2021/05/03 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ内ラウンジ」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 手にしたグラスの結露を、褐色の指先がなぞって冷たさを堪能する。
カジノの熱気をその身で感じつつも、己は賭けテーブルを離れて、ラウンジのスツールに腰を預けていた。
賭け事や───いま行われているオークション自体はそう己の目的でもない。
女衒めいたことを行うわけでもない。本物の調度品や書画、宝飾品くらいなら多少気持ちは動くけれども。
それ自体を否定することもできない己は、結局中途半端なのだろうとは思う。
不機嫌とも上機嫌とも取れない曖昧な笑みを揺蕩わせたまま、取り上げたグラスを傾け、けれどそんなカジノ内の様子を眺めることの方に己の興味は傾いている。
誰と誰が言葉を交わして、誰が誰に頭を垂れているのか──。
明確な身分などは巧妙に隠してはいるのだろうが、それでも挙措や、言葉遣い、その持ち物に気を配れば、予測することは、そう難しくはない。
その真贋もまた、或いは、この夢のような空間と同じように、この場所だけのものなのかもしれないが
■シシィ > 己がそれなりに寛いでいられる以上、貴族しか入れない会ではない。
むしろ多いのは商いをしている者たちだろう。あとは───、カジノ目当てかオークション目当てかで多少変わるだろうが。
グラスを片手に、ラウンジ内を彷徨わせていた視線を一度下に落とす。淡い色合いの睫毛が、褐色の肌に影を落とし。
姿勢をわずかに変えると、給仕と一言二言、他愛もない会話を交わす。
新しく入ったディーラーのことや、チップ次第ではどうとでもできる給仕のことだとか。
「生憎と負けてしまったからそれほど手持ちがなくて」
さらりと己を売り込みもする様な言葉に、空になったグラスと引き換えに新たなそれを受け取って、チップを弾く。
気のない客にしつこく絡むこともない給仕があっさりとひくのを見送って、静かにグラスを傾ける。
■シシィ > ───そろそろ宿泊施設へと戻らなくては。
それほど酒につよいわけではないが、肌の色のお陰か、ほろ酔い程度であればまず気付かれることもない。
するりと、衣擦れの音を伴いながら立ち上がると、酒類を給仕してくれていたものにチップを渡し
少しだけ眠たげに瞬き一つすると、酩酊を感じさせないしっかりとした足取りでラウンジを後にした。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ内ラウンジ」からシシィさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス ハイブラゼール 屋上 月光浴場」にエレン・ローズマリーさんが現れました。