2021/07/06 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】」にシュティレさんが現れました。
シュティレ > 人々の様々な快楽が詰め込まれて、凝縮した場所、と言えば、この場所を指すのでしょう、港湾都市ダイラスの、ハイブラゼール。
酒場、カジノ、娼館……ありとあらゆる遊興を集め、其れを一つの場所に集めている。至福の島と言う意味らしいこの場所は、その至福を感じる為に様々なヒトが来ています。
そして、その至福を、与え、お金を搾取する人もまた、多くあります。
カジノと言う場所がその尤も足る所と言うべきなのでしょう、私は、紅い瞳で遊興に興じる男性を見やります。
その手に持つ札が何の意味を持つ意味までは、学んで居ないので、何とも言うことは出来ません、なので、直ぐに興味が薄れて視線を外します。
私には、今、一つの目的があります、大したことでは無くて、ほんの少しの喉の渇きを覚えています。
ヒトを捕まえ、血を啜るという行為がしたいという訳ではなく、ヒトと同じように、水分を、潤いを求めているだけなのです。
なので、私は今、喫茶店か、酒場を探しているのですが……こう、静かな所が良いな、と言う我儘が出てしまいます。
だから、このヒトの多く騒がしい所では、見つけることが難しく、ハイブラゼールと呼ばれているこの場所を、一人歩く羽目になります。
時折、客引きでしょうか、声を掛けてくる人が居るのですが煩わしくて、しかし、無理に引きはがすのも、と考えてしまい、それが、今現状での、悩みの種と言えば、悩みの種でしょう。

現状を簡単に説明すると。お茶したくて歩いている、軟派若しくは、客引きに絡まれている。
と、いう所、なのでしょう。

シュティレ > この、客引きなのか、軟派なのかわからないヒトに関しては、無視を決め込んではいますが、うっとうしいと思う事この上なく。
振り払おうと思う事もあるのですが……しかし、騒ぎを起こすのは良くない事となるのでしょう。
騒ぎが起きれば、憲兵が出てきてしまうのでしょうし、憲兵が出てくれれば色々な人の迷惑になってしまう。

それは、私としては望む事ではありません、此処に来たのは騒ぎを起こすため、ではないのです。
なので、悩むのです。力任せに振り払う事が前面に出てきてしまうのは、やはり私も騎士、戦う事を生業とするからでしょう。
己の領民であれば、声を掛けて優しく伝えれば宜しいのですが、このヒトは、すでに三回興味がない旨を伝えてはいますが、この通り。
今も纏わりついて声を掛けてくるのです。
ヒトではないからこそ、ヒトの恐ろしさが判る。個体ではなく群体、軍隊とはよくいう物です。
彼らは群れて強くなる、そして、此処はヒトの領域なのです。
彼の声を聞き流しているので何を言っているのかはわかりませんが、さて、どうしたものでしょうか。
喫茶店とか、そう言う逃げ場はないでしょうか。

視線を巡らせると、歓楽街、主に娼館のある一区画らしく、膚もあらわな女性も、艶めかしく行き交う人を誘う空間。
はぁ、と私はため息を零さざるを得ませんでした。

シュティレ > 未だに続く、お誘いの言葉、私の心を一ミリも動かすことが、出来ませんし、行きたいとは思いません。
しかし、そろそろうっとおしくなってきていたのは―――。あぁ。
そこで、私は、一つ名案が生まれたのです、とは言え、バレたらきっと、とは思いますが。
しつこい子のヒトには、うんざりもしていましたし、もういいやと言う思考。
それは怠惰ではないのか、それとも、やるべきなのか、しばしの間の黙考。
何故、彼はこんなに反応のない私に此処迄声を掛けるのか、客引きではないのだろうか。
暫し、無視して歩いていき、何処までも付いてくる様子。

私は、深紅の瞳で彼を見やりました、別に親愛の情などが沸いたわけではなく、彼の言葉に心が揺れたからでもありません。
ただ。ただ。
私の眼を見る程度に実力があるのか、という試金石、もし、耐えられるなら。と。
思うよりも前に、失神しました、邪視。魔力すら込めてはいない、お互いの格の違いのみで、彼は意識を手放した模様。
話を聞く以前の状態になり、取り合えず、私は視線を逸らしました。
静かになった彼をおいて、私は、喫茶店を探し、去っていくのでした。

――――もう少し早く、気絶させておけばよかったという後悔を一つ、胸に秘めて。

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】」からシュティレさんが去りました。