました。