2021/05/28 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 繁華街の路地裏」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 幾つかの足音が足元を過ぎていく。
駆けていく男たちは怒声を発するでもなく、行きついた3つまたの路地でこれまた無言のまま3手に分かれた。
当然1組は元の路地を引き返して来る。…先よりも入念に辺りを改めながら。

(やばいなあ)

そのひと組が戻って来る足音を、とある裏口の屋根にへばりついて息を殺しながら伺っている女エルフがひとり。
光が差し込まない路地裏のこと、地面に落とす影こそないものの、見上げれば不自然な物陰に気付かないこともないだろう。
通り過ぎて行ったすぐ後に反対方向に逃げるつもりだったのに、どうやら相手はそこそこ訓練されている輩らしい。

(ひとつ、ふたつ、みっつ―――かな)

長い耳が揺れ、拾った足音だけで人数を確認。視線だけ動かして上を確認する。
もしかして、跳び上がったら2階の窓に届いたり――――

(しないか……)

となると、気付かずに行き過ぎてくれることを願うしかない。

特に何も悪いことはしていない。
ただ通りがかりにいかがわしげな取引現場に遭遇してしまっただけで。
しかも『いかがわし気な取引現場』の詳細など認識する間もなく相手が迫って来たので、何がなんだかわからないまま兎に角身を隠している。

(きつぅ……)

…頭を抱えて石造りの屋根にうずくまっているので、膝がちょっとぎりぎりしてきた。