2021/05/29 のログ
■ジギィ > 足音たちが下を通り過ぎていくまで、やけに長い時間に感じる。
相手が振り返ってもこちらの姿が確認できないだろう、と思えるほど遠ざかってからそおっと身を起こす。
(――ぁ―――)
思った通り、脚が痺れている。
それでも動ける瞬間を逃すわけにはいかない。
少なくとも靴音以上に、近くにあるらしい大通りからの雑踏に紛れぬほどに音立てないように屋根からするりと降りる。
その場で尻もちをついてしまったけれども、声を上げなかったことは褒めてもらいいたい。
(ばいば――――い)
べえっとついでに背中に向かって舌を出してやって
薄暗い影に溶け込むような銅色の肌のエルフは、路地を猫ほどの足音だけで駆けていく―――
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 繁華街の路地裏」からジギィさんが去りました。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】 カジノ」にジギィさんが現れました。
■ジギィ > 「えーっ
ちょっとぉ、まってまって……」
様々な娯楽―――主に賭博―――を提供する卓が、室内にずらりと並んだ広大なホール。
卓の合間は広く空いているものの、酒を運ぶ給仕やらまた客やらが行き来するので、時折は高い天井を見上げて呼吸しないと息を継げないような錯覚すらしそうな喧噪。
とあるポーカーの卓で女エルフが挙げた声は、その喧噪に容易く紛れ込んでしまったものの、当のエルフはお構いなしにひとり、手札を眺めて考え込む。
ふむぅ、と吐きだす吐息は、先ほど飲んだカシスオレンジが香る。
「えーっとぉ…ペアは、数が大きい方が強いんだよね?
ああ、解ってるってばレイズかコールか降りるかするから…」
卓に他に客はおらず、対戦相手は目の前のディーラー独り。
エルフはその初老の、うっすら微笑んだまま正にポーカーフェイスの彼をじろっと上目で見てから、迷う指先で手札を弾く。
本当は施設内の『占いの館』で占い師のアルバイト中なはずなの女だが、開始から客が一組もこないもので、ご近所のポーカーの机を冷やかしに来て……まんまと椅子に座ってしまっている。
負けたって大した額ではない。
無いけれども……
(……まけたくない)
面の皮の厚さでは、ポーカーのディーラーも占い師も張るはずだ。
その女が渋い顔で手にしているのは、2と6のツーペア。
(びみょおおおお……)
■ジギィ > 「う―――っ……
わかった、コール…」
苦しげな表情と口調で、手元にあるチップをディーラーの方へと滑らせる。
そのあと小さな悲鳴があがるまで、およそ3秒―――――
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】 カジノ」からジギィさんが去りました。