2021/07/18 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 夜会」にリスさんが現れました。
リス > 煌びやかなホール。様々に着飾った紳士淑女たち。
 そこは、王都マグメール程ではないが、お金を持つ者達が集まり、楽しく酒を飲み、語らうための場所。
 お金を持つのは、貴族だけではない、商売に成功した商人もいる、大冒険を成功させた英雄もいる。
 貴族ではなく、お金を持つものが集まり、会話する場所となって居る、その裏にある思惑は様々ではあろう。

 パトロンが欲しい冒険者が居る。
 珍しい物を運んできてほしい商人がいる。
 見目麗しい人と恋仲になりたい人が居る。

 様々な理由で、様々な目的で、人は集まる。そして、そのパーティを開催するとなれば、色々な名声を得ることが出来るのだろう。
 トゥルネソル商会はダイラスに本店があり、大きな商家である故に、このパーティのお誘いはそこそこの頻度でやって来る。
 普段は会長職である両親が此処に来るのだけども―――彼らは理由があり、出ることが出来なくなっていた。
 なので、長女であり、マグメール店の店長をしているリスが名代としてこのパーティにやって来る。
 とは言え。
 少女は、壁の端でワイングラスを傾け、その酒の味を静かに検分するにとどまる。
 夜会が嫌いだという訳ではない。
 此処にいる人間が嫌いという訳でもない。
 あまり興味を引くような相手が居ないのだ、挨拶するべきお歴々への挨拶も済ませている。
 実際、いつ戻っても大丈夫なのだけども。
 こういう時こそ、新たな出会い、という物があるのかもしれない。
 若しくは、知った顔が普段知らない顔で来ることもあるだろう。

 それらを期待し、少女は、パーティの会場の隅で静かに、観察をしている。

リス > 様々なヒトが行き交い、軽く談笑しているさまが見える。楽しそうだ。
 その中に自分は入って居ない、まあ、本来は父親が来るべき所に代理で来ているので、そういう物だろう。
 父と母であれば、あそこの商会の主人と会話をしたり、其方の、服飾店のご婦人と会話をしたりしているのだろう。

 リスと言う少女には、其処迄の人脈はない。
 リスと言う人竜には、其処迄の商才もない。

 とは言え、これでも一応名代としてきているので、名代にふさわしい存在であらねばならぬ。
 主催者には言祝いで、感謝の念を伝える。
 そんな中、声を掛けたい人には、声を掛ける。
 父親は、母親は、どのような考えで声を掛けるのだろう、彼らと商いを交えるのだろう。

「―――一度、見てみたいな。」

 やり方は、考え方は教わっている。
 でも、両親の商売の方法を見た記憶がない。
 自分のやり方は自分で見つけろ、が両親の考え方。
 どこか海賊みたいな。

 ―――海賊だったのかも?
 それはそうとして。今は唯、唯。
 商いをするために?友情をはぐくむために、愛を囁くために。

 誰かを、探す少女。

リス > 特に、何もない、こう、気を引くような何かを持つ人。
 此処にいるのは何らかの才能を持った人間たちだ。しかし、何もわかない。
 声を掛けたくもないし、近寄ろうという気もしない、身に纏っている服は、宝石はキラキラで、とても高価なものだと思うのだけど。
 でも、其れでしかない。
 こう、知り合いではないという枷を振り切って迄、仲良くなりたいという気が起きない。
 そういう人しかない、という事なのだろう。

 そして、向こうも、此方に近づこうとも、声を掛けようとも、してこないので。
 縁があるとは思えない、待っていても、これ以上は意味が無いだろう。

 そういう風に考え、認識したから。
 少女はそっと夜会の場所を辞することにして。
 ダイラスにある本店へと戻っていくのだった―――

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 夜会」からリスさんが去りました。